- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043943074
感想・レビュー・書評
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図書館で。小説…なんだろうか?
挿絵がカッコイイ。
釣りや漁業に関わる人がすべて、生態系の事を考えたり未来の漁場を守ることを考えたりしているわけではないんだよな~ もちろん、守ろうとしている人も居るわけだけれども。
自分さえよければ、今さえよければ良いという考えのツケがそろそろ回ってきている気がする。それこそ自分たちのお尻に火が付き始めてるんじゃなかろうか…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アカメ、ビワコオオナマズ、リュウグウノツカイ・・・各章には魚界のVIPたちが名を連ねている。釣り好き、水生生物好きとしては気になる魚ばかりだ。どういう本なのかよく知らぬまま読んでみた。
ノンフィクション風の章もあるけど、小説の章が多い。小説の章はバラエティに富んでいて、よく魚をモチーフにこんな小説を書けるものだと感心する。魚を釣る夢に取りつかれた者の物語もあれば、鶴の恩返しのような伝奇風の物語もある。明治時代の争乱に翻弄された者たちを描いた物語もあった。描いている時代は、明治と昭和と現代という印象が強い。著者が明治時代初期に強いことは間違いなさそうだ。
それにしても、この作家はどういう段階を経てこれらの小説を書いたのだろう。最初に魚の名前があって、そこから想像力を働かせて書いているのだろうか?だとしたらすごい想像力だ。 -
カワマスの表紙に惹かれ、なんとなく購入してした短編集。
題材とされている魚は12種類。これらが怪魚と表現されているものの、
そのうち本当に怪魚なのは、今を以て伝説のタキタロウくらい。
だから、タイトルはやや大袈裟(^^;)なのだが・・・。
それでもこの本、かなり夢中になって読めた。
各篇でノンフィクション風・時代小説風・お伽噺風・ホラー風と粒が揃っており、
うまくテーマの魚とシンクロする。
個人的に印象に残ったのは、第6話のアオウオ、第10話のレイクトラウト、第11話のコイ
のエピソード。どれもあんまり怪魚では無いのだけど(^^;)。
そして、気になる釣りに関するディテールは、あまり深くは無い。
しかし、釣りが好きな人こそ本当に楽しめると思う作品。 -
あまり期待せず読み始めたのに、読み進むにつれ引き込まれ、いつか読了してしまう。
そんな本に出合うと、とても得をした気分になる。
最近では『日本怪魚伝』(柴田哲孝・角川文庫)がそうだった。
柴田哲孝というと『下山事件 最後の証言』を書いたノンフィクション作家、というイメージがあったので、本書を買った時には同じ作者と気づかなかった。
冒頭作のタイトルに「アカメ」とあったので、これは四万十の巨魚アカメについて書いているのだろうと思い、興味をそそられて“ついで買い”しただけだったのだ。
エッセイあり、ルポあり、短編小説ありと「まぼろしの魚」をテーマにさまざま趣向をこらした編集だが、未収録原稿の寄せ集めといった感じはあまりしない。
それはたぶん、著者の思いがジャンルを超えて一貫しており、一冊の本として捉えても、提起しているテーマにブレがないからだろう
ロマン豊かな「釣魚本」であると同時に、「まぼろしの魚」たちを失われゆく自然からの使者として描いているのである。
著者はかなり年期の入ったの釣師のようで、「河は眠らない」という開高健へのオマージュ作品(というより主人公が開高健)も収録されており、「オーパ」を読んだときの衝撃についての記述も出てくる。
わたしは釣りをしないし、「スポーツ・フィッシング」なんて言葉には嫌悪感を感じる。
今、日本の河川で起きている在来種保護の動きが、外来種への“ポグロム”としか見えず、そこに抜きがたいエゴを感じる。
「自然の保護・保全」「生物多様性」というお題目を聞くと、自然を管理したいという発想の単なる「変換」にすぎないのではと違和感を抱く。
しかし釣師として川に立ち、物書きとして自然に向き合う柴田氏は、外来種駆除を「どうしようもないことだ」と語る。ブラックバスのキャッチアンドリリースは、「してはならないこと」と言う。現実の問題として、日本固有の生態系を守り、回復するためには、いまや害をなす魚種は根絶せざるを得ない、それほどまでに外来種は蔓延しているのだという。
しかし、そこには正義も大義もない。魚相手に大げさだと言われるかもしれないが、私たちはせめて痛みを感じなければならない。
外来種という社会の敵を作ったのがほかならぬ社会の要請だったことに責任を感じなければならない。痛みの一片さえないのでは、単なる虐殺にすぎない。
昔の人なら供養塔を建て、社に祀っただろう。自らの罪の告白と後世への戒めとしてである。
著者・柴田氏もまた、少なからぬ痛みを感じているように読めた。
そうでなければ、魚をテーマにした本など現代に書けるはずもないのだが。
読み終えて、いろいろと考えるところがあったのが収穫。 -
釣り
著者プロフィール
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