きりこについて (角川文庫)

著者 : 西加奈子
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年10月25日発売)
3.89
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  • レビュー :297
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944811

作品紹介・あらすじ

小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。両親の愛情を浴びて育ったきりこだったけれど、5年生の時、好きな男の子に「ぶす」と言われ、強いショックを受ける。悩んで引きこもる日々。やがて、きりこはラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。きりこが見つけた世の中でいちばん大切なこととは?読者からの熱烈な支持を受け、ついに文庫化。

きりこについて (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 自分がブスだと気づかずに育った女の子は?
    ユニークで面白い。

    きりこはぶすである、と断言されて始まる話。
    見た目もけっこう良い両親に愛情たっぷりに、「かわいい、かわいい」と言われて育ったため、自信満々。
    まわりの子供もその自信に引きずられ、何となく納得?きりこ中心で遊んでいたという。
    「子供というのは11歳ぐらいまでキョトンとしている」というのが面白い。

    ちょっと素敵な男の子こうた君に告白して見事に振られ、初めて、「ぶす」と言われたきりこ。
    どういうのがブスなのかもよくわからなかったのだが‥
    ひきこもりになってしまう。

    きりこが幼い時に拾った賢い黒猫ラムセス2世は、きりこの味方。
    しだいに人の言葉が話せるようにまでなるのでした。
    もともと猫は長く生きていて、知能指数が人間より遥かに高いという。
    猫達にとっては、きりこの外見もうっとりするほど魅力的だったりと、不思議で楽しい展開。

    クラスメートがそれぞれに成長していく中、きりこも外見の意味を少しずつ理解していく、その過程もまた、印象に残りました。
    派手な中学生だったちせちゃんがさらに経験豊富になっていったある日、事件が。
    それと察したきりこが駆け付けます。
    もとからパワフルなきりこは、ひきこもりと猫との暮らしで、勘が鋭くなっていた?
    ちせちゃんが男性に不本意な目に遭わされたことを訴えに行ったところ、相談所でも女性から思わぬ偏見を向けられてしまう。
    ‥う~ん、あるかもしれないねえ。

    若い女の子と猫達のたくましいネットワークに、元気が出ます。
    鋭い指摘もたびたびで、ニヤッとさせられたり。
    ‥偏見は、自分にもまったくないわけではないな、とちょっとドキッとしたりもしますが。
    生きが良くて、ぐいぐい読まされました。
    面白かった!

  • 確かに「容れ物」としてのきりこは、ぶすなのかも知れない。
    それでも、圧倒的に羨ましい。
    きりこが持っているものすべてが羨ましい。

    自分への肯定。
    「容れ物」「中身」への理解。
    「ただそこにいること」ができていること。
    パァパ、マァマからの絶対的な愛情。
    そして何より、ラムセス2世と出会えたこと。

    西加奈子さん、人間のことも深く読ませてもらえますが
    ラムセス2世という猫を通じて
    猫の世界のことも突っこんで感じることができました。

    猫って、やっぱり私の先生なんだわ!!

    自己否定がより強く出てしまった時に、
    再読しようと思う一冊です。

    人間って愚かですね。
    最後に出てくる、動物が出てくることわざ。
    あれは圧倒的に人は他の動物に負けていると
    わかっていて、あえて負け惜しみで作ったとしか
    私には思えません。

    私の相棒猫も先生として
    どこからか派遣されたのかもしれませんね。
    寝てばかりいますが、起きているときに
    これからもせっせと教えてもらうとしましょう。

    きりこが好きであったように、
    私も相棒猫のぐるぐるぐるという
    世界一好きな音に酔いしれながら…。

    • 杜のうさこさん
      こんばんは~!杜のうさこです。
      いつもはなまるありがとうございます!
      『きりこについて』なにぬねのんさんのレビューに感動して読んだのですが、最高に良かったです。実は西加奈子さんは2作品、途中下車したことがあって相性が良くないって思い込んでいました。なにぬねのんさんのおかげでこの本を読むことができて、本当にうれしいです。ありがとうございました。
      ラムセス2世が、きりこの口のなかを見ながら目をらんらんと輝かせている表情とか、幸せの音ぐるぐるぐるとかね、たまらなく懐かしくて愛おしかったです。
      なにぬねのんさんの”猫は先生”ってよくわかります。猫ちゃんの我慢強さだけをとってみても、すぐ弱音を吐いてしまう自分を情けなく思うことしばしば。
      大切なことをたくさん教えていってくれた子達に恥ずかしくない生き方をしなくちゃ!って思ってます。
      猫ちゃんのことになるとつい理性を失ってしまう猫おばかの私ですがこれからもよろしくおねがいしますね♪
      2015/04/25
    • なにぬねのんさん
      杜のうさこさん、こんばんは。
      またまたコメント有難うございます!!
      (はなまるもありがとうございます。)

