アシンメトリー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944729

作品紹介・あらすじ

結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった…。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ。

感想・レビュー・書評

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  • 「結婚って何なんだろう?」と仲良しの男友達に訊いたことがある。

    「好きな人を公に独占できる制度かな」…彼は特別嫉妬深くもないし、私の知る限りでは寛容な性格のはずだ。

    リーガルハイでは、3人の男性と事実婚状態の美女(鈴木保奈美さん)が登場して、「浮気は許せないし、真剣恋愛の結果、結婚した。どの夫も納得してこの形をとっている。」と宣う。しかし一夫一妻制の日本では入籍不可。最終的には養子縁組で彼らは公的にも家族になった。

    堅実に生きたい朋美、十年来の友人と電撃結婚した紗雪。婚活することもなく、すんなり幸せを掴んだ紗雪に対する朋美の嫉妬や焦りには共感しつつも同族嫌悪。

    しかし、紗雪には紗雪の辛い秘密があった…。
    報われない想い、すれ違い、打算、嘘、同情。結婚や恋愛について考え込んでしまう。どうしようもなかった恋について思い返すところが多過ぎて辛かった。

  • それぞれの視点でストーリーが進んでいくからこそ、どちらの気持ちも分かって、人間関係ですれ違ってしまう瞬間が垣間見える。
    藤田香織さんの解説も、思うことを見事に言い当てていて、非常に印象深かった。

  • 長らく積んでいた本。

    セクシャルマジョリティ、マイノリティについて。
    普通とは、普通でないとは何なのか。
    いや、本当に何なんでしょうね。

    私は恋愛対象も性対象も男性(異性)ですが、
    そうではない人たちがいても何ら不自然ではないと思います。
    聖書でも同性愛について書かれていますが、
    神様がそう創られたんですもの。不自然ではない。

    登場人物の朋美が『同性愛者って本当にいるのね。信じられない』と発言したシーンではかなり怒りを覚えました。
    自分の世界だけが全てだと思っていて、知ろうとする気がないのなら否定なんてするもんじゃない。
    と、かなりムカムカときていました。

    最終的に彼女は“知った”事によって変わっていくのだけれど。

    やはり“知らない”事を頭から否定してしまうのは罪だと私は思う。
    理解する、しないは取りあえず置いておいて、
    まずは知らなければね。
    もちろん自分自身にも言える事だけれど。

  • *結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった…。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ*

    これは・・・予想を裏切る展開でした!もちろん、良い意味ですが。LGBT絡みかな、とは思っていたけど、更にその裏があったり、「普通」に対する概念の違いや、それぞれの持つ歪みも見事にあぶり出され、面白過ぎて一気読み。歪みは歪みのままで収集したラストも好き。

  • 読み終わって元気になれる本が好きです♪
    その意味では、まさにぴったり。
    特に結婚前の恋愛中の女性に読んで欲しいな。

    途中で何度も「これってドラマになったっけ?」と思ったり。映画でも良いけど。

    とにかく、終わり良ければ全て良し的なラストが心地好かった、辛口恋愛小説。

  • 四人とも拗らせている。
    朋美の本人無自覚な上から目線(そのくせ常に【自分なんて】、と卑屈だし)と親の離婚に関する悲劇のヒロイン気分にイライラ。
    貴人は一番危ない人。
    ヒーリングとか、パワースポットとか、自分が信じるのは勝手だけど、それで人に色々意見するのは違うでしょ。
    プロポーズはダメになっちゃったけど、これがきっかけで朋美はいい意味で変われたよね。
    治樹も優しいようで、元彼と浮気したわけだし、最低だわ。
    紗雪は紗雪で、強くて割り切っているように見せているけど神経質。

  •  著者2作目だが、飛鳥井さん作家読みしようかな。先が気になり、なかなか読むのを止められなかった。主要登場人物全員がリアルで、単なる良い人・嫌な人というカテゴリ分類ではなく、それぞれの良い部分・悪い部分が入り交じり、最終的には4人とも憎めない存在になっている。テーマはLGBTQです、と前面に主張するのでもなく、さらっと取り入れているところもスマート。
     大人になると仲がこじれると言いたいことを言わず、そのまま疎遠になることが多いけれど、朋美と紗雪はちゃんと向き合って仲直りしていて微笑ましく、羨ましかった。

  • ざらっとした感情。ままならない感情。
    それぞれの『普通』『基準』が邪魔をして、会話に行動に心の裡にざらっとした感情が、入り乱れる。

    生まれながらにもっているもの、知ってほしいもの、触れられたくないもの、習慣、癖、病気など、育った環境、考え方などみんな違うのに、それぞれの『普通』が、邪魔をして、苦しくなる。
    『普通』が幅をきかせて、いつまでも『オンリーワン』は、ほど遠い。
    人は比べるし、縛るし、苦しめる。
    物語に出てくる人物皆、理解してほしいと思いながらも、相手を貶したり、傷つけたり、受け止めてほしいと思っても、諦めてしまいそうになったり。
    勝つ、負ける、あの人よりはやく結婚する、しない、できない。
    自分が好きなものをただ好きだといいたいだけなのに、うまくいかない。
    自分の人生なのに、比べてしまう、諦めてしまう、外野がうるさかったり。

    読むのが大変だった。




  • 2016/5/9

    ふー。読み終わって大きなため息をひとつ。
    4人の男女目線で語られる群像劇。ひとり目「一生懸命真面目に頑張っているのに報われないわたし」な朋美の目線がイライラして仕方なかったのだけれど、だんだんこんなにイライラしてるわたしってどうなの?人のこと言えるの?と思ってくる。
    人間関係って一筋縄じゃいかない。

  • めずらしくちょっと重い印象の、飛鳥井千砂作品。
    女同士の僻み・妬みが少々くどかった。

    でもやっぱり読みやすく、分かりやすく、そして人間らしい感じで、飛鳥井作品は本当に好きだなと思わせてくれた一冊。

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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