新訂 枕草子 上 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2024年3月22日発売)
4.13
  • (2)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 178
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784044000660

作品紹介・あらすじ

清少納言は、卓越した文才で中宮定子サロンの様子や、自然のありよう、人間関係の機微を記録した。「春はあけぼの」ではじまる美文は千年の時を超え今も人々の感嘆を誘う。本書は最新の研究成果を反映した注釈の新訂版。陽明文庫本を底本として諸本による校訂を行った原文、ていねいな脚注・補注、本文に忠実な現代語訳に加え、鑑賞や『源氏物語』との関連にも言及する「評」を加えた。上巻には一段から一三八段をおさめる。

みんなの感想まとめ

多様な視点から清少納言の魅力が詰まった随筆を楽しむことができる作品です。原文と現代語訳が併載され、丁寧な脚注や補注が施されているため、古典に不安を抱く方でも読み進めやすい工夫がされています。しかし、構...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • やっと枕草子に挑戦です。こちら原文と現代語訳が両方掲載されてるタイプですが、まず原文、その下段に単語などの訳注があり、別ページにさらなる補注、全部終わったとこからまとめて現代語訳という構成なので、個人的にはちょっと読み辛かったです。これきっと編集の人も悩みどころだと思うのですが、単なる個人の好みで、せめて段ごとに原文&訳注&現代文セットでまとめてほしかったなあ。1段ごとにあっちいったりこっちいったりしないと意味がとれなくて面倒くさかった。

    あと訳注も、微妙にかゆいところに手が届かなかった気がする。例えば有名な最初の章、春はあけぼの~に対して秋は夕暮れ~の秋に(春の対義語)と訳注ついてたけどこれはいらんやろ。なのに「冬はつとめて」の「つとめて」が何かは訳注なく現代文を参照しないとわからない…。そんな感じでちょっと内容以外のところに不満が残りました。

    枕草子の内容自体は面白かったです。「春はあけぼの~」があまりにも有名すぎて、「〇〇なもの」シリーズのイメージが強かったのだけど、実際には清少納言が仕えた定子様の回想などが結構たくさんあり、そちらのほうが今は個人的に興味深かったですね。少し前に冲方丁の『はなとゆめ』という清少納言が主人公の小説を読みましたが、あのエピソードもこのエピソードも全部出展は枕草子だったのねと(笑)

    件の小説の清少納言は引っ込み思案で劣等感強めでしたが、この枕草子を読んだ個人的な印象では、清少納言は行動力があって機知に富み、自己肯定感も強い女性だったのでは?と思いました。斉信や行成とのエピソードなど、モテ自慢にしか思えなかったし(笑)そしてシモネタ…というほどではないけれど、男女のことなど結構赤裸々な部分もあり(後朝=きぬぎぬ、というとなんか上品だけど、シンプルに事後ですよね)現代女性でも「わかるー!」みたいな部分がたくさんあるのが醍醐味。

    あと大河ドラマでも描かれていた、紫式部の夫の藤原宣孝(佐々木蔵之介)が御岳詣でに派手な服装で行った話とか、これか!マジで書いてある!となりました(笑)

  • 大河ドラマで紫式部が主人公、清少納言も注目されているというところで、『枕草子』を読んでみた。

    何となく知っているような気になっているが、そういえば、「春はあけぼの」とか「香炉峰の雪」とかごく限られた章段しか読んだことがないのである。はて、全体としてはどのような感じなのだろうか。

    すべてを原文で読めればよいのだろうが、あいにくそこまで古典の教養はない。しかし、せっかくだから抄訳や“超訳”的なものでないものにトライしたい。
    というわけで、角川学芸出版の角川ソフィア文庫にしてみた。
    上下巻2冊構成、各巻とも、前半に脚注付きの原文、補注を挟んで、後半が現代語訳である。上巻末尾には資料と解説、後半末尾には年表と索引が付く。
    基本は現代語訳で読み進める。引っかかったら原文に戻り、適宜、脚注や補注を確認する。
    ・・・ん、これなら読めるかな・・・?

