新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)

制作 : 魚住 孝至 
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 334
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000011

作品紹介・あらすじ

「考えるのをやめなさい」。日本滞在中に弓道を学んだドイツ人哲学者ヘリゲルは、自我を捨て心を無にして的を射よと説く師の言葉に、あらゆる道に通底する禅の奥義を感得する。精神集中と身体の鍛練によって、いかに「無心」となり得るのか。世界中で愛読され続ける日本論の名著を新たに訳し下ろし、講演録や鈴木大拙の序文とともに収録。最新研究を踏まえた解説により、日本的な武道と芸道、そして禅の真髄を解き明す決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 齋藤孝先生が『教養力』(さくら舎)の中で紹介されていた1冊。
    ドイツ人の哲学者である著者が、日本滞在中に弓道を通して禅の精神を感得していくまでを丁寧に綴った記録です。

    無心の境地に至る過程が、観察と経験に基づいてまとめられています。
    禅の文化が肌に馴染んでいる日本人が「そういうものだ」としている部分にも問いを投げかけ、言葉で理解しようとした著者ゆえに、このように文章にまとめることができたのでしょう。(もちろん、読めば誰でもできる、といった類のものではありません。)

    著者と彼の師である阿波研造との交流も印象的でした。
    1920年代後半、まだ日本で暮らす外国人が少ない時代です。
    わからないことはどんどん質問して言葉での説明を求める著者と、師の背中を見て学ぶことが一般的である日本で指導してきた阿波。
    文化の違いに戸惑いつつも互いに歩み寄ろうとする姿からは、師弟の絆の強さがうかがえました。

    難しい部分もありましたが、読んでいるあいだは心地よい緊張感があって、すぅっと背筋が伸びました。
    心の整理をしたいとき、読み返そうと思います。

  • 印象に残った記載

    それが射るのです

    弓身一体の状態のこと、無心、呼吸に集中

  • 翻訳家の魚住氏の美しい日本語訳を本の内容を一層際立たせる感じでした。
    目標は小手先の技だけでも達成できるかもしれないし、ある程度のレベルまで行けるかもしれない。しかし、稽古を重ねてきちんと会得した技であれば、何にでも活用できる。
    短期間で達成できるかもしれないし、長期にわたるかもしれない。とにかく日々、精進するのみ。

  • ・師はそれを見てしばらく考え込んでから、終に次のように言われました。
    「あなたは、甲矢が的の真ん中に中ったことは、達人の芸ではないと考えられるかも知れません。何しろ、私はこの道場で優に三十年以上も稽古しているので、真っ暗闇であっても的がどこにあるかを知っているに違いないから。その限りでは、あなたは正しいかも知れない。
    けれども乙矢はどうか。これは『私に』起因することではありません。『私が』中てたのでもありません。こんな暗闇の中で狙えるものか、あなたはとくと考えて下さい。これでもまだ狙わなければ中てられないという思いに止まろうと思われますか。我々は的の前で頭を下げようではありませんか、仏陀の前でそうするように。

  • 神秘体験に関心のあった一人のドイツ人哲学者が日本に来て弓道を学んだ体験記で、短い本なのだが、これほど強く感銘を受けたと感じたのは久しぶり。日本の武道とそれが志す精神性が、はっきりと浮かび上がってきてとても感動した。日本文化に馴染みのない外国人だったからこそ、ここまで丁寧に浮かび上がらせることができたのだと思う。ここに記されている伝統的な日本の精神は、現代では薄まりつつ確かに残ってもいて、そういう中途半端な時代を生きる日本人にとってはすごく読む価値のある本だと思う。
    これを読むと、禅や武道の修行というのは「無我」を目指すものだということがよく分かる。そして、そういうものを目指して修練してきた人が尊敬に値することもよく納得できるし、ことば数は少なく背中で語るというようなタイプが規範的な日本人像とされてきたのも合点がいく。一方で、禅や武道の教えや慣習が、合理性を第一に重視する現代社会と合いにくいのも随分納得できる。禅の教えは、成熟を目指すときには有効だが、発展を目指すには効果的でないという感じだろうか。読後、個人的な生き方や、良い慣習と悪い慣習をどう分けるかみたいな社会的なことなどにもあれこれと考えが及んでいたので、それだけ刺激的な本だったのだと思う。

  • ざっと読だけど、日本人の感覚、極意みたいなものは捨てたもんじゃないと再確認。

  • ジャンプの漫画みたいです。東洋哲学は理論でないので経験したものでしかわからない境地です。その点の説明はわかりづらいかも知れません。

  • 弓道を通じ、禅とは何かに辿り着いた、著者の実体験を記した書
    それゆえにリアリティがある
    スティーブ・ジョブズの愛読書でもあった

    意識を超えた無心の行為=禅
    とても深く、難しい内容ではある
    しかし、呼吸法やルーティンについての言及部分などは、素人ながらも理解が及んだ
    また、「快・不快の間を行き来することから離れる」というのも、まさに実感しているところであり、感銘を受けた

  • スキルとセンスの取得方法は全くを持って異なる

  • 2016年64冊目。

    西洋哲学の研究者であった著者が、日本滞在中に学んだ弓道の中に禅の思想を見出していく。
    的を狙ってはいけない。射ようと思って射てはいけない。
    「無心」の為せる技。術なき術。
    満を持した時に自然と放たれる矢は、「私」ではなく「それ」によって放たれているという。
    自己に集中しているようで、自我を手放している。
    マインドフルネスに関心が高まっている中、この本はとても面白い。

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著者プロフィール

1884年、ドイツ生まれ。哲学者。1924年に東北帝国大学講師として来日し、哲学史を教えるかたわら阿波研造に入門。弓道五段の免許を得る。帰国後は日本思想を講じ、1948年に『弓と禅』を著した。1955年没。

「2015年 『新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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