雪冤 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 671
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944354

作品紹介・あらすじ

死刑囚となった息子の冤罪を主張する父の元に、メロスと名乗る謎の人物から時効寸前に自首をしたいと連絡が。真犯人は別にいるのか? 緊迫と衝撃のラスト、死刑制度と冤罪に真正面から挑んだ社会派推理。

感想・レビュー・書評

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  • 冤罪なのに死刑執行されてしまった息子の雪冤を晴らすため、元弁護士の父親が過去の真相から真犯人に迫るというあらすじ。
    最後の最後まで誰が真犯人か全く読めない!よく作り込まれてるわー!
    死刑執行された息子が「Soon-Ah Will Be Done」を歌うシーンがあったんだけど、この曲って労働差別に苦しまされた黒人のレクイエムなんだね。「もうすぐ逝ける」という内容の。
    中学の合唱コンクールでこれ歌ったんだけど、当時は全く意味わからずに「うぉーー」と勢いで歌ってたなぁ。意味わかると「あの時は滑稽だったなぁ」と恥ずかしくなってしまう笑
    構成とかはかなり作り込まれてるので、ミステリーとしては素晴らしいと思うけど、若干文章にクセがあるのか、読みづらさがあったかも。

  • 死刑制度と冤罪という重いテーマを絡ませた、ミステリー感溢れるエンターテイメント。
    息子の無実を信じて父親が、関係者を訪ね歩く。
    真相はどうなのか、犯人はいったい誰なのか。
    著者の巧みな術中に嵌まり、先へ先へと読まざるを得なくなる。
    そして終盤にきての二転三転、さらに最後の結末には、エッと思わずにはいられなかった。
    この作品で著者が掲げた死刑制度の是非と、冤罪の問題。
    冤罪による死刑が存在するからといって、被害者感情を思えば廃止すべきものではないし、冤罪でなくとも死刑制度は国家による殺人だとの見方もあるし、生中な結論を出すわけにはいかない。
    しかし、作中人物が言うように、「それでもずっと考えていきたい」。

  • 冤罪や死刑制度をテーマにした慟哭の社会派ミステリー。
    15年前の京都。2人の男女を殺害したとして、1人の青年が逮捕された。

    元弁護士の八木沼は、一人息子・慎一の無実を信じ、たった1人で活動していた。

    そして、時効寸前、真犯人を名乗る人物・メロスから電話がかかる。自首の代償として、5千万円を要求する。

    果たして、メロスの言葉は、真実なのか?

    二転三転するストーリー、なかなか見えない真実。
    そして、最後に明らかになるディオニソスの正体とは?

    ラスト数ページで、悲しい真実が明らかになる時、1人の青年の命を賭けた思いが、胸を打ちます。
    まさしく、慟哭の社会派ミステリーと言える作品です。

  • 自分が死刑にされてまで、他人の罪を被るかねー。死刑制度、被害者家族について考えさせられた。あとマスコミの酷さには賛成する。

  • よくできていると思うし、結末が気になって早いペースで読んだ。しかし「引き込まれなかった」。なぜだろう。

    読者の意表をつくための仕込み、伏線の貼り方、ミスリード... といった要素は素晴らしい。

    八木沼悦史や沢井菜摘の苦悩も浮かんでくる。

    死刑制度についての主張もいろいろな立場の登場人物に代弁させ、丁寧に扱われている。

    しかし、謎を作った動機と行動の作り物感、嘘っぽさが最後まで拭えなかった。

    そもそものきっかけになった過去の事件について、絵に描いたような上流家庭の子女がそういう行動に関わるかというところに無理があると思う。

    事件の真相も、ない話ではないとはいえ、直感的には考えにくい(起こりにくい)ケースだと思う(だから謎なのだろうが)。

    悪とされた人物との関わりもよくわからないし、八木沼慎一の行動もよくわからない(他にやりようはあったと思う)。
    メロスとの関係も明かされるが、「そもそも配役でこの人物をメロスにする?」というところが腑に落ちない。

    ... すべての疑問に説明はつけてあるのだが、何となく「まずストーリーを考え、ストーリーを成立させるために登場人物の行動を『決め』、矛盾が出ないように細部を検証した」感がした。

