首挽村の殺人 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.03
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本棚登録 : 167
感想 : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943067

作品紹介・あらすじ

無医村状態が続いていた鷲尻村に待望の医師がやってきた。だが着任以降村では謎の変死が立て続けに起こり……因習が忌わしい過去を甦らせる。21世紀の横溝と絶賛された第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作

感想・レビュー・書評

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  • あらすじ
     岩手県。過疎化が進む村に来た若い医師が事故死。熊に驚いて崖から転落したらしい。次に友人の医師が来る。妹が亡くなった医師の婚約者だったのだ。しかし、続けて死者が出て、事件性が疑われる。さらに村の忌まわしい口減らしの習慣による昔話になぞらえていることもわかる。

     めちゃめちゃ面白い上に哀しかった。「第27回横溝正史ミステリ大賞」受賞作なのもわかるよ。昔話の残酷さや、ラストの哀しい結末・動機まで、厚みがあるわー。村人のキャラクターもかき分けられているので読みやすい。さらに、巨大凶暴熊赤熊のエピソードや、雪崩とか、スケールも大きいし、動きもある。ドラマ化っていうより、映画化の方が似合いそう。

  • 横溝正史っぽいと言えば、確かに良く出来てはいる。熊はアクセントにはなってはいるが、いらなかったかな。

  • 雪深い岩手県のいわくつきの寒村で起こる連続殺人、という横溝ワールド大好きな私にはたまらない設定ですが、横溝正史の作品のようなオドロオドロしさは感じませんでした。現代という時代では難しいのでしょうね。

  • 岩手県にある鷲尻村。長く無医村状態が続いた当地に、待望の医師が赴任した。
    その直後、彼は何者かに襲われ帰らぬ人となった。
    巨熊に襲われたと噂される彼の代わりに新たに赴任した滝本。
    だが、着任早々、彼は連続殺人事件に遭遇することになる。
    先祖の祟りに縛られたこの地で、彼らを襲うのは熊なのかそれとも――。

    全体的な印象としてまず思うのは「ああー日本のミステリだべなー」ってことです。
    舞台、雰囲気、小道具……そのすべてが日本ならではのものなのです。
    そういう意味においては横溝正史ミステリ大賞受賞作というのは納得の出来ですね。

    舞台は雪に閉ざされた過疎の村。
    無医村の厳しい現実が緻密に、極めてリアルに描かれています。
    口減らしのために姥捨てや幼児殺しを繰り返さざるを得なかった村の過去まで克明に構築し、物語に奥行きを出すことに成功していると思います。
    事件そのものにも犯人の苦く痛々しい過去が深く関係し、物語は縦方向に広がりを見せます。
    過去の負の遺産が次々と暴かれ、それが現在の事件へと繋がっていく。
    そういう構造がいかにも「横溝」的で、これぞ日本のミステリという雰囲気ですね。

    そして、これぞいかにも日本のミステリというのが、物語の中で重要な役割を果たす猛獣――赤熊。
    連続殺人の合間に熊も大暴れ。
    熊の仕業に見せかけた殺人というのが混じっているのかなあと思ったけれど、熊の仕業はフツーに熊の仕業なんですよね、これ。
    でも、物語の彩り(?)として熊が出てくるあたり、いかにも日本の古典的ミステリらしいです。

    雰囲気、舞台装置、そして小道具は完璧。
    大横溝の世界を現代風に書きなおしたと言ってもいい出来です。
    でもなぜか横溝作品の持つおどろおどろしい感じ、禍々しい雰囲気が物語にまったくないのです。
    それはやはり人物描写、心理描写の甘さからきているのではないかと思います。
    主人公の兄妹はもちろんのこと、他の登場人物たちの誰にも感情移入がしづらく、どこに視点を置いて読み進めばいいのか戸惑いました。
    小説はリアリティだけで読ませるのは難しい。
    世界をしっかり構築することができたとしてもやはりその中で動く人物というのが肝心なのです。

    大横溝の持つ雰囲気を現代ミステリに取り込むことには成功しているでしょう。
    少なくとも表面を「横溝風」に取り繕っただけではないと思います。
    けれど、本作が面白いかどうかはまた別の話。
    ピカピカの一年生と横溝正史を比較してはどう考えても可哀想だけれど、もし著者がこれからもミステリを書いていきたいと考えているのならば、もう一皮も二皮も剝ける必要があるのではないでしょうか。

  • 21世紀の横溝正史、、、
    確かに雰囲気は横溝正史だと思う。
    「鷲尻村のむかし噺」になぞられた連続殺人事件と赤熊事件が絡み合って展開していくストーリーはテンポ良く引き込まれていく。
    でも犯人に無理があると思う。
    そこが残念だ。

  • 岩手県の無医村に医師が就任し,直後に連続殺人事件が発生。村には血塗られた過去が・・・。
    コテコテのミステリと,熊ミスの融合で,ミステリ要素もサバイバル要素も楽しめた。

  • 第27回横溝正史大賞受賞作品。

    そのタイトルの中に相応しい「いかにも」な作品で読みやすかった。
    「見立て殺人」はとても作品が華やかになるし、大好きです!
    しかし、探偵役は素人さんが好みなので刑事さんか~と少し残念でした。

    そしたらまた話は変わるんでしょうね。

  • 横溝正史に回帰したくなる一作。

  • ミステリーと、熊を追うマタギのサバイバル小説を交互に読んでいた感じ。 赤熊とマタギの雄鶴さんたちとの対決パートの方がインパクト強くて、事件の解決より赤熊との決着が知りたくなってしまった。
    不気味な昔話やしきたりが伝わる村という設定は面白いし、雰囲気はなかなか。

  • 岩手県出身の作家のデビュー作。舞台は岩手県西部の西和賀か沢内村がモデルなのだろう。小さな村で起こった赤熊という巨大熊による殺戮と殺人事件。モデルになった所の風景が目に浮かび、臨場感はあるのだが、今ひとつ登場人物の個性が見えて来ない。


    そういえば、昔、奥羽山脈の辺りで、赤首のような巨大熊の目撃が相次ぎ、本州にもヒグマがと地元紙で騒いでいた記憶がある。舞台のモデルと思しき沢内村には民俗資料館があり、マタギの道具なども展示されていた記憶がある。

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著者プロフィール

1965年岩手県生まれ。中央大学文学部卒。2007年『首挽村の殺人』で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビュー。他の著作に『死墓島の殺人』『共謀』『存在しなかった男』『奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座』などがある。

「2016年 『梟首の遺宝 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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