    その前に、ちょっと予備知識を入れる。
    全体としては約300の短い章段からなる。
    池田亀鑑によれば、大まかに、「虫は」「うつくしきもの」といった「ものづくし」の“類聚(るいじゅう)章段”、日常生活や四季の自然を観察した“随想章段”、作者が出仕した中宮定子周辺の宮廷社会を振り返った日記風の“回想章段”の3つに分けられる。が、「春はあけぼの」のように類聚と随想が混ざったようなものもあり、いずれにも分類しにくいものもある。
    執筆動機も諸説あり、また、「枕草子」と題された理由についてもいくつか説がある。
    執筆時期も正確には不明だが、長保3(1001)年ころには大半が書かれていたとみられている。このころにはもう清少納言は宮仕えを退いている。清少納言が仕えた中宮定子が3人目の御子を産んだのちに早逝したのはその前年、長保2年のことだったのだ。加筆修正は後々まで続けられたようである。
    原本は残っておらず、4系統の伝本があり、内容や章段の順序に相違がある。
    角川ソフィア文庫版は、三巻本と呼ばれる伝本を底本としている。
    ・・・いやはや、なかなか大変ですね・・・。

    実際に読んでみる。
    冒頭は「春はあけぼの」である。
    うん、この辺は原文でもいける?と思うくらい読める。というか、中学か高校の古文で習ったよな、これ。「山ぎは」と「山の端」の違いとか。あー、それじゃ自力で読めているんじゃなくて、習ったから読めるのか・・・。古文の先生、ありがとう(今更)。
    このあたりを読んでいると、清少納言は「感性」の人なんだな、という感じがする。誰もが見たことがあるであろう風景を、誰もが語れるわけではない視点で、鮮やかにすっきりと切り取って見せる。
    聡明で小気味よい。

    いわゆる類聚系のものは、章段自体短く、ぽんぽんぽんと列挙されるので、まぁそんなものかとわかりやすい。文化や習慣の違いで、よくわからないものもあるが、千年も前のものだから、そんなものだろう。鳥や虫の話などは、実際にどうだったというよりも、伝承や和歌の中の話が多い。蓑虫は鬼が生んだものだとか、山鳥は仲間を恋しがり鏡を見せると仲間がいると安心するとか、そういうお話があったのか、という意味ではおもしろい。
    難しいのは特に日記系のものである。
    宮廷のあれやらこれやらがとにかくわからない。
    第78段。頭中将(藤原斉信)は清少納言との交流があったことで知られ、枕草子にも何度か登場する人物だが、何かしら清少納言の悪い噂を聞いて、清少納言の悪口を言ったり、無視したりするようになる。清少納言は誤解ならそのうち晴れるだろうと特に何もせず、放っておいている。ところがある夜、急に斉信から文が来て、それに白氏文集にある漢詩の一節が書いてある。使いの者は、清少納言に早く返事を書けと急かしてくる。清少納言はこの漢詩の続きを知ってはいるのだが、したり顔で、またうまくもない(謙遜?)漢字を書くのもためらわれ、藤原公任による「公任集」から連歌の一句を借用し、斉信が寄越した手紙に書き足して返す。この返事が気が利いていたため、斉信はすっかり機嫌を直し、宮中でも評判になり、中宮定子も喜んだ、というもの。
    ・・・そもそもの白氏文集の漢詩もわからなければ、公任の句もどう解釈するのかよくわからない。それで皆がほめそやすというのもよくわからない。
    現代文の方に「評」が付いていて、これは単なる清少納言の自慢話ではなく、仕える女房のこうした素質が、定子後宮の評価に直結しているのであるから、清少納言は中宮の面目を保ったのであり、中宮が喜ぶのも当然なのだという。
    ・・・気の利いたやりとりをするってことがつまり、政治的に意味があった、ってことですかね・・・?

    訳注の石田譲二による解説が含蓄深い。
    枕草子は「親しみやす」く、それは「作者のほとんど無垢といっていいほどの人の好さ、単純さによる」という。一方で、「事柄の一つ一つが、裸のまま、つまり世界解釈の隈取りや陰影を帯びることなく、我々の前に投げ出されている」というのである。著者は書いている対象について、「自明」のものとして扱っている。さまざまな事柄について、特段の説明がない。そのため、著者に接近していくためには、1つ1つの事柄を「綿密に仔細に点検する」「注釈」が必要だというのである。

    やさしく見えて容易くはない。
    どうやら『枕草子』を真に味わうということは、宮廷生活を生きた1人の女性の内面にまで分け入っていくということであるようだ。


    *すみません、これ、登録を間違えました。今、角川ソフィアは新版が出ているのですね。私の読んだのは旧版でした。こちらも残しますが、別途登録しなおしました。→https://booklog.jp/users/ponkichi22/archives/1/4044026017#comment

  • 古文の授業では「春はあけぼの」とか「香炉峰の雪は」とか当たり障りのない感じだけど、いざきちんと読んでみると恐ろしく政治的な文書なのがよくわかる。
    中宮定子のサロンなんて中関白家の前線基地みたいなものなわけで、考えてみれば当然のことかもしれない。

全3件中 1 - 3件を表示

清少納言の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×