- KADOKAWA (2010年10月23日発売)
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感想 : 97件
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784043943869
作品紹介・あらすじ
日雇い仕事で糊口を凌ぐ17歳の北町貫多は、彼の前に現れた一人の女性のために勤労に励むが……夢想と買淫、逆恨みと後悔の青春の日々とは? 『苦役列車』の著者が描く、渾身の私小説集。
感想・レビュー・書評
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普通にしてればかなり親切にしてくれそうな人たちに出会ってるのに自分でぜんぶ台無しにしてしまう。どれも面白いが『腋臭風呂』は後半下ネタだけど文章がうまくて笑える。
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先日、友人の古本屋の店主と話している中で
「お前みたいなのは西村賢太を読め」というようなことを言われた。
西村賢太とは先日芥川賞をとっていきなり時の人となった、ちょっと風変わりな私小説家であることは知っていたけれど、まだ彼の文章をいちども読んだことはなかったので、文庫になっているのはあるの?と聞くと一冊だけ角川文庫で出ているのというのでさっそく買ってきて読んだ。
くだんの古本屋は「お前の好きな村上春樹の対極に位置するような作風」と言う。そういえばこの間某人気ブロガーさんが村上春樹の対極が角田光代さんの世界だとか書いていたような気がするが。
まあ、対極というのは360度いずれにも位置できるわけで、ひとそれぞれいろんな感じ方があるね。
結論から言えばこの西村賢太という作家のどこがどう評価されているのか、ワタシにはさっぱりわからん。
単にココロの極端に弱い、言い訳と責任転嫁となげやりで捻くれた精神のどうしようもない救いようの無い男が、赤裸々に自分の生活をいささか鼻につく近代文学調な書き方で書きなぐった、個人的には正直読むに値しないと思えるような内容だった。
果たして芥川賞を受賞した「苦役列車」がどんな作品なのかはわからんけれど、まあ、もういいです。
朝吹真理子さんもさんざん並んで写真撮られて災難だったでしょうなぁ、と。 -
生々しい描写、どこまでも生々しい、いやすでに生崩れしている。生の部分が液ダレしている、ぽとぽと落ちている。黄色いシミも、赤い血も、小銭の為にいきりたつ老人の形相も、尿道の奥から放たれるとんこつラーメンの匂いも、とにかく垂れている。
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これまで読んだ西村賢太作品の中で、1番面白かった。留置所の話を始めとして動きが比較的多いからか、あっという間に読み終えました。
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己の身の振り方ひとつで、与えらえた職場環境で続けていけたはずであろうカンタ。
しかし、ちょっとした些細なことで我慢できなくなり(カンタには些細なことではなかった)、相手を攻撃した挙句、転々と職を変える話。
大人の私が読めば、「どうしてそうしてしまうんだろうか」と思うところがあったが、考えてみれば中卒で一人暮らしを始めたカンタである。小説ではカンタが16歳。当時の自分に例えてみれば、世の中の常識などまったくわかっておらず、感情の赴くまま。まだまだ親の教育が必要である。
この年齢において、正しい選択をし続けることができるとは思えない。
普通の家庭だったらああはならなかっただろう、と思うとカンタがただ不憫だった。
私小説のようなので、著者自身のことを書いているのだと思うけど、自分の失敗したこと、至らなかったことを文章にする気持ちはどんなだったろう。自分だったら書いているうちに暗澹たる気持ちになってフタをしてしまいたくなる。
また、本当の恐怖とは、お化けとかではなく、「不潔」と「貧困」だと、この小説をよんで改めて思う。岩井志麻子の小説を読んだ時もそう思った。
カンタくん。お風呂入ってね!洋服を洗濯してね!
