- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043944934
作品紹介・あらすじ
激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻を蘇らせるため、ヌメリヒトモドキの密かな飼育に熱中していく。悲劇的な結末に向かって…。選考委員絶賛、若き鬼才の誕生!第18回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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ヌメリヒトモドキという強烈な悪臭を放つヘドロの生物?を使って死人を蘇らせるお話。
脱皮のような行為を繰り返して、少しづつ人の容姿へ近づいていく様が本当に気持ち悪い。
ヌメリヒトモドキの研究者が、死んだ妻を愛するがあまり蘇らせる。主人公の妻への異常な執着もよく分からないし、死んだ妻の人物像も前半と後半で印象が違って全然掴めなかった。読解力の足りない私には、ただただヌメリヒトモドキがキモ面白かったし、ネーミングも表紙も題名もかなり強烈なインパクトだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヌメリヒトモドキという、人間が粘液になったような生物がいる世界。町外れには「女王」と呼ばれる巨大なヌメリヒトモドキがいて、ヌメリヒトモドキはそこから生まれ、また女王に返って融合し、また生まれるサイクルを繰り返す。主人公はヌメリヒトモドキの研究者。ある時ヌメリヒトモドキの人間近似個体の研究から、主人公は亡くなった妻をヌメリヒトモドキで作ることを思いつくー。
もう、「どうやったらそんな話思いつくん?」という感想。粘液の描写が最高に気持ち悪くて良かったです。異常な世界観の中で細かく描写されていく主人公の心情とだんだんシンクロしていくから不思議。ただ亡くなった妻以外の人との関係性についての描写がちょっと薄いというか…カンナミ研究員ともう一悶着あっても良かったかな?という感じ。
ラストはめちゃくちゃ好きなタイプの絶望でした。 -
見た目は死んだ妻にそっくりだが、ヒトではない。
ヒトでは無いが見た目は妻。
自分だったらどうするだろう?
孤独な男の徐々に、狂気じみてくる行動が面白い。
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ヌメリヒトモドキがひたすらに気持ち悪い!しかし途中で少し可愛らしく見えてしまったり…ラストのどんでん返しもスピード感があって面白かった。
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課題本読了。
設定からアレかと思ったが、やっぱりアレだ。
人間の意識のほうがホラーなんじゃないか、と。むしろ感じるのが人間の精神だから、狂気こそ最も人に恐怖を感じさせるものだなぁと。
主人公の考えがどんどん侵食されていくところが魅力なのかな?
こういう作品を読んで、ブレない個というものを理想としてみていしまうあたり、自分もまだまだ厨二病。 -
ずっとヌルヌルしてる。
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書店でジャケ惹かれして、その後ずっと気になっていたんだが、Twitter文学賞なるもので、注目を集めたと聞きつけ、「ならば読もう!」となった次第。
Amazonによる梗概はこう。
激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻を蘇らせるため、ヌメリヒトモドキの密かな飼育に熱中していく。悲劇的な結末に向かって…。
主人公の「私」の手記として(つまり後日譚として)語られるのだが、その「私」の思弁を弄した内省語りというか、文体含めて回りくどいことこの上なしで、そのへんのねちっこさも相まって、全篇にわたって粘液ドロドロの世界観。ただ、その内省に絡めた人間洞察が秀逸で、数少ない登場人物の内面をえぐっていく場面は、若い作家とは思えないほどきめ細かい。
苦言を申せば、粘液、ヌメり、悪臭に対する描き込みをしているにも関わらず、もうひとつグロさが足りない。要するに作者の心根が優しすぎるんだな。
吐き気をもよおす鬼畜度があれば、ヌメリヒトモドキの妻に対する「私」の感情が、より鮮明に抽出できたんじゃないだろうか。
もし映像化されることがあれば(いや、ないない(笑))、山崎さんの役は是非とも大杉漣でお願いしたい。 -
最初から最後まで主人公を理解出来ず………
ヌメヌメドロドロポニョ~ンしてるだけ。 -
自分とまったく同じ思考・記憶をコピーされた別個体の”自分”は自分なのか?という哲学的な思考課題がこの小説にはある。
やや表現がしつこいというか。それが主人公の異常性を際立たせている。映画化されたら見に行きたいと思う。