家紋の話 (1) (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2016年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784044000097

作品紹介・あらすじ

「紋」といえば、封建社会や家族制度から生まれた格調高き文様――と思いきや、実は様々な柄がある。日、月、星の天文から雪や波などの自然、はたまた植物や花々、身の回りの品々まで。究極の日本のデザインともいえるその世界に魅せられ、40年以上も上絵師として紋章を描き続けた直木賞作家・泡坂妻夫が、「紋」の成り立ちと変化、そこに込められた遊び心と驚きの意匠を語る。職人ならではの視点と軽妙洒脱な文章で綴る、極上の紋章入門!収録図版約2000点。

感想・レビュー・書評

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  • 米澤穂信さんのエッセイに紹介されていたので手に取った。
    著者の泡坂妻夫さんは、推理作家でもあり、上絵師(家紋を書く職人)とのこと。

    ヨーロッパにも紋章があるが、それは王侯貴族だけが用いた。
    半面、日本では広く一般庶民にも普及し、2万種類にもなるそうだ。
    それも、全国の墓石をめぐって記録したというのは驚き。

    日本でこれだけ家紋が普及した理由として、日本人が模様が好きな民族性だからと著者は考える。縄文土器からもその傾向が見える。(縄文は、アメリカ大陸や太平洋諸島にもわずかにあるが、日本のように多種多様な模様は作られていない)

    紋の半数以上は植物をモチーフにしている。獣や鳥は身近に見ることができる可愛いもの。空想動物や魚は用いられていない。

    家紋は、決まった枠の中で個性を表現する技術と書かれていたが、それを読んで、まるでXみたいだなぁと思ったり。


    以下メモ
    ・私的な集まりでは、自分好みの模様を衣服に着けたり、調度品の模様に使う。そして、牛車にもこれを記すようになったのは自然のなりゆきでしょう。はじめは装飾が目的ですが、それが一代だけのものではなく、子や孫も踏襲するようになると、だんだんと模様と家との結びつきが強くなり使用者も家の象徴として意識をし、他人もこれを認めるようになります。

    ・天皇が菊と桐を使って良い。功績をたたえるために下賜することもある。
    豊臣秀吉も、菊と桐を下賜され建造物をはじめ装飾に使用し、さらに自身の家臣へも与えていた。乱発により権威が薄まるのを見た家康は、天皇からの下賜を丁重に辞退し、かわりに葵の紋を独占し価値を高めていった。

    ・家と紋の関係が密接になると道を歩いていても、紋を見ればあの人はどこの人と判るようになる。便利でもありましょうが半面として非常に不都合を伴います。いつも落ち度のない行動をとらねばならず、それではへとへとになってしまう。
    それで、公式でない物見遊山や趣味的な集まりには、家とはあまり関係ない隠し紋を着て出歩くようになりました。

    ・紋の外側の丸と中心の円、これを紋の二大発見と呼びたいほどです。紋は丸を得て、その世界を確立したと言って良いでしょう。それによって、円の中に作図する初歩的な幾何学の応用で紋の形は数段に進歩しました。

    ・「角字」この一群は、文字を四角の中に閉じ込めた紋であります。
    文字は仏教の経典によって伝えられ、本来神聖なものでありました。あくまで正しく美しくなければいけない。
    これが庶民にいきわたると、たちまち遊びが始まりました。相撲文字、寄席文字、浄瑠璃文字、歌謡文字、籠字、髭文字ときりがありません。


    最後に
    現代では和服を着ることもなく家紋の出番も少ない。そこで著者は、文様から分化した紋を再び文様に還元できないか考えた。それで作ってみた模様が巻末にのっていて、それはそれで素敵だと感じた。私も模様好きの民族なのかも。

  • 東2法経図・6F開架:288.6A/A97k//K

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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