メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 143
  • Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943449

作品紹介・あらすじ

暗号名ソリッド・スネーク。悪魔の核兵器「メタルギア」を幾度となく破壊し、世界を破滅から救ってきた伝説の男の肉体は急速な老化に蝕まれていた。戦争もまた、ナノマシンとネットワークで管理・制御され、利潤追求の経済行為に変化した。中東、南米、東欧-見知らぬ戦場に老いたスネークは赴く。「全世界的な戦争状況」の実現という悪夢に囚われた宿命の兄弟リキッド・スネークを葬るため、そして自らの呪われた血を断つために。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争が抑止される時代から管理・制御される時代に変わった近未来の物語。戦争は地球上から無くならず、戦争は経済の一部となり世界を支えるようになっていた。戦力が売り買いされ兵士、すなわち人命までも合理的に値段がつけられる中で、あがき生きる意味や戦争の意味を見出そうとするスネークたち。人が戦うということを考えさせられる。

    ゲームを買う前に読んでしまったのですが、あまりにも面白く、読破後PS3とソフトを買いに行きました。もしゲームを持っていなくて登場人物や場所などの雰囲気が想像しにくい人はゲームの公式サイトの予告編を見てみるとすごく読みやすくなる思います。もちろん最初から少し絵や図などの要素も入っていたら読みやすくなっていたと思います。

    また小説ならではの細かい表現や独自のシーンなども少々入っていてゲームをやりこんだ人も楽しめるようになっていました。あと語る視点がオタコン中心なところもゲームと違って面白い要素だと思います。削られたシーンとしては、ゲーム内でボスとなっているBBが出てきません。

  • 小島監督と言う人がMGSと言うゲームを作り出し、伊藤計劃と言う人がこの作品を愛し、そのシリーズの四作目をノベライズすることになり、この作品の持つテーマが奇しくも伊藤計劃と言う人の人生にリンクした、奇跡としか言い様がない作品。
    ゲームのノベライズってものを初めて読んだけど、映像から文章へと還元されたことで、文章の持つ力と言うものをはっきりと見せつけられた。
    音楽がある分、ノベルゲーの方が小説より感動する(キリッなんて言ってた自分が恥ずかしい。過去に戻って殴ってやりたい。
    虐殺器官を読んで伊藤計劃さんという作家に抱いた印象は、必要な情報を無駄なく綺麗に表現する人だった。ビューティフルと言うよりはクリーンなイメージ。
    そのイメージの通りの文章を今作でも見せつけてくれたけど、あとがきで小島監督が述べていたように、伊藤さんは作品の行間を読む力がとてつもない。
    その力が持ち前の表現力によって惜しみなく発揮され、MGS4と言う物語をとても繊細なバランスの上に成り立たせている。
    すなわち、伊藤計劃の描くMGS4と小島監督の描くMGS4と言う二つの作品の丁度中間に奇跡的とも言える均衡の上成り立っているのだ。
    伊藤さんもあとがきでノベライズと言うものについて語っていたけど、彼の表現したかったものは、少なくとも自分の目には完璧に表現されていたように映った。
    MGS4と言う作品を見届け、そのノベライズに携わることの出来た後、逝くことの出来た伊藤さんの幸福を想いつつ、最新作であるMGSPWの完成を見届けること無く旅立ってしまった伊藤さんの不幸に心が痛む。
    でも、作中でオタコンも言っていたように、人は死んだ後も、誰かの中に物語として生き続ける、と思えば、文字通り伊藤さんの遺した物語達は、今自分の胸の中に深く刻まれたように、多くの人の中に残り続けると思う。
    亡くなった伊藤さんのため、とかそんな偽善ぶったようなことを言うつもりはないけれど、この小説は一生部屋の本棚に保管し続けようと思った。

