動乱の日本史 徳川システム崩壊の真実 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 30
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000059

作品紹介・あらすじ

ペリー来航から明治維新を経て進んでいく幕末の動乱には、現代にも通底する特異な思想と、日本を繰り返し滅亡の危機に追い込んできた要因が凝縮されている。  なぜ「ペリーは突然やってきた」が歴史常識になったのか? なぜ攘夷派は目の前の現実を無視し続けたのか? なぜ明治革命でなく明治維新なのか? 正論を封殺する言霊信仰や平和念仏主義、朱子学の猛烈な副作用――。  そして幕府の危機管理システムはなぜ崩壊したのか?  歴史を戦乱で読み直す、待望のシリーズ第2弾!

感想・レビュー・書評

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  • そもそも、自分自身、江戸時代についてろくな知識を持っていなかったにせよ、この本の視点には目を見張るものがあった。理解した要点以下の通り。
    ◯幕末を理解するには、徳川家康まで遡って、彼の政策と後世への影響の理解から始めないとダメ。
    ◯徳川家康は危機管理の天才。仮想敵国である薩長を軍事面で封じ込めるための何重もの防壁、徳川幕藩体制を思想的にバックアップするための朱子学の導入。
    ◯祖法を盲目的に重んずる朱子学の思想が江戸時代における商業、資本経済や洋式技術の導入を妨げた。
    ◯徳川家康の時代であれば、技術的に外国からの侵略は不可能であり、亡国の可能性は薩長による内乱だけ。その中では、極めて適切な政策。しかし、西欧における技術革新という要素に追随できない状況におといれてしまった。
    ◯黒船はロシア、アメリカに対する無闇な攘夷によって自ら招いたもの。
    ◯そうした視点から比較的自由だった人、阿部正弘、島津斉彬、鍋島閑叟、江川太郎左衛門、勝海舟、維新の英傑の存在により朱子学のくびきから逃れられた。
    ◯天皇の存在によって、それ以外が相対化されるというシステムが存在したことが四民平等、民主主義の導入に繋がった中朝との岐路
    ◯しかし、明治の祖法?を重視した昭和陸軍によってまた亡国に。現在に当てはめると、護憲派は攘夷派と何ら変わりなし。念仏平和主義(司馬遼太郎)で、他の味方を頭から否定する考え方は、現代における朱子学的残滓と言っても良い。

    先般読んだ、石平さんの日本思想史の後半の江戸の朱子学の理論と併せて、非常良い理解となった。

  • 徳川家康は稀代の危機管理の天才だった。

    それはある意味当然だろう。幼少時から人質の身となり、桶狭間で今川義元が討たれると、織田の元で独立を果たして同盟者となったとは言え、その実、家臣のような扱いであり、正室と嫡男を自害させられ、挙句、本能寺では暗殺されかけたのだ。

    その家康が叡智を絞り、仮想敵国である長州と薩摩が徳川家に反抗出来ないシステムを作りあげた。

    物理的には街道沿いの城の配置による薩長の進軍の防止、人心的には朱子学による祖法の遵守である。
    ただ、その天才家康をもってしても、幕末に朱子学が徳川家自らの首を絞める事になるとは、予想出来なかったということだ。

    幕府創設からの家康の思考を読み解くと、幕末がより理解できる。

  • 20160729読了

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著者プロフィール

1954年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社し報道局に勤務。80年、『猿丸幻視行』(講談社)で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念し、歴史推理小説の分野で活躍する一方、日本史と日本人についての評論活動を積極的に展開。歴史についての鋭い考察は「井沢史観」と称される。ベスト&ロングセラーとなっている『逆説の日本史』『逆説の世界史』『日本史真髄』(以上、小学館)、『学校では教えてくれない日本史の授業』(PHP研究所)、『動乱の日本史』(KADOKAWA)など著書多数。

「2021年 『汚れた「平和の祭典」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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