マグマ (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 161
  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943098

作品紹介・あらすじ

外資系投資ファンド会社勤務の野上妙子が休暇明けに出社すると、所属部署がなくなっていた。ただ1人クビを免れた妙子は、支店長から「日本地熱開発」の再生を指示される。なぜ私だけが?その上、原発の陰で見捨てられ続けてきた地熱発電所をなぜ今になって-?政治家、研究者、様々な思惑が錯綜する中、妙子は奔走する。世界のエネルギー情勢が急激に変化する今、地熱は救世主となれるか!?次代を占う、大型経済情報小説。

感想・レビュー・書評

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  • 本を閉じた時に胸に生じた熱い気持ちをどうしたらよいのだろうか。
    これは大人のファンタジーだと思う。感動も当然したがそれ以上に高揚感のある作品だった。読み終わった今余韻が残っていてそのまま次の読書にシフト出来ない。

    所謂ハゲタカと呼ばれる外資系のファンドに勤務する野上妙子は、地熱発電の会社を買収再生する任務に当たる。採算ベースに乗せ、会社を売却し利益を得る。リストラをし会社を立て直そうとする妙子と、地熱発電への熱い想いを持つ研究者と衝突する。
    研究者と衝突しレクチャーを受ける度に深まる疑問。事故のリスクを伴う原子力発電と比して、地熱発電は夢のエネルギーとも言える。何故エネルギーの選択肢として狭間へ追いやられているのか。
    研究者達と解りあうごとに深まっていく地熱発電への希望。妙子は次第に彼らに惹かれていく。
    しかし彼らの純粋な志は、否応無しに憎悪渦巻くパワーゲームに巻き込まれ翻弄されていく。果たして地熱発電はこの国に根付くのか。鬼子として葬り去られるのか。

    経済小説は旬の物であり、時間が経つと陳腐化し過去の遺物として忘れ去られていく。この作品も現実に追い越され、夢物語の残滓のように感じられてしまうかもしれない。しかし、これは世の中の理想の形を追い求める小説という形態の中では傑出した作品だと思う。
    何よりもこれだけの情報量をまとめて一つの物語を作り上げ、その中にこれだけの人数の登場人物を登場させながら薄っぺらにしない、一本筋の通った作品に仕上げる。これは中々出来る事ではないと思う。

  • レビューで「大人のファンタジー」と評されていた方がいらっしゃった。
    まさに!!
    これをファンタジーではなく現実の物となることを願う。
    エネルギー問題にはあかるくないけれども、地熱発電というものがどういったものなのか学ぶ事ができた。
    原発の真の危険性を切に訴えている。
    御室の姿が福島第一原発の収束に尽力された、故・吉田所長の姿が重なる。
    改めてご冥福をお祈りしたいと思う。

  • 978-4-04-394309-8 425p 2012・7・15 8版

  • 原子力の代替となるかどうかは別として、地熱発電にもっと力を入れていいような気がするが、本当に原発ゼロでもその動きは鈍かった。やはりコストなのか。開発の難しさなのか。時間がかかるだけなのか。でも、日本においてこの発電をやらないということはないという認識を新たにした。

  • 事実は小説より「大」なり。
    東日本大震災で明らかとなった、原発の危険性、電力会社や国の隠蔽体質は、震災が起こる前から明らかにされていた。
    そして現在も原発を国の重要なベースロード電源として定めた政府には、様々な利権が絡み、クリーンエネルギーへの転換が妨げてられているという構図がなんとなくイメージできた。
    今明らかにされている原発事故はまだまだ氷山の一角で、地熱発電をはじめとする様々なクリーンエネルギーについて国民一人一人が考えていく時代なのだな、と痛感。
    フィクションに感じさせないリアルさとそれぞれのキャラクターの物語が相まってボリューミーな内容になっています。人を説得させる話術も勉強になりました。

    May. 29, 2015

  • 地熱発電と原発の問題に関する話。
    これが、311前に書かれていると知り、驚く。
    311前にも原発問題がきちんと提起されていて、感心した。
    ただ、小説のようにうまく事は進まないよなーと思いながらも、エネルギー問題を考える一助になった。

  • 今さらながら読みました。著者の取材力がすごい。原子力に代わる地熱発電を実現させるために努力する人々にロマンを感じました。ドラマ版も評価が高いようなので、映像でも見てみたい。

  • 3.11以降の原発停止、地震による大停電を体験したわりにエネルギー問題への認識がいかに浅かったかを本書により痛感した。
    ハゲタカシリーズのような爽快感はないけど、問題提起作品としてはとても上質だなぁと思いました。

  • 外資のファンドと地熱発電の開発企業の話。
    3.11の前に書かれたこと、原発の業界を取り巻く環境について描かれた部分が印象的。

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著者プロフィール

真山仁(まやま じん)
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。読売新聞記者を経て、フリーランスとして独立。2004年、熾烈な企業買収の世界を赤裸々に描いた『ハゲタカ』(講談社文庫)でデビュー。これが代表作となり、ドラマ・映画化された。
「ハゲタカ」シリーズのほか、『虚像の砦』『そして、星の輝く夜がくる』(いずれも講談社文庫)、『売国』『コラプティオ』(いずれも文春文庫)、『黙示』『プライド』(いずれも新潮文庫)、『海は見えるか』(幻冬舎)、『当確師』(中央公論新社)、『標的』(文藝春秋)、『バラ色の未来』(光文社)、『オペレーションZ』(新潮社)がある。

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