僕とおじいちゃんと魔法の塔(1) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 225
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943319

作品紹介・あらすじ

岬にたたずむ黒い塔。まるでお化け屋敷のようなその塔は、鎖と南京錠で封印されているはずだった。だけど、ある日、塔に行ってみると、そこには、僕が生まれる前に亡くなったおじいちゃんが住んでいた!しかもその塔には、もっと驚く秘密もあって…!?幽霊のくせに(だからこそ?)ヘンテコなおじいちゃんとの出会いが、僕の決まりきった生活を変えていく-。運命を変えられた僕のびっくりするような毎日がはじまった。

感想・レビュー・書評

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  • かなり昔に買って積読していた本。ふと読んでみようと手に取った。最近、私が考えていた事柄が文中に出てきて、積読を読もうと思うタイミングも偶然じゃなく必然なのかも…としみじみ。

    優等生な兄弟と正当派な家族の中で、なんとなく違和感を感じていた主人公が、祖父の残した不思議な塔で祖父の幽霊と過ごすうちに自我に目覚めていく、というようなお話。思春期のごく普通の少年が「自分」というものを見つけ、何が善で何が悪なのか考える力を持つ。
    自分と家族は住む世界が違う!と家出する流れになるけれど、やはり真っ直ぐな両親に大切に育てられたからこその主人公の姿だよな~と思った。(グレたり悪ぶったりしないし…)登場人物と同様、正当派な物語な印象。

  • 歪んだ善と、悪のような純粋さが痛い。
    多分、大半の大人は歪んだ善と共にあって、それに違和感すら感じずにいるんだなぁと。
    そんな大人に善とは悪とはと教われば、自然と子ども達にも歪みは伝わって結局前も悪も綯い交ぜになってしまう。
    それを甘受すればいわゆる『普通』の大人になって、疑問を持てた子どもが『特別』な大人になる。

    何の疑問も持たず普通の大人になってしまった身としては、主人公が眩しくて、おじいちゃんに叱咤された気分。
    大人も読める児童文学だけど、やっぱり子どもの内に読んでもらいたいなぁ。

  • 香月さんが早逝されたとき、勢いで購入したまま積まれておりました。久々の香月節に感無量です。
    世の中に蔓延る、どこか歪んだ「常識」に一括を入れる子気味良い風刺児童書。
    この内容に躊躇う親御さんもいるかもしれません。
    子どもたちの自意識を少し過剰に叱咤激励する内容は、思い通りに子育てをしたい親から見たら有害図書です。でも真実は確かに、この中にもあると思います。
    幽霊や悪魔が登場するファンタジーですが、善悪の歪みに気づかない世論に一筋の風を吹かせます。
    次巻からは高校生編とのこと。楽しみです。

  • 「普通」の生活を送っていた主人公・龍神が幽霊のおじいちゃんと出会って、「自分らしさ」や「普通」と「特別」などについて見つめなおしていくシリーズもの。
    香月さんらしい、メッセージ性の強い物語です。

  •  ふと、久しぶりに読んだ。
     初めて読んだのは小学六年生の頃で、当時の私はすっかり香月日輪さんの世界観の虜になっていた。子供は親の持ち物ではない、子供には好きにものをする権利がある、例えそれが塔で(幽霊のおじいちゃんととはいえ)一人暮らしをすることでも……

     しかし、今になると、香月日輪ワールドは思春期の延長なのだなぁと気付いた。
     昨今の小説は二つに分類され、一方は作者自身が思春期をこじらせ、こじらせ、こじらせまくったまま長年無理矢理作品を生み続けるもの、それに対し他方は自身の人生経験や知識を使い本当に読む価値のあるものへ昇華させたもの、なのだらしい(以前、模試の論説文で読みかじっただけなのだが)。

     香月日輪の世界はまさしく前者、子供が、女の子が望む"こうあってほしい"ものなのだ。調度は派手なものであり、美少年・美少女が登場し、ワル格好いい大人も出てきて、それと対照的に過度なほど格好悪い大人やひねくれた子供もいて、そういった人たちは徹底的に避難され、ボーイズラブがほのめかされ、同性愛は美しいものなのだと言う……
     大人になって再読すると、そういった思想の我の強さに、多少辟易とする自分がいた。世界観がいかに面白かわいくお洒落だとしても、そういったアクの強さは読むたび強まるばかりで困る。今思えば11歳の私はこの本を鵜呑みにし大分イタいことを散々かましていた。大人になった私が当時の私に声をかけるとすれば、鵜呑みにしてないでちょっとは自分で考えなさい、ということだ(世間のニュースに対する我々の認識と同じようなものだと思ってほしい)。

     ただ、この小説の良いところもある。世界観が抜群に面白いということもあるが、いじめに立ち向かったり、孤独を恐れなかったり、差別を自覚したり性について考えはじめるきっかけへとなりえるからだ。それについては保証する。実をいうと、作者が急逝したためこの作品のシリーズは未完で終わっているのだが、正直その事実を知ったときは泣いた(ガチ)。それほど大好きだった。そんなガチ信奉者な私であるがゆえに公平さをもっておすすめをしたかった。どうかこの作品を読むときは、フィクションもフィクションな設定にドップリ浸かって憧れてみてほしい。そして一巻はいわゆる序章なので続きを読むのを薦める。

  • 自分がどうあるか、どう感じるかが大切なんだよ、と教えてくれるファンタジー小説です。
    足に障害を持つ友達のために、運動会のかけっこでは学校のクラスみんなで手を繋いでゴールする。これは本当に良い行いなのか?など、何が善で何が悪なのか、常識とは?というテーマも含まれています。
    短くて面白いのでサクッと読めます。

  • しっかりとして男らしい父のもと、仲のよい家族の一員だった龍神。小学六年生だが、人気者の弟のように特徴のない。

    そんな龍神がみつけた、不思議なお屋敷。
    そこは祖父の持ち物だったことを知る。
    屋敷に惹かれた龍神は、死んだはずの祖父と出会う。

    自分らしさとは、良いこと、悪いこととは。
    色々なことを学んでいく龍神の成長を描く。

  • 僕とおじいちゃんの優しい時間が詰まった不思議な物語です。

  • うひ。児童向けだけど、おもしれぃ(*´-`*)

    岬にあった黒い塔。
    そこは、僕が生まれる前に死んだおじいちゃんの家だった。
    そして幽霊のおじいちゃんと出会った。


    自分は正しいのだ
    可哀想な母子のために良いことを言っているのだ
    という、揺るぎない自信に満ちていた。まるで、そんな自分に酔っているように思えた。

    この世で最も性質の悪い人種とは『善人』なのよ

  • 2000年にチャレンジキッズ5年生で連載されていたとか。当時私は小学2年生。そして、文庫化されたのが2010年。小学校高学年のときくらいに出会えていたら幸せだろうなあと思う一冊。家族や、信久のお母さん、クラスメイトが大袈裟に描かれているかなあと、少し大きくなってから読むと思ってしまいますが…。自分で考え、行動すること、自分の意見を持つこと、対話の大切さなど、そうだよね!って半ば童心に返ったような気持ちで読ませてもらいました。龍神がピュアで真っ直ぐで、こちらの背筋が伸びる。

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著者プロフィール

和歌山県生まれ。本シリーズの第1作目で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。「ファンム・アレース」シリーズ(講談社)「大江戸妖怪かわら版」シリーズ(理論社)など、YA(ヤングアダルト)小説の作家。

「2021年 『妖怪アパートの幽雅な日常(23)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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