  • 壮大な男の一代記。相棒のオタコンが語る過去と現在。こんがらがったが、なぜそういう作りなのかがわかった瞬間、泣けた。

    好きだから大切にしたいモノがある。大切にしたいけど好きだから…。こう「好き」が詰まった宝物のような物語。長かったけど、気持ちいい読後感だった。

    「毎日の食卓にも、誰かの物語が生きている。この世界は、そんなささやかな物語の集合体なんだ。」たとえ。まずい目玉焼きがでてこようと…。

  • PS3のMGS4のノベル版。

    この小説にはBB部隊が出てこないので話はわかりやすくなっているのにもかかわらず、このボリュームである。
    キャラクターの個性をしっかりと出している伊藤計劃さんは凄い。

    そして最後の本編にはなかったオタコンの台詞。
    スネークは良い余生を送れていたことがわかって良かった。

  • 伊藤さんの文体で、大好きなメタルギアの世界をもっと読みたかった。もっと早くにこの人の文章を知っておきたかった。
    この天才は何故、死ななければならなかったのか。

  • プレステのゲームのノベライズ版。ベースは4。執筆は今は亡き大好きなSF作家、伊藤計劃。

    メタルギアソリッドは1しかやったことはないのでこっちの世界観はあまりイメージわかないが、「虐殺器官」「ハーモニー」の世界観を十分に堪能できる。

    メタルギアをやってなくても、知らなくても、極上のSFとして楽しめる。

    むしろ伊藤計劃の作品を読むなら、メタルギアを入り口にした方が良いかも知れない。

    メタルギアの世界観をさらにもっと楽しみたい人は「虐殺器官」「ハーモニー」と読んで行く方がオススメだろう。

    それにしてもこの方の早世は本当に残念でならない。

  • その言うや善し。人がまさに死ぬそのときに語ったことは、単なる言葉ではない。それはぼくという存在に根を張って、未来に向け枝を伸ばしていく生命の一部なのだ。

    人間はいつだって時間がないんだ。そうやって互いの距離ばかり探り合っていては、結局何ひとつ伝わらない。けれど、ぼくらはいつだって、それをさぼって先送りにしてしまう。

    すでに決した過去の過ちを償うことよりも、不確定な未来に道しるべを立てるほうが、どれほど価値ある行いだろうか。重石を地面に下ろすより、持ち上げるほうが辛いのは当たり前だ。

    人は誰もが父親になれるわけではない。ある男が父親になる境界、それは愛する人が自分の血を分けた子供を身ごもった時点でも、お腹から子供が生まれ出た時点でもない。自分の子を引き受けて、共に生きる決意を絶対のものとして固めたそのときが、人が父親として生起する瞬間なのだ。

    誰かと比べて勝ち負けを九官鳥のように喧しくさえずるのは、確かに馬鹿げているだろう。だが、自分自身に対する戦いには、確かに勝敗が存在するんだ。

    父親、母親、わずかでも自分の面影を見出すことの出来る、年老いた肉親の死。それを看取るということは、いずれ自分が迎える死の予行演習でもあるのだ。日常避けてきたその想像を、肉親の死によって否応なく見せつけられること。それによって、人は自分に残された時間を何に用いたらよいのか、真剣に考えざるを得なくなる。



    あとがきが、またひとつの物語になっている。境地というものなのだろうか。

  • 伊藤計劃は本当に惜しい。近未来のミリタリーSFとか暗い感じのSF書かせたら右に出るものはいないんじゃなかろうか。前の虐殺器官は終わりにちょっと「?」って思ったけどこっちはすべてしっくりくる。

    しかし、メタルギアシリーズって複雑だ。ゲームやっただけじゃわからん。活字化されて初めて頭で整理できた。
    最初から最後まで「敵」だったリキッド、ソリダス、オセロットには彼らなりの思惑と正義があって最終的に帰結する目的はソリッドと同じものに落ち着いたという皮肉。こういう理不尽さみたいなものを描くのが本当に巧かった。

  • 一人の蛇の話
    伝説の話
    そして
    悲しき運命に捕らわれながらも最後まで自分の責務(任務)を果たした。
    老兵の話
    感動します。

  • MGSの世界の素晴らしさが詰まっていて、涙なくしては読めなかった。
    それぞれの抱えた運命をどう戦っていくのか。小島秀夫と伊藤計劃の友情の証みたいだよね。

  • ゲームのノベライズ、しかもやったことも見たこともないゲーム。

    手に取ったのはひとえにこれが、伊藤計劃氏のものだったからに他ならない。
    そしてそれは、どんなノベライズよりも異彩を放っている。

    ゲームをしたことのあるものにはおそらくもっと、迫るものもあるのだろう。
    でも、そうでないあたしにも、これは来る来る!

