ひめゆり 沖縄からのメッセージ (角川文庫)

  • KADOKAWA (2010年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784043943661

作品紹介・あらすじ

人間が人間でなくなっていく”戦場”での体験を語り続ける宮城喜久子。記録映像を通じて沖縄戦の実相を伝えていく中村文子。二人のひめゆりの半生から沖縄戦、そして”戦後日本と沖縄”の実態に迫る一級作品!!

みんなの感想まとめ

沖縄戦の実相を通じて、戦後の沖縄の歴史やその後の状況を深く考えさせられる作品です。著者は、戦場での凄惨な体験や沖縄と本土との温度差を描き出し、読者に強いメッセージを届けています。特に、ひめゆり学徒隊の...

感想・レビュー・書評

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  • 毎年8月には先の大戦に関する書籍を意識して手にするようにしています。

    今年は特に沖縄戦に関する書籍を読もうと決めていました。

    本書では先日読み終えた「新版 ひめゆりの少女 十六歳の戦場」の著書である宮城喜久子さんが多くの体験を語られています。

    ひめゆり学徒隊として体験した沖縄戦、戦後のアメリカ統治、本土復帰、ひめゆり平和祈念資料館の建設・運営、沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会、戦後の基地問題から安保法制まで。

    本文だけで498Pと盛りだくさんの文庫本でした。

    本書に私のくだらぬ前置きはいりません。
    かわりに本文より一部を記したい。


    病院壕の中で聞こえるのは「学生さーん、学生さーん、水下さーい、水下さーい」と叫ぶ傷病兵の声、そして「ウジが人間を食べる音」。(本文より)

    「武器を持って人を殺し合って平和が作れますか?殺し合いは憎しみしか生まれません。戦争はあらゆるものを無にします。お金も財産もすべて灰になり、何の役にも立たないことを私は戦場で体験しました。平和こそ最高の遺産です。粘り強く、時間をかけて対話で平和をつくる。そのことが本当の平和のはずです」(宮城氏)

    「戦争を起こさない手だては、みんなが反対の声をあげることです。戦争は兵隊同士がやるものと思っているでしょ?そうじゃないんです。赤ん坊からおじいちゃん、おばあちゃんまでみんな一緒に戦場で殺されたのです」(中村氏)

    (´ρ`*)コホン
    では、本書の内容を含めた感想を。

    「新版 ひめゆりの少女 十六歳の戦場」で宮城喜久子さんの証言に触れた後、私はさらに深く沖縄戦とその記憶に向き合いたいと思い、小林照幸氏の『沖縄からのメッセージ ひめゆり』を手に取った。

    本書は、ひめゆり学徒隊として沖縄戦を生き抜いた宮城喜久子さんと中村文子さんの体験を軸に、戦後の沖縄が歩んできた道のりを丹念に描いている。
    読み進めるうちに、戦争の悲惨さだけでなく、記憶を記録へと昇華させる営みの尊さに心を打たれた。

    ひめゆり学徒隊の証言は、戦争の残酷さをこれ以上ないほどに突きつけてくる。
    十六歳という年齢で、看護要員として戦場に動員され、目の前で命が失われていく現実に直面した少女たち。
    宮城さんは、負傷兵のうめき声、壕の中での死、そして自らも死を覚悟した瞬間を語る。
    その言葉は、単なる記録ではなく、魂の叫びであり、読む者の胸を締めつける。
    中村文子さんの証言もまた、戦争が人間の尊厳をいかに踏みにじるかを静かに、しかし力強く伝えてくる。

    本書が優れているのは、戦争体験の記録にとどまらず、戦後の沖縄の歩みにも光を当てている点。
    アメリカ統治下での生活、本土復帰への思い、そしてひめゆり平和祈念資料館の建設・運営に至るまで、宮城さんたちは「語り部」としてだけでなく、「記憶の継承者」としての責務を果たしてきた。
    特に「沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会」の活動は、戦争の映像記録を保存し、後世に伝えるという意義深い試みであり、記憶が風化していく現代において、極めて重要な役割を果たしている。

    また、戦後の基地問題や安保法制に対する宮城さんたちの姿勢からは、単なる「反戦」ではなく、「平和を守るために語り続ける」という強い意志が感じられる。
    戦争を体験した者が語る「平和」は、決して抽象的な理念ではなく、血と涙にまみれた現実の中から紡ぎ出された切実な願いである。

    本書を読み終えた今、私は「記憶から記録へ」という言葉の重みを改めて噛みしめている。
    語られなければ消えてしまう記憶、記録されなければ伝わらない真実。
    それを守り、伝えることは、私たちの責務であり、未来への贈り物でもある。
    ひめゆりの少女たちが残した言葉は、今を生きる私たちに「平和とは何か」を問い続けている。



    最後に巡回展「ひめゆり 平和への祈り!沖縄から65年」(2010年4月~10月)でのメッセージでしめたい。

    沖縄戦から生き残った私たちは自らの体験を語り
    戦争のむごさ、平和の尊さ、命の大切さを
    訴え続けてきました
    戦争の実相を伝えることが
    亡き師・亡き友への鎮魂につながると信じてきたのです
    私たちの体験を知ったあなたが
    次の世代につないでくれることを願ってやみません

    <あらすじ>
    小林照幸『ひめゆり 沖縄からのメッセージ』は、沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」の生存者たちの証言を通して、戦争の悲惨さとその後の沖縄の歩みを描いたノンフィクション作品です。