    決して駄作ではない。受賞も納得できる。だがもやもやしてしまう。


    スンダビを聴いてみた。よかった。be doneならスン「ビダ」じゃないかと思ったが違うらしい。気になる。

  • 面白かった
    テーマは重く、死刑と冤罪
    しかし、二転三転する展開が楽しめます。

    ストーリとしては、15年前の殺人事件で死刑囚となっている慎一。その慎一の冤罪を信じ、活動を続ける元弁護士の父親悦史。路上で知り合い、その冤罪活動を手伝う持田。そして、慎一の弁護士の石和。殺された女性の妹の菜摘。
    慎一は冤罪なのか?
    15年前の殺人事件で殺された男子学生と女性の事件の真相は?
    いつ、死刑が執行されるかわからない中、真犯人の名乗る人物から菜摘に電話が..
    さらに、その人物は時効後に自首をすると言い、その代償として五千万を悦史に要求。
    真犯人は?
    結局どうなるの?
    っていう展開です。

    読み進めることで、真相が二転三転していきます。
    そして、本書の目玉といえるその驚愕の展開と衝撃のラストへ。
    確かにびっくり!
    隠されていた真実には哀しい思いが、そして、そこまでして、守りたかったもの..

    けど、動機が..ちょっと弱いかな。
    その動機でこれだけのことをやるのかな...

    とはいうものの、このストーリ展開は楽しめました。
    重いテーマながらもミステリエンターテイメントとして楽しめます。

    お勧め

  • 誰かによって犯行が行われる。
    事件が発覚し、警察による捜査の結果犯人が逮捕される。
    裁判が開かれ、罪が問われ、刑は確定する。
    もしも冤罪だったとしても、有期刑ならば出所後に汚名をそそぐことも可能だろう。
    実際に、出所後に真犯人があきらかになり冤罪が晴らされた例もある。
    しかし、もし死刑判決のでた事件の犯人が冤罪だったとしたら。
    刑が執行されてしまったら取り返しがつかない。
    失われた命は二度と戻らないし、何よりも冤罪だったことを誰も認めないだろう。
    冤罪が起きたときに犠牲になるのは、間違って罪に問われた人だけではない。
    被害者遺族もまた、犠牲者だといえる。
    犯人だと信じてきた人が無罪だったとしたら、いったい本当の犯人は誰でどこにいるというのだろう。
    命をかけた固い決意を打ち砕いてしまうことになったとしても、真実は曲げるべきではない。
    いちばん最初にしてしまったボタンの掛け違いは、どこかできっちりと正されるべきだったのだ。
    遅すぎたことへの後悔も、何もしないままよりはいい。
    細部にわたってまで練りあげられ、最後まできっちりと構築された物語だった。
    掴みかけた事実。そのもっと奥に隠されていた命をかけて守り抜こうとした真実。
    そして待ち受けていた衝撃のラスト。
    読んでよかった!!と心から思えた作品だった。

  • テーマは重いが、読みやすい。

  • 2019.6.13 読了

    僕は「驚愕のラスト」「まさかの結末」「どんでん返し」などなどの言葉が大好きです
    読後感が「あーそうなのね!」って言える小説は、作者と握手したいくらい感動を思える

    本作品は冤罪をテーマであり、展開が色々変わり面白った。ただ後半三分の2くらい読み進めた時、犯人はコイツじゃねって予想がついて、変な靄が頭にあった。

    予想は予想でニアピンであって、エピローグで「あーそうなのね」ってなれたのでよかったな

    普通に読んで、二時間ドラマみたいって感覚があり、事実ドラマ化になったが、二転三転でも見事が終演でした

    人間って他人のためになんだってできるんだなって考えさせる、たとえフィクション小説でも。
    素晴らしい信念を見ました!

  • 死刑についての話は興味深かった。

    しかし引っ掛かるところが多すぎた。
    京都に長年住んでいると思われる人間が京都の道案内下手とか引っ掛かる。
    石和の庇い立てる動機がわからない。
    事件現場に息子とやっさんが一緒にいた理由も弱い。彼女の家で話をするなら彼女にも話がいくしそれを強姦未遂魔にも伝えるよね。そんな状況で強姦しようとする?
    自殺の傷と他人が刺した傷との違いって鑑識でわからないもの?
    どうしてやっさんは妹に目撃されていない?
    やっさんがお金を渡す理由もなんとなく弱い気がする。

    どんでん返しがやりたかったのはわかるけれど色々と強引すぎないでしょうか。

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著者プロフィール

1974年、三重県生まれ。龍谷大学文学部卒業。2009年、第29回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した『雪冤』でデビュー。『不協和音 京都、刑事と検事の事件手帳』『氷の秒針』『獄の棘』『優しき共犯者』『テミスの求刑』『正義の天秤』『完全無罪』『死刑評決』『両刃の斧』『罪人に手向ける花』など、多数の著作がある。

「2021年 『この歌をあなたへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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