    ヒーローであるボスのクローンとして運命づけられた、ソリッドとリキッド。
    そして同様に武器としてかりそめの命を与えられた、雷電。
    科学者のオタコン、吃音の天才科学者サニー、
    自分を賭して世界を変えた、ナオミ。

    世界観と武器と時代設定とマシンと、
    すべての造形の描写がじっくりとこだわり抜かれていて、重たい。

    想いってすごい。
    一言でいったらこれは、最良で最高のオタクの結晶なんだろう。
    作品の向こうにある、伊藤氏の想いとその運命に、泣きながら読了。

  • ゲーム版とは異なる、オタコン視点でのストーリー。
    伊藤さんの素晴らしい物語に圧倒。亡くなられたことが本当に残念。

  • METAL GEAR SOLID4は未プレイ

    メタルギアシリーズは話が複雑で理解するのが難しいところもあるのだが、この小説ではとてもわかりやすく全シリーズ補完されているのでメタルギアシリーズ未プレイの人でもまったく問題なく読めるようになっている。

    オタコンを語り手として書かれているので自分としては物語に入り込みやすかった。

    登場人物一人ひとりの「物語」をしっかり胸に受け止めることができたと思う。

  • ゲームはシリーズ中1,2はクリア済み。3,4は途中まで、というプレイ状況で読みました。伊藤さんの思い、小島監督の思い、登場人物たちの思いがたくさんたくさん詰まってます。読めて良かった。そしてもっと伊藤さんの書く本をこれからも読みたかった。
    この小説で色々感じたことを思いながら、ゲームも時間がかかってもいいから、ちゃんと最後まで見届けよう、と思いました。

  • 伊藤計劃氏によるメタルギアソリッド4のノベライズ。
    同『虐殺器官』、『ハーモニー』を読了したため本作を手に取りました。

    私はMGSを何作か少しだけプレイしたことがあっても、4は未プレイ。
    それでも、十分に楽しめる作品でした。
    伊藤作品らしさが随所に見られつつも、描かれているのはMGSの世界。
    ただのノベライズというより、伊藤計劃によるMGS。
    そんな雰囲気がありました。
    あとがきで執筆の背景を知りましたが、本作はとにかくすごいですね。
    ただその一言です。

    願わくば、MGSシリーズ全てをノベライズしてほしかった。
    シリーズ物として本作を読みたかった。
    読後はとにかく、その気持ちでいっぱいになりました。

  • メタルギア自体は全くプレイした事はないんですが。
    つか私に全く向かないゲームだと思うので(笑)
    伊藤計劃がノベライズってことで。
    ゲームの世界観は分からないけれど、小説としての世界観はものすごくナイーブで残酷。
    伊藤計劃の世界なんだろうなと。
    確かにあとがきにあるように「虐殺器官」の素地が含まれているというか。

    最近内紛が多く勃発したけれど。
    ツイッターという機能も虐殺器官になりえるんだなぁと思った。
    って、メタルギアの感想ではないのか?