    1945年、沖縄戦の激化に伴い、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒たちは「ひめゆり学徒隊」として従軍看護に動員されました。13歳から19歳の少女たちは、南風原陸軍病院の壕で負傷兵の看護にあたり、麻酔もない中で手術の補助をし、死と隣り合わせの日々を過ごします。戦況が悪化する中、6月18日に突然「学徒隊解散命令」が出され、壕を追われた彼女たちは米軍の総攻撃の中で逃走を余儀なくされ、多くが命を落としました。最終的に227名が死亡し、その中には自決を選んだ者もいました。

    本書では、奇跡的に生き延びた宮城喜久子と中村文子の半生を軸に、戦場での体験だけでなく、戦後の沖縄が抱え続けた基地問題、皇民化教育の影響、そして「殉国の美談」として語られることへの違和感が語られます。彼女たちは「国のために死んだ少女たち」という美化された語りに抗い、戦争の実相と沖縄の苦悩を後世に伝える語り部として生きることを選びました。

    戦後、沖縄はアメリカの軍政下に置かれ、通貨は「B円」、行政は米軍の支配下にありました。1972年の本土復帰まで、沖縄の人々は「祖国復帰」を願いながらも、基地経済の恩恵と矛盾に揺れ続けます。本書は、戦争の記憶を風化させず、沖縄の歴史と現在を見つめ直すためのメッセージとして、読む者に深い問いを投げかけます。



    本の概要
    悲劇の象徴「ひめゆり学徒隊」。その十字を負った二人が生きた"戦後"とは

    人間が人間でなくなっていく”戦場”での体験を語り続ける宮城喜久子。記録映像を通じて沖縄戦の実相を伝えていく中村文子。二人のひめゆりの半生から沖縄戦、そして”戦後日本と沖縄”の実態に迫る一級作品!!

    著者について
    小林 照幸:昭和43(1968)年、長野市生まれ。ノンフィクション作家。明治薬科大学在学中の平成4(1992)年、『毒蛇』(TBSブリタニカ・文春文庫)で第1回開高健賞奨励賞を受賞。平成11(1999)年、『朱鷺の遺言』(中央公論社・中公文庫)で、第30回大宅壮一ノン

    • 本ぶらさん
      何年か前に亡くなった叔父は、大戦中、乗っていた駆逐艦に魚雷が命中して沈没。一晩、海を漂って、翌朝に僚艦に救助されたらしいんです。
      そんな死...
      何年か前に亡くなった叔父は、大戦中、乗っていた駆逐艦に魚雷が命中して沈没。一晩、海を漂って、翌朝に僚艦に救助されたらしいんです。
      そんな死に直面した体験をしているのに、いつも静かに笑っている顔が子どもながらに印象的でしたね。
      そういえば、テレビでみる水木しげるも、いつも笑っているオジサンでしたけど、その子どもによれば、寝ている時に戦争の夢を見てうなされたり、声をあげたりしてたらしいですけど。
      叔父の中にもその時の恐怖というのは残っていたはずで、あの静かに笑っていた穏やかな顔の裏で、どうやってそれをやり過ごしていたんだろうなぁーって感慨にふけっちゃいます(^^ゞ
      2025/08/25
    • ヒボさん
      叔父様は当時のことを語ってくれたんですね。
      私の祖父母、伯父伯母を含め話してくれたことはありませんでした。
      今思えば聞いてみたかった気もしま...
      叔父様は当時のことを語ってくれたんですね。
      私の祖父母、伯父伯母を含め話してくれたことはありませんでした。
      今思えば聞いてみたかった気もしますが、本人からしたら思い出したくもない記憶だったのかも知れません…
      2025/08/25
    • 本ぶらさん
      その話を聞いたのは従兄弟(その叔父さんの子どもではなく、弟にあたる人の子ども)です。
      駆逐艦に乗ってて沈められた話は、たぶん、戻ってきた時...
      その話を聞いたのは従兄弟(その叔父さんの子どもではなく、弟にあたる人の子ども)です。
      駆逐艦に乗ってて沈められた話は、たぶん、戻ってきた時に親や兄弟に話して語り継がれるようになったんじゃないですかね。
      ヒポさんにそう言われて気づきましたけど、実際に行った人から戦争の話を聞いたことはないですね。
      よく聞くのは、(戦争時はまだ子どもだった人が)飛んできた敵機に機銃掃射されて走って逃げた…、みたいな話ですよね。
      あとは、空襲警報が鳴って防空壕に入った話とか?
      やっぱり、戦争に行った人は(帰ってきた時はともかく)平和になった日常下ではその話をわざわざしたくはないんでしょうね。
      2025/08/27
  • 東2法経図・6F開架:219.9A/Ko12h//K

  • 捨て石とされた沖縄本島での地上戦の凄惨さはだけではなく、戦後にも (そして今も) 続く沖縄とそれ以外の温度差を感じざるを得ない一冊。ただ、詰め込みすぎなのか、また特に第一章は話が前後することもあって何度も前ページを繰らねばならず、読むのに苦労した。

  • ひめゆり学徒隊についての本というより、戦後沖縄が歩んできた歴史の本という感じ。
    悪くはなかったし沖縄がとても大変だったことはわかる。

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著者プロフィール

昭和43(1968)年、長野市生まれ。ノンフィクション作家。明治薬科大学在学中の平成4(1992)年、『毒蛇』(TBSブリタニカ・文春文庫)で第1回開高健賞奨励賞を受賞。平成11(1999)年、『朱鷺の遺言』(中央公論社・中公文庫)で、第30回大宅壮一ノン

「2010年 『ひめゆり 沖縄からのメッセージ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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