きりこについて (角川文庫 に 19-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944811

感想・レビュー・書評

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  • いやあ面白かった
    自己肯定感がしっかり育ったきりこが良い。
    ちせちゃんもかっこいい。
    昨今話題の、性的同意とかルッキズムといった概念が語られているように感じた。
    そんなに堅苦しくなくて、わーっと、読み切ってしまった。
    そのひとはそのひとのまま、自分が心地良いようにするのは自分、それで良いのに。
    なんだか生きづらい感じがあったが、そういうの要らないなあと思わせてくれた。

  • 西加奈子さんの「きりこについて」読了。

    ちょっと前に、西加奈子さんの「くもをさがす」というエッセイ闘病記を読んで面白かったので、ちゃんと作品を読んでみようと思っていたところ、知り合いから「きりこについて」が面白かったよ、という情報をいただきまして、読むことにしました。

    「きりこはぶすである」(「ぶす」は太字!)

    から始まる不思議な小説。主人公である「きりこ」が飼っている猫(ラムセス2世)が執筆したという設定の物語。「体は容れ物に過ぎない」んだから、みんな思うように生きたらいいんだよ、というのが主題? それにしても、なんだか、ちょっと現実ばなれした、不思議な魅力のある話でした。

    ってか、エッセイとおんなじ勢いで書かれている「小説」に、なんだかびっくりしました。登場人物たちはみんな関西弁で喋っていて、え?そんな設定?と最初は思うことがたくさん出てくるのに、読んでいるうちに、それが「当たり前」のことに思えてくる自信満々の流れに、主人公「きりこ」と同じ勢いを感じました。西加奈子さんという人は、「きりこ」と同じオーラを纏っているのかもしれない。

    いやー、すごい。

    がぜん、西加奈子さんという作家に興味が湧いてきました。
    他の本も読んでみよう。

  • 幼い頃から両親の愛情をたっぷり受けて育ったきりこ。
    「私はかわいいお姫さまなのだ」と思っており、周囲にもそのようにふるまっていたきりこに一大事件が起こったのは5年生のとき。
    初恋の男の子の「ぶす」の一言が、きりこに大きなショックを与えたのです…。

    「ぶす」という言葉の持つ威力はすごいな…と思い知らされます。
    本文中であえて太字で強調された「ぶす」の2文字に、ぎょっとさせられることたびたびでした。
    それに加えて、きりこの外見の描写も容赦ない。
    けれど、それと対照的に浮かび上がってくる、きりこの内面の純粋さから目をそらせませんでした。

    自分とはなにか、自分を幸せにできるのは誰か。
    西さんのぱっきりとした文章が導いてくれた結末は、あたりまえゆえについ忘れてしまいがちなこと。
    読み終えたとき、自分のことを前よりも大切にしようと思える、ビタミン剤のような1冊でした。

    それから、きりこの相棒である黒猫のラムセス2世がたまらないのです…!
    賢くて、きりこに絶対の信頼をよせていて、いつでもきりこの味方でいてくれる。
    西さん流の、猫たちの世界にどっぷりと身を浸せる至福を味わいつつ読了。

  • 不思議な感じのするお話だった。
    自意識と他者からの見た目での評価の間で揺れるきりこ。猫なのにきりこと意思疎通が出来て達観した生き方のラムセス2世。誰に何と言われようと自分の信じる道を行く強いちせちゃん。クセの強い登場人物が、読後もとても印象に残る。
    見た目から受けとった印象や周りからの評価に惑わされず、物事をしっかり自分で見極めて生きていこうと思った。

    「自分のことを鏡(周りからの評価など)で見ているのは人間だけ」
    「自分のしたいことを、叶えてあげられるんは、自分しかおらん」
    「容れ物と、中身と、経験してきたこと込みで、うち」

  • 「きりこは、ぶすである」というインパクト大!な一文から始まる物語。

    自分のことを可愛いと信じて過ごしてきたきりこが大人になるにつれて知った、自分が“ぶす”であるという現実。
    それから引きこもりになる半生と、きりこが自分を取り戻すまでの物語。

    「自分」の欲求に従うこと、思うように生きること、
    誰かに「おかしい」といわれても、
    「誰か」は「自分」ではないのだから、気にしないこと。

    自分は容れ物も、中身も込みで、自分なんだということ、
    今まで自分が経験してきた自分の人生すべてで、自分なんだということ。

    私もネガティブだから、きりこやちせちゃんの言う言葉1つ1つがとても胸に刺さって、
    人生楽しく、自分らしく生きることの大切さを教えてもらいました。



    2019年読了、22冊目

  • きりこに感情移入しながら読み進めてました。
    テンポよくポンポンと軽快に読破できて楽しかったです。

    容姿における懊悩煩悶。それらが手に取るように分かって、かつて味わっていた当時の思い出なんかも鮮明に甦ってきて思わず顔を顰めたりもしましたが、これを読み終わる頃には何処か前向きな気持ちになれてました。私も人間よりも猫がいい。

  • きりこについて(角川文庫)
    著作者:西加奈子
    発行者: 角川グループパブリッシング
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    自分は自分です美しさは、何かを問う名作。


  • 自分の気持ちに正直になるって勇気がいる!
    丸ごと自分が自分を大切に出来たら
    幸せだなぁ

  • その通り!きりこ、よう言った!人に好かれるのも猫に好かれるのも理由がある。容れ物は関係ない。自分の気持ちに素直に生きて何が悪いんだ。

  • きりこは最後まできりこであって、俯いた時期もあったけどモノゴトの捉え方を気づかせくれたのは周りの人であったしそんな人間の見栄なんて
    微塵も気にしなく真意を見透おしているネコの存在であったりと人間の世界だけに目を向けるのはナンセンスだと気付かされる作品でした。

著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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