痴人の愛 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 331
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000783

作品紹介・あらすじ

「つまりナオミは天地の間に充満して、私を取り巻き、私を苦しめ、私の呻きを聞きながら、それを笑って眺めている悪霊のようなものでした」 独り者の会
社員、譲治は日本人離れした美少女ナオミに惚れ込み、立派な女に仕立てやりたいと同居を申し出る。我儘を許され性的に奔放な娘へ変貌するナオミに失望しながら、その魔性に溺れて人生を捧げる譲治の、狂おしい愛の記録。谷崎の耽美主義が発揮された代表作。解説・島田雅彦

感想・レビュー・書評

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  • 優しい人はいてもいなくてもいいらしい。
    ナオミのような女になりたい。
    美しく、奔放で、可愛らしく、我儘で、愛おしく、傲慢で、他人を惹き付けて止まない、離れたくても決して離れられない、そんな唯一の女になりたい。

  • 最後の一文にこれから先を想像してうんざりさせられた。

  • 昔の小説なのに読みやすくて驚いた

    ナオミよりも河合さんに腹が立ちつつ、時間をかけて読了

    ナオミのように自由奔放な女性は生きるのが楽なのだろうか?
    千束町出身だからという表記があったが、血は争えないのか…

    思い通りに人生を進めるためには強引さと周りが引いてしまうくらいの自信が必要なのかもなと思った

    家を出て行った後にナオミの肌が西洋人のような白さだったと書いてあったけどあれは成長によって西洋の血が濃くなったのか
    それとも偽装が上手くなった(化粧?)のかが気になったまま終わってしまった

    誰かに振り回されたくなったらまた読もうと思う

  • 何を思って高校生の頃読んだのか正直思い出せないのですが、ものすごく苛々しつつも最後まで読みきったので、そこが谷崎のすごさかな、と思わなくもないです。
    ナオミみたいにはなりたくないけど(笑)自由奔放に振る舞って生きていけるのは羨ましいところですね。ナオミより譲二のどうにもならなさの方が気になる

  • 細雪でも思ったが女性を書くことがとても上手く、魅力的に見える所が素晴らしいと思ったし魅力的に見えるからこそ惹き付けられる人達の感情に違和感を感じなかった。

  • 主人公は明らかに精神病だから周りの人(特に浜田とか)が無理矢理にでも早く病院に連れて行ってあげればナオミの呪縛から解放されたのかなぁ。

  • 大正13年の作品とは思えない。異常性愛を描いた現代にも通じる古典的作品。

    日本文学史に日本文学史に残る作品の一つであろう作品。内容があまりに現代風なのには驚き。一部の言葉の他、全然設定を現代にしても通用しそうに思う。

    若い女の子を自分の理想に育てる。光源氏と若紫の頃から男の夢というか潜在的な願望があるのかも。

    主人公がナオミの魅力に耽溺していく過程がサスペンス調に楽しめる。

    日本人は昭和20年を境に戦前と戦後を分ける傾向があるが、本作を読むと連続した流れがありさほど変わってはいないように思う。それとも大正のエログロナンセンスが偶然に現代に近かっただけなのか。大正という幻想的な時代。

    それにしても女性、特に肌の描写のなんと艶かしいことか。「細雪」も読んだことがあるが、筆者妄想力は凄まじいものがある。作家になっていなければただの助平オジさんだったかもしれない。「雪国」の川端康成にも同様に思ったことがある。

    時代を超えて変わらぬ普遍的な内容の小説。主人公がナオミの魅力に取り憑かれたように、一度読み始めると止まりませんでした。

  • カフェで見染めたナオミに執着し、同居して立派な女性に育て上げようとした譲治。ところがナオミはいつしか我儘で自由奔放な女性に変わっていき…。一度は悪霊にも思えた彼女を追いだした譲治ですが、執着は独占欲となり、彼自身が彼女から離れられなくなるのです。譲治にとってナオミは悪女でしょうか?自分好みに育て上げようとして裏切られた?いえ、譲治自身がナオミがそうなることを望んでいたのではありませんか?あなたは調教されたかった。ナオミの前に跪きたかった。愚かなことが幸せなのです。…谷崎の描く女は本当に瑞々しく妖艶です。

  • やっと読み終わりました。
    文学小説はなかなか読みにくく、苦手な分野なんですが、
    この小説は他のものと比べると比較的読みやすかったです。
    内容的にはこういう話は基本的にはあまり好きではないですが、この時代がどういう時代だったのかなど知れてそれは面白かったです。
    文章にしても、やはり今まで私が読んできたものとはだいぶ違っていて、詩的というか、今の時代ではなかなか使わない表現というかがとても面白くて、そういう面では楽しく読めました。
    ただ登場人物たちはあまり好きになれなかったけど、この話の終わり方は好きでした。
    人生の途中という感じが良いなと思いました。

  • 今頃読む谷崎潤一郎。なんで昔は読まなかったのかな・・・教科書とかに触りの部分が出てなかったからかもしれない。確かにこんなSM小説みたいなのは出せないかもしれない。
    それにしてもこの文庫版の表紙はちょっと・・・昔の新潮文庫の方が地味でいいな。

    田舎の富農出身のある程度裕福な若い男(背は少し低いが、外見も良く、真面目で紳士的)が、カフェーで働いている陰鬱な感じだが日本人離れした顔立ちの15歳の少女を引き取って自分好みの女に「育てる」という発想が確かに奇抜だ。源氏物語の紫の上のようだが、慈しみをもって(でもそれは15歳の思春期の少女を風呂に入れてあげる、というような完全に自分本位の欲望に従っている)教育したもの、育ってみたら自分の期待を裏切って全然違う女になってしまった、ということ。紫の上とは大違いの話である。
    怒りに任せて追い出した女が、全く違う姿形になって(そのように見えたのだろうが)男の前に現れた時、その美しさに完全に屈してしまう。自分が虐められて踏みつけにされることに喜びを求め、支配する側から支配される側になることをあえて望み、そこに愛の形を見出す。
    そうはいっても、この小説の発表当時は、男は愛の形を選べる立場にあったのだろう。また、大正時代の西欧に対する純粋なまでの賛美や憧れも愛に投影されていて(自分好みの女が白人の西洋人女)谷崎は凝り性だったんだろうと窺える。

    独りよがりの勝手な思いで若い女の子を「教育」しようとしたものの、結局は女は自我爆発どころか自分を支配する側に回るという悲哀と滑稽さの裏に、一貫して生身の女は自分の思い通りにはいかないし、あるがままが美しいという真実のようなものが根底にあって、それは女性に対する一種のリスペクトなのかもしれないと思った。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2021年 『谷崎マンガ 変態アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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