いくつかの場面の描写で、本気で「気持ち悪い」と思った。さすがです。
引き続き、カンタを見守るべく次の作品を図書館で予約した私です。 -
この前に読んだ『人もいない春』の方が若干すき。
『春は青いバスに乗って』がよかった。
警察に捕まって拘留された話で、いままで読んだことない分野でおもしろい。
『腋臭風呂』の「洗面器とタイルがぶつかりあう、聞き覚えのある音」っていうので、あのポンッて音が聞こえた気がして、銭湯行きたくなった。-
そうですよね、この作品を読んでスーパー銭湯に行くのが少し嫌になりました(笑)。でも楽しめました。そうですよね、この作品を読んでスーパー銭湯に行くのが少し嫌になりました(笑)。でも楽しめました。2022/01/22
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中卒で社会に出て日雇い労働で生きる主人公が、酒を飲んだり女を買ったり暴力を振るって刑務所に入ったりする短編集。これは私小説なので作家の経験に基づいているのかなあと思うと、よくこんなふうに生きながら本を出したな、と思う。女を求める男の欲望と虚しさや、イキがる自分とそれを省みる自分とのギャップには、等身大の人の姿があって、作家の人生を覗き見た気持ちになった。
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等身大の姿というのがまさに言い得て妙ですよね。西村賢太さんの人生をもっと覗き見たい気持ちが強くなりますよね。等身大の姿というのがまさに言い得て妙ですよね。西村賢太さんの人生をもっと覗き見たい気持ちが強くなりますよね。2022/01/22 -
コメントありがとうございます。嘘のないありのままの感情をそのまま乗せてる文章で、とても引き込まれますよね。getdowntoさんが紹介されて...コメントありがとうございます。嘘のないありのままの感情をそのまま乗せてる文章で、とても引き込まれますよね。getdowntoさんが紹介されているほかの作品もいずれ読んでみたいと思います。
フォローもありがとうございます。最近ブクログの方にはあまり投稿しておらず、もっぱらTwitter(@writer_yatomi)にて読んだ本や気になっている本(海外文学が多めですが…)など投稿してますので、よろしければぜひご覧ください。2022/01/22
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西村賢太の自伝小説。
読むのは3冊目くらい?
この魅力は独特で相変わらず面白い。
普通では体験できない最低最悪な人生模様を、
垣間見れるから、まぁ他人事で面白いんだろう。
日雇いの人足仕事で口に糊する日々、
少したまった金は酒と女に使いきる。
どうもうまく行かない人間関係
周囲の好意を裏切り続けるだらしなさ。
酒に酔っては喧嘩して、時には警察のお世話になり、
または転がり込んだ家の家賃が払えず大家と揉める
中卒で社会に飛び出して底辺を這いずり回る主人公の人生。普通は絶対関わりたくない人間だけど、何というかホントはうまくやりたいのに、うまくできない主人公の気持ちもちょっと解ってしまう。
このシリーズは定期的に読んでいきたい。 -
西村賢太の作品は、『苦役列車』に続いて2作目だが、本当に面白い。貫多の酷さは『苦役列車』を上回っている。せっかく雇ってくれた酒屋の店主を裏切るわ、好意的に接してくれた家主の老夫婦をナメて家賃を滞納し、挙げ句催促されると逆恨みして、孫娘を犯すと呪詛の言葉を吐くわと、きりがない。本当にどうしようもないやつで、下品極まりない表現ばかりだがそれが最高に笑える。やっぱり西村賢太の小説は面白い。
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2022/01/22
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面白い。兎に角、貫多のクズっぷりが素晴らしい。著者の卓越した文章力と類まれな用語センスが相まり、どうしようもない人間の底辺も底辺な負の感情を、嫌悪感を超越した、大正や昭和初期のような雰囲気を持つ回顧主義的作品に仕上げている。赤塚不二夫作品のような、古めかしくもナンセンスでエキセントリックな、日常を描いているが非現実的物語といえばよいか。「どうで死ぬ身の一踊り」と比べると文学性はやや劣るが、漫画的な私小説の面白さがある。
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主人公が「私」である時と「北町貫太」である時の違いは何だろう?
