悪行の聖者 聖徳太子 (角川文庫)

著者 : 篠崎紘一
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年8月25日発売)
3.58
  • (2)
  • (5)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • 本棚登録 :42
  • レビュー :3
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944675

悪行の聖者 聖徳太子 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 面白かった!
    久々の歴史小説、楽しかった。

    歴史小説の面白いところは、史実をもとに隠された秘密や経緯が、作者の想像力(創造力)によって、ものすごく壮大に、あるいは、逆説的に描かれたりして、「そういうことだったのか!」とか「そうきたかー!」的な、一種の感動的な発見があるところだと思う。

    その意味では、この小説、最高だった。
    「血ぬられた手で仏を求めて彷徨する、聖徳太子の光と影を見事なまでに描ききり、古代史小説に新生面をひらく傑作の登場」!
    「近親相姦の果てに産み落とされ、叔父・崇峻天皇を我が手にかけ、殺生と偸盗と邪淫の三悪に染まりつつも、この国を仏教によってまとめようとする、悪行の…いや、逆説の聖者である」

    ・実は、聖徳太子は(摂政の地位を利用して)わざと天皇にならなかったのではない、なれなかったのだ
    ・なぜなら、彼は、用明天皇と推古天皇の実の兄妹の間に生まれた「犬畜生」の子供だったから
    ・母:間人と仲が悪かったのも、聖徳太子がもつ気持ち悪い霊力が原因ではなくて、同じ夫(用明=橘豊日)をもちながら、自身の子として育てざるを得なかった嫉妬からくるものだった
    ・その用明天皇は、実は、間人の実弟であり、のちの崇峻天皇にあたる泊瀬部によって毒殺された
    ・その泊瀬部に崇峻暗殺をけしかけたのは、蘇我馬子
    ・蘇我馬子と推古天皇は、叔父と姪の関係だけでなく、愛人関係にもあった
    ・泊瀬部を暗殺したのは、東漢直駒(やまとのあやのあたいのこま)とされるが、小説のなかでは父の仇てして聖徳太子が手を下したとなっている
    ・聖徳太子と刀自古は、後世は不仲だった
    ・真の仏道に目覚めた聖徳太子が、自身で斑鳩宮(法隆寺)を焼いた
    ・聖徳太子と竹田皇子(推古天皇の子供)は仲が悪かった。
    ・竹田皇子は、実は戦で死んだわけではなく、蓬莱の山にこもって導師となった
    ・実は、菟道貝蛸妃は聖徳太子の実兄にあたり、二人は許されない関係で姻戚関係を結んでしまった(だから子供ができたとき、彼女は自害した)
    ・馬子蝦夷父子と聖徳太子は昔から相容れない関係にあった


    作者の経歴もおもしろい。
    農業版勘定奉行のIT会社を経営するかたわら、趣味で「古代ロマン小説」家の肩書き。
    日本古代史で有名な小説家といえば黒岩重吾さん。この分野では、異分野からの新星。

    あとがきの縄田一男さんのコメントもよかった。

    いやしくも人民のリーダーであるならば、己の手を血で染める覚悟がなければ、一国の政治は覚束ない。然るに、我が国のリーダーの体たらくといったらどうだ。(中略)本書は、古代史を材にとりつつも実は現代小説なのである。

    …笑

    無理やり感が否めないけどね笑。
    いいあとがきだった。

    続編があるらしいので、是非読みたい。

    あと、八木荘司さんの古代史が気になる。小説だったら読みたいな。

  • 推理優先の感じ。
    厩戸皇子の心の動きがしっくりこない。
    先入観があるせい?

  • 聖者とか呼ばれている人も、普通の人間と同じように悩むんだなぁと。

    人間なんて生まれた時点では、みな同じはず。
    そこからどうやって生きて、体験したこと、感じたことから洞察し自分にフィードバックできるかが、その人をより人間らしくできるのだと思う。

    そう考えると、聖者と呼ばれる人ほど、経験から学び取ることが多いのでは、と。

    この本の聖徳太子像は超人ではなく、人に近い。そして、悩んでいることも現代の人に置き換えられるから、共感もできる。
    #ここまでどろっどろの家庭もないかもだけど。

    1500年前のことで、フィクションの部分も多いんだろうけど、これも解釈の一つしてはとても面白いです。

全3件中 1 - 3件を表示

悪行の聖者 聖徳太子 (角川文庫)のその他の作品

篠崎紘一の作品

悪行の聖者 聖徳太子 (角川文庫)はこんな本です

ツイートする