ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫 つ 11-1)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944477

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  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/619585

  • 修学旅行にデートといったドラマチックな場面が続くわけではないし、冒頭にある(一方的な)ケンカとその流れでバンド解散になるところも作品の盛り上がり箇所とは感じない。どちらかと言えば大学受験を控えながらも取るに足らない日常の中で、カップルの覗きをしたり元カレの今カノを探しに行ったり親しく(なら)ない同級生男とCDショップを冷やかしに行ったり補習を受けに行く道すがらのことがメインで、それがまるで特別なことのように受け取れる程に描かれている。その話の流れや言葉と会話のおかしさが非常に良い。

    津村記久子作品の根底に流れる、モノ(金や地位)が無く、知恵も無い登場人物が、それでも考え考えたことを知恵として生きていくことが出来るという大切さを本作は女子高生が伝えてくれる。他人からはほとんど相容れない些末でしょうもないことから、実に多くのことを女子高生はその若さや漲るパワーで掬い取ってるのだ。そしてそれは誰にでも出来るということに読者は読後の満足感と共に気付く。

  • 星5つでは足りません。星100個です。

  • 音楽に何度も救われているから、わかる。アザミほどの深さではないけれど。
    チユキいいなあ、友達になりたい。ナツメちゃんもすき。

  • これを読んで気持ちを言葉で説明するのが難しすぎるから兵頭さんの解説をふんふんと少し感心しながら読んでたら、ずっとチユキのことをチュキって呼んでたなって今気付きました
    音楽が死ぬほど好きやけど、今まで音楽に助けられたとかあんま感じたことなくて、薬みたいなものと言うより大袈裟になるかもやけど空気とか水ぐらいのイメージで、別にどちらが良いも悪いもないと思うけど自分はそっちでよかったなと思ったし思えた

  • タイトルとイラストからして、
    キラキラした軽音の学園青春物語かな
    と思い手にとったこの本。
    だが、私が予想した斜め上の小説であった。

    「音楽について考えることは、
    将来について考えることよりずっと大事」
    と考える主人公アザミは、
    成績不振・バンド解散・進路も決まらない
    所謂イケてない女子高生。
    そんな彼女の高校生活で繰り広げられる
    個性的な日常に時に笑わせられ、
    時に心奪われる。


    私とアザミは似ているところがあるから
    自由気ままに自分の人生を
    おくっていたのかと思うと、
    申し訳なさを感じるのと同時に
    この生き方の方が楽しいよな〜と
    自分を顧みることができたかな。
    これからも周りに干渉されずに生きていきたい。
    私の大好きな音楽と共に。

  • 高校3年生のアザミはパンクロックが好きで自らもバンドをやっているが、けんか別れで解散。スタジオでバイトしている他校のメイケくんがちょっと気になる。一緒にフェス参加して仲良くなった親友チユキちゃん、チユキちゃんがちょっといいなと思ってた男子が狙ってたナツメちゃん、歯列矯正仲間の天真爛漫野球少年モチヅキくん、その友達で音楽おたくのトノムラくん、バンドのファンブログを通じてメル友になったアメリカ人のアニーなど、個性豊かな友人たちとのちょっと不器用なコミュニケーションと日常。

    アザミは見た目も派手だし、些か空気を読めず暴走しがちなタイプだけれど、自覚しているのでかなり気をつけて人と接しているし、すごく仲良しなわけじゃなくても、公衆の面前で号泣しているクラスメイトを見かけたら放っておけずに声をかける優しさがある。そして何より音楽(を聴くこと)が大好きなところがとてもとても共感できて愛おしいキャラだった。自分自身の若かりし日を振り返ったときに、もちろん現実の友達も重要な存在だったけれど、それと同じくらい、本や音楽に「救われた」ことが多々あって、ある意味それらは「命の恩人」と言っても過言ではない。

    アザミもそういう「音楽の恩寵」を知っている。音楽を聴いているときだけ息を吹き返し、音楽だけが自分に息を吹き込んでくれる。タイトル「ミュージック・ブレス・ユー」のブレスはきっとそういう意味だろう。音楽がそこにないと呼吸もできないような時期が、私にもありました。だから終盤の「自分はひょっとしたら、音楽を聴いたという記憶だけで生きていけるのではないかと思った」というアザミの述懐には胸がギュっとなった。自分にも確かにそういう時期があったことを、最近ちょっと忘れかけていたのかも。

    解説がロキノンの兵庫慎司で、ざっくり要約するといわく、音楽を聴く人間には、1.自分で音楽をやる人、2.音楽を仕事にする人、3.趣味として音楽を聴き続ける人、の3種類がいて、いちばん音楽を愛し必要としているのは間違いなく3番目の人種だと。なるほどな、と思いました。

    最後に余談ですが個人的にはモチヅキくんがアホ可愛くて大変タイプでした。ブリンク182がフェイヴァリットなアザミとは私は音楽の趣味はあまり合わなさそうだけれど、トノムラくんは英国系が好きらしいからそっちとは趣味が合うかもしれない。私はディヴァイン・コメディなら4枚目のカサノヴァが好きだったな。

  • 主人公はパンクロック好きな赤髪の高校生3年生のアザミ。 
    最初は音楽系の青春小説かと思いきや、ちょっと違った。
    音楽好きな主人公が思春期特有の考え方、将来が見えないもどかしさに思い悩む。
    明るい青春小説ではなく、ちょっと変わった高校生の内面を描いた青春小説。

  • 主人公アザミと同じように音楽を聞いていた頃のことを思い出した。ブログでの出会いとか 音楽について語ることとか。
    アザミの友達のチユキの 許せないことに対する行動は、妄想はすれど現実には出来ない。あぶなっかしいけど 羨ましい。
    アザミが友人とのこの時間がなくなっていくのを心配するように、こういう時代の気持ちはいつの間にか薄れていくけど、じぶんの中に核としてある。ということを、あの頃を思い出すことによって改めて感じた。

  • 音楽を聴くことが好きな高校3年のアザミ。高校3年生という、ちょっと不思議で独特な時期に、様々な人たちとの出会いや関わりで、自分の中にある色々な思いに改めて気付いていく。自分がどこか周りと違うと感じていながらも、そんな自分を認めている、受け入れている彼女。やはり、何か″好きなこと″がある人っていうのは強い。「本当に好きな音楽があればずーっと聴いていたらいいと思うよ。好きなものがあるほうがいいよ」。自分が思うこと感じること、大切にしていきたい。

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津村記久子の作品

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