性欲が強くて、器が本当に小さく、すぐにキレる人の物語。「自分のことを棚にあげる」主人公が、「自分のことを棚に上げる他人」を口汚く罵るシーンに期待してしまう。 -
目次を眺めるだけで嫌になる小説もそうそう無いだろう。そんな中で曇天の隙間から顔をのぞかせた青空のようなタイトルがひとつ、「春は青いバスに乗って」。どんなバスかと思えば、あぁ・・・という感じ。腋臭風呂とかもう温泉や銭湯へ行くのが怖くなる。
本小説では、青春時代の話で構成されているが、たまに見せる謙虚なところや、何の根拠も無いのに妙に楽天的なところが何ともプリティ。先に挙げた「春は青いバスに乗って」などと言う一見滑稽ささえ感じるタイトルも、妙にしっくりきている。著者の生命力にただただ感服するばかり。 -
201102
他の方のレビューにもあるように、エッセイと紙一重。の私小説短編集。
一冊読めば充分という向きもあるだろうけど、
豊崎さんの解説にもあるように、
「話の展開は似ていても、そこに現出しているみっともらしさは常に新しい」
と、他の空白の時間も知りたい、と癖になりつつ、あります。
ひんるの沼 17歳
潰走 16歳
春は青いバスにのって 25歳
腋臭風呂 18歳⇨40歳くらい
夢想
買淫
逆恨み
後悔
あざましさ
愚かしさ
いじましさ
厭らしさ -
短編4部作。この本もやっぱり面白い。
主人公の貫多イコール西村賢太さん。
きっと自身の経験を踏まえつつは作品に落とし込んだのだろう。
全作とも大変面白い! -
苦役列車を読んで二作目。
私小説なので主人公は変わらず、過去の出来事が物語になっている。
彼の考え方や物事の捉え方自体がコンテンツであり、なるほど彼のような「怠惰」な人格が出来上がる過程や行動の理由がよくわかるのが、西村さんの私小説の良さだと思う。
苦役列車に比べ⭐︎一つ減らしたのは、苦役列車に出てくる短大生と彼の対比がとても素晴らしく、彼のキャラクターや生き様を際立たせていたのでむしろ向こうに感動したことが大きな理由です。
なので、この小説もとても面白かったし、定期的にいろんな作品を読んで彼の言葉や思考に触れたいと思ってしまう不思議な魅力があると思う。 -
西村賢太にどハマりしています。
3月から「人もいない春」「小銭を数える」と立て続けに読み、本作が3冊目。
手に入れられる著作は全て集め、年内には読破したいところです。
ただ、西村さんの著作は絶版になっているものも多く、それが心配。
再出版してほしいものです。
さて、本作も西村賢太の分身である「北町貫多」が主人公。
西村さんは、「貫多」シリーズを50作以上書いています。
短編4編を収めた本作は、貫多が16~25歳の話です。
なぜ、年齢がそんなに正確に分かるのかというと、「本の雑誌」(6月号)が西村賢太特集を組み、その中に「北町貫多クロニクル」と題して、貫多の年表が収録されているのです。
これはファンにはたまらないでしょう。
なかなか本題に入れません。
本作で貫多は、中卒の日雇い人夫として相変わらず明日の見えない生活を送っています。
「貧窶の沼」は、そんな17歳の貫多が上野赤札堂前でナンパした佐久間悠美江と付き合い、やっと見つけた居酒屋でアルバイトする日々を描きます。
4度目の逢瀬で悠美江と肌を重ねることになりますが、あることが原因で貫多は悠美江に幻滅します。
卑猥過ぎて、ここにその原因は書けませんが、あくまで身勝手な貫多は、こう考えて悠美江と付き合い続けます。
「これから自分には、心底から本当に愛しく思える、可愛い恋人といくらでも出会えるチャンスもあるだろうから、その日まではこの小汚い悠美江を一種の『練習台』として、いろんなことを試してやろう、とも考えたのであった」
「春は青いバスに乗って」は、25歳の貫多がバイト先の先輩をカッとなって暴行し、警察に捕まって留置所で過ごす日々を描いたもの。
「潰走」は、16歳の貫多が高齢の大家を相手に家賃を踏み倒す話です。
「腋臭風呂」は、18歳の貫多が空いている銭湯を見つけてくつろいで入浴していたら、腋臭の男が入ってきたという話(しょーもない笑)。
その後、月日を経てて39歳の貫多がホテルに呼び出したデリヘル嬢が腋臭だったため往生し、銭湯の一件を懐旧するという展開となっています。
常識って何だろう、普通って何だろう。
西村さんの小説を読みながら、48歳のぼくはいつも考えています。
それから、「金輪際、きれいごとは口にすまい」と心に誓うのであります。 -
数年持っていたがなかなか最後まで読めなかった。
亡くなられたということで思い出して、やっと一気に読めました。
こういう人の心情というか何故だろうと思うことが、細かく描かれていて、とてもよくわかりました。人間らしさというか。すごく隠さないそのままで生きているんだな。
お年を召した大家さんの話とかは、先も短く持っているものも多いのだから、それくらい、、、とか思ってしまう。笑
留置所の話や家族の話女の話風呂の話
面白いそしてデジャヴ感。
他の本は読めなかったけど、ただこれ1冊が残っていたのがまた面白いな。
大きく見るとみんなそれぞれ全然噛み合わないようでいて、実はどこか大きなところで噛み合っているというか。
今この本が読めたのも、私の大きな手助けになりました。
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酒屋勤務と女子高生。
雑居房。
大家の爺さん。
銭湯でであった腋臭臭い男を、デリヘル嬢から思い出す。
著者プロフィール
西村賢太の作品