      それも、こんな拙い私のレビューで、この本を読んでくださったなんて☆
      こんなに嬉しいことはありません。有難うございます。

      『きりこについて』いい話ですよね。
      全てを受け入れ、ただそこにいること。
      死ぬまで生きるということ。
      猫たちはいともたやすくやってのけているのに、
      私は愚かで、まだまだヒントも掴めません。

      先日西さんが直木賞を受賞した『サラバ!』を読みました。
      『きりこについて』を進化させたような内容で、とってもおススメです。

      猫はあまり出てこないのですが…
      よかったら手に取ってみてください。

      西加奈子さん、前世は猫だったのかもしれませんよね。感性が猫そのものの気がします。
      2015/04/26
  • 西さん2冊目。きりこ、ラムセス2世とその周囲の人々の物語。大団円でよかったと思いながらも、もっとピリピリしていてキリッとしている作品が好きだなー。

    …と言っても…この作品、名言だらけで付箋貼りまくった。気づきとか悟りのようなお話。落ちて沈んで底が抜けて、ある条件を持ち、真っ直ぐな瞳と優しい心が存在すると、人はここまで達する。


    そのうち…いつか子供が大きくなって社会に出て、傷ついた時に読んでほしいな…と思った。

  • 「きりこは、ぶすである。」

    衝撃の冒頭!
    賢い猫のラムセス2世ときりこの不思議な物語。

    「自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。」
    「うちは、容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな。」
    「今まで、うちが経験してきたうちの人生すべてで、うち、なんやな!」

    自分をまるごと受け入れること。自分を認めてあげること。それと同じように相手のことも受け入れること。認めること。きりこが見つけた世の中で一番大切なこと。
    ラムセス2世が語る人間の価値観と猫の価値観との違い。
    ちせちゃんの主張、そしてちせちゃんの生き方を肯定するきりこの姿に涙が出そうになりました。

    きりこやちせちゃん、株式会社ラムセスのマイノリティとされる人々の前向きな生き方、清々しさ、自由さに勇気をもらえました。

    そして、きりこのマァマとパァパの底なしの愛…!自分のことを決して否定しないきりこ。きりこが大好きで可愛くて仕方ない、この2人に育てられたからこそのきりこなのです。

  •  きりこはぶすである。
    この一言から物語?は始まります。

     人間の容姿(容れ物)にとらわれて 中身をないがしろにしてはいけないんだ。頭では解っているつもりでも、(学校でも教わるしな)なかなか脳みそは解ってくれない。
     そんな社会で戦って、闘って!強く生きていくきりこにラムセス2世は誇らしく思うんですね。
     
     でも、西加奈子さん…きりこあまりにもぶすに書きすぎな気がします。パァパもマァマも気の毒ですよ。

  • 西加奈子は何冊か読みましたが、インパクトが強かったのが、この「きりこについて」でした。外見と中身と自分の歴史があって、自分なのだ、というところに深く共感しました。西加奈子さんはとても健全な人だと思います。読んでて安心します。

  • 西加奈子という作家はどうしてこうも私の心に響く作品を書くのだろう。

    ぶすであるということ、他人からは受け入れられないこと、孤独、虚無感。きりこに降りかかる絶望が痛いほどわかる。私も同じ思いをした。

    きりこと違い、未だに逃げ続けている私に、彼女の悟りにも似たある答えは、肯定してくれる優しさをもたらしてくれた。

    『うっとり』という現象、男のタイプが真逆になる鞍替えの謎、気づくことのなかった不思議が描かれいる。

    ラムセス2世の寛容さに心が救われ、彼のギャグセンスにはニヤニヤが止まらなかった。

    どんなに絶望しようと、自分を見捨てないでおこう。ひどく汗ばむ夢を見たならば、もう一度本作を読み直したい。

  • 西さんの切り口はいつも独創的で、かつ、人の心の機微を描いて凄いと思う。そして、少しだけ元気になる。自分の容姿が気に入らないと思ったら読みたい。

  • 優しい本。
    自分が、自分を認めてあげることって大切。

  • 「ぶすである」という事を認識し、受け入れる。思春期にはなによりも「容れ物」が大切で、それにより階層分けされていると思う。「猫のほうがええですよ」とラムセス2世はいう。そのとおりだと思う。猫のほうがええ。だんだんと大人になり、より生きているのが楽しいと思う事が増えてきた。「容れ物」だけではない基準が自分の中に出来始めたからだ。自分はもっと楽しい世の中を生きる事ができるようになる。「自分の体が何をしたいかをよく分かってて、その望む通りにしてるんやから、それは、大切にしてる、ていうことやと思う。自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらんと思うから。」。そしてそのよくある人間は中身だという話にとどまらず、人そのものとは「容れ物」「中身」「歴史」を持ったものでそこまで視座が高まる事がこの物語を読んでよかったと思わせるものにしている。
    いずれにしても猫は偉大だ。

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