新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)

制作 : 魚住 孝至 
  • KADOKAWA/角川学芸出版 (2015年12月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000011

作品紹介

「考えるのをやめなさい」。日本滞在中に弓道を学んだドイツ人哲学者ヘリゲルは、自我を捨て心を無にして的を射よと説く師の言葉に、あらゆる道に通底する禅の奥義を感得する。精神集中と身体の鍛練によって、いかに「無心」となり得るのか。世界中で愛読され続ける日本論の名著を新たに訳し下ろし、講演録や鈴木大拙の序文とともに収録。最新研究を踏まえた解説により、日本的な武道と芸道、そして禅の真髄を解き明す決定版!

新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 齋藤孝先生が『教養力』(さくら舎)の中で紹介されていた1冊。
    ドイツ人の哲学者である著者が、日本滞在中に弓道を通して禅の精神を感得していくまでを丁寧に綴った記録です。

    無心の境地に至る過程が、観察と経験に基づいてまとめられています。
    禅の文化が肌に馴染んでいる日本人が「そういうものだ」としている部分にも問いを投げかけ、言葉で理解しようとした著者ゆえに、このように文章にまとめることができたのでしょう。(もちろん、読めば誰でもできる、といった類のものではありません。)

    著者と彼の師である阿波研造との交流も印象的でした。
    1920年代後半、まだ日本で暮らす外国人が少ない時代です。
    わからないことはどんどん質問して言葉での説明を求める著者と、師の背中を見て学ぶことが一般的である日本で指導してきた阿波。
    文化の違いに戸惑いつつも互いに歩み寄ろうとする姿からは、師弟の絆の強さがうかがえました。

    難しい部分もありましたが、読んでいるあいだは心地よい緊張感があって、すぅっと背筋が伸びました。
    心の整理をしたいとき、読み返そうと思います。

  • ・師はそれを見てしばらく考え込んでから、終に次のように言われました。
    「あなたは、甲矢が的の真ん中に中ったことは、達人の芸ではないと考えられるかも知れません。何しろ、私はこの道場で優に三十年以上も稽古しているので、真っ暗闇であっても的がどこにあるかを知っているに違いないから。その限りでは、あなたは正しいかも知れない。
    けれども乙矢はどうか。これは『私に』起因することではありません。『私が』中てたのでもありません。こんな暗闇の中で狙えるものか、あなたはとくと考えて下さい。これでもまだ狙わなければ中てられないという思いに止まろうと思われますか。我々は的の前で頭を下げようではありませんか、仏陀の前でそうするように。

  • 新訳だけあって、読みやすさは折り紙付きです。阿波研造範士の「術なき術」の要諦は次の通り。「兎の角と亀の髪で以て射る、つまり、弓(角)と矢(髪)なくして的の真ん中に中てる人にして初めて、言葉の最も高い意味において達人であり、術なき術の達人、それどころか術なき術そのものであり、したがって達人と非達人が一体となっているのです。この転回点とともに、弓道は動きなき動き、舞うことなき舞いとして、禅へと移っていくのです。」この意味は現世において解るかな~。自信ないな~。

  • 神秘体験に関心のあった一人のドイツ人哲学者が日本に来て弓道を学んだ体験記で、短い本なのだが、これほど強く感銘を受けたと感じたのは久しぶり。日本の武道とそれが志す精神性が、はっきりと浮かび上がってきてとても感動した。日本文化に馴染みのない外国人だったからこそ、ここまで丁寧に浮かび上がらせることができたのだと思う。ここに記されている伝統的な日本の精神は、現代では薄まりつつ確かに残ってもいて、そういう中途半端な時代を生きる日本人にとってはすごく読む価値のある本だと思う。
    これを読むと、禅や武道の修行というのは「無我」を目指すものだということがよく分かる。そして、そういうものを目指して修練してきた人が尊敬に値することもよく納得できるし、ことば数は少なく背中で語るというようなタイプが規範的な日本人像とされてきたのも合点がいく。一方で、禅や武道の教えや慣習が、合理性を第一に重視する現代社会と合いにくいのも随分納得できる。禅の教えは、成熟を目指すときには有効だが、発展を目指すには効果的でないという感じだろうか。読後、個人的な生き方や、良い慣習と悪い慣習をどう分けるかみたいな社会的なことなどにもあれこれと考えが及んでいたので、それだけ刺激的な本だったのだと思う。

  • 2016年64冊目。

    西洋哲学の研究者であった著者が、日本滞在中に学んだ弓道の中に禅の思想を見出していく。
    的を狙ってはいけない。射ようと思って射てはいけない。
    「無心」の為せる技。術なき術。
    満を持した時に自然と放たれる矢は、「私」ではなく「それ」によって放たれているという。
    自己に集中しているようで、自我を手放している。
    マインドフルネスに関心が高まっている中、この本はとても面白い。

  • 海外で日本哲学を学ぶ際に避けては通れない本らしい。
    戦前の日本にきたドイツ人が、弓を通して日本の文化や禅について体験した事を書いている。

    非常に静かで、時間の流れか現代とは違う。
    しかしその事で自分との対話が今よりもできたているのではないか?と思いながら読んだ。

  • 無心になることで、自然な離れがなる。弓道の修行を通じて、禅の真髄を知る。ドイツ人の視点から見た、日本人の精神性。

  • 講演録と「弓と禅」を一冊に収め、新たに訳したもので、充実した解説も付されて、オイゲン・ヘリゲルが経験したことがより深く理解できるようになっています。何度読み返しても感動します。

  • 2部構成で、1部はドイツでの講演会。
    岩波は、仙台での講演会。

    わかりやすいのは、岩波。

    福村のはむずかしいので、
    あんちょこで、これ。

    でも、読んでよかったわ。
    人生の問題の9割がたのところまで来た。

  • ドイツの哲学者が弓を学ぶことで禅の世界へアプローチするその体験を綴った本。
    自分が日本人なので不思議とさへ思わなかったことが多くあることに気づかされる。例えば旧来の武器であった弓がその役目を銃や砲に譲ったあとにも残り、それはスポーツとしてではなくむしろ精神修養としての役割を担っていたり。昔の日本には西洋でいうスポーツってない気もしてくる。肉体を鍛えるために何かをするって発想が日本には乏しいのかな、だって真面目に働いていれば体は逞しくなるのが当然の時代だから精神修養に重きを置かれるのか。そんなこんなで未だに高校球児は修行僧のようになっているのかとも思う。日本人はどこへ進もうとしてたんやろ。
    あと、達人で連想したのは中島敦の名人伝だった。

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