    オタコンのビジュアルが意外に良かったので安心した(笑)
    気になったのでHPを見に行ってしもうた…。

  • すっかりゼロ年代至上の作家を称されるようになった、伊藤計劃によるメタルギア・ソリッドのノベライズ。小説他映画演劇において様々なジャンルあれど、至上の作品はどのジャンルの作品でも敬意に表すべき。ゼロ年代における最高の作家、つまりゼロ年代におけるシェイクスピアが伊藤計劃なのだ。

  • 僕自身は「メタルギア」の世界観を全く知らないんですけど… 伊藤計劃さんものなので購入しました。
    だからかもしれないですが、前半の過去の世界観、サーガを織り交ぜた展開は、実はついて行けなかったと言うのが本音です。でも、中盤当たりからドラマの動きの中心が絞られてきてからは、心地よく(笑)読み進めることができました。
    あとがきで伊藤さん自身が書かれているギミック、「オタコン」目線で物語を紡ぐ事。これはきっと「メタルギア」の世界観を知っている方に取っては、とても新鮮で俯瞰的に読む事ができるのかもしれないですね。でも、初心者にとっては、ちょっと厳しかったかな(もちろん、僕の読解力・暗記力の問題)。初めてこの世界に接する人にも楽しめる書籍であること、この使命感というか重責、そして伊藤さん自身の「メタルギア」に対する愛情が、逆に作用してしまっているのかなと感じました。ホント、申し訳ございません。小説の醍醐味である「感情移入」、読み手としての自分の置き所が難しかったです。
    とは言え、伊藤さんがお持ちになっていたと僕が感じている世界観はとてもよくあらわれていると思います。「ハーモニー」に受け継がれるモノ、「人」やそれを取り巻く環境が「デジタル化」される事の意味、「究極の平和」とそこに置ける「個人」の有り様と国家(という概念も無いのかな)など、楽しむ事ができました。
    本音を言えば、上下巻にわけて頂き、サーガの部分を「伊藤計劃」さんの文章として書いて頂けたら、もっとのめり込んだのかもしれません。もちろん、その時の状況は理解していますが。
    と言うわけで、僕としてはちょっと渋めの感想です。ほんと、吸いません、あっ、僕はヘビースモーカーなんですが(笑)、もとい、すいません。

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    webKADOKAWA紹介文より。
    ソリッド・スネーク、最後の物語。
    戦争経済に支配された世界と、自らの呪われた運命からの解放のため、伝説の英雄ソリッド・スネーク最後の戦いが始まる。全世界でシリーズ2750万本を売り上げた大ヒットゲーム完結編を完全小説化!

    スネーク、最後の物語(ミッション)。
    第30回 日本SF大賞受賞(『ハーモニー』)作家
    伊藤計劃による「メタルギア ソリッド4(ゲーム)」を超えた傑作(ノベライズ)、登場!
    暗号名ソリッド・スネーク。悪魔の核兵器「メタルギア」を幾度となく破壊し、世界を破滅から救ってきた伝説の男の肉体は急速な老化に蝕まれていた。戦争もまた、ナノマシンとネットワークで管理・制御され、利潤追求の経済行為に変化した。中東、南米、東欧――見知らぬ戦場に老いたスネークは赴く。「全世界的な戦争状況」の実現という悪夢に囚われた宿命の兄弟リキッド・スネークを葬るため、そして自らの呪われた血を断つために。
    http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200912000570

  • 初めて読んだ伊藤計劃作品がこれでした。伊藤計劃さんからメタルギアシリーズへの深い愛を感じる作品です。勿論土俵が違うので、単純な比較はできませんが、単体としての出来栄えはゲーム本編をも上回っているように思います。

  • ゲーム・ドラマ・映画のノベライズ化の殆どは、「物足りなさ」「文章にしただけ」「イメージと異なる」といった印象が強い。
    そして、メタルギア2・3・ピースウォーカーをプレイし大好きなだけに、ノベライズは、負の印象があったが、「虐殺器官」を先に読み、作家を信用して、読み始める。
    この作品は、実に素晴らしい。
    (原作であるゲーム(GOP)をプレイした事がないのだが)原作の重厚な内容を作家独自で集めたと思われる「現実社会の情報」をイイ感じに織り交ぜており、あっという間に読了。
    見所としては、
    作者の闘病生活経験があるせいか、主人公(スネーク)のナノレベルでの生命の危機に関する描写は、秀逸。
    難点は、
    メタルギアのプレイした事がない人が読むには、ちとハードルが高いので☆4.

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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