増補版 江戸の悪霊祓い師 (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA/角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000844

作品紹介・あらすじ

悪霊と対決して14歳の若妻の憑き物を落とし、市井の人々に絶大な人気を博した「江戸のエクソシスト(悪霊祓い師)」祐天上人とは何者か? 五代将軍・綱吉の時代、なぜ桂昌院を中心とする江戸城大奥の女性たちの積極的な帰依を受け、浄土宗教団のトップにまで登りつめられたのか。謎に包まれたその生涯と事蹟をめぐる伝承に迫り、祐天という稀代の人物像を通して、新興首都・江戸が抱え持つ闇の世界を明らかにする著者代表作。

【目 次】
第一部 霊媒伝承
 
 はじめに 「口ばしり」の伝承
 
 第一章 羽生村事件
 
 第二章 悪霊祓いの伝説
 
 第三章 隠された幼児殺し
 
 第四章 因果の図式
 
 第二部 江戸の悪霊祓い師
  
 第一章 聖者の伝説
 
 第二章 女の霊力信仰
 
 第三章 水子と捨子
 
 第四章 虚像と実像

増 補
 第一章 高僧か、呪術師か
 
 第二章 祐天上人の死に方

感想・レビュー・書評

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  • 浄土宗祐天上人のお話し。
    累ヶ淵の祐天上人といえば分かり易いだろうか。
    この方の凄いところは、当時抑圧されていた、女性、子供、さらには追善供養の対象でなかった赤子、水子までも普く救済の手を差し伸べ、もし感応せずば神仏までも踏み破ろうとする。
    なぜか? 
    目の前の人をなんとか助けたいという、菩提心、大慈悲心によるものであろうが、幼少期、捨てられるように寺に入った身の上も影響しているのであろう。
    悪霊祓いとはいうが、抑圧され虐げられたものが噴き出したことによる発露であればそれを治めるのは並大抵ではないであろう。
    現代でいえば、病理的に名前がつく現象であろうが、当時そんなものはないわけで、念仏と自らのありようでそれに対峙する。
    大慈悲心の聖(宗教者)の生き様から死に様まで。
    是非。

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著者プロフィール

一九三〇年生。東京都立大学名誉教授。著書に『上田秋成年譜考説』(明善堂)、『上田秋成研究序説』(寧楽書房)、『雨月物語』(共著、ちくま学芸文庫)、『八犬伝の世界』(中公新書)、『江戸幻想文学序説』(平凡社、後、ちくま学芸文庫)、『江戸怪談集』上・中・下(岩波文庫)、『江戸の悪魔祓い師』(筑摩書房、後、ちくま学芸文庫)、『女と蛇』(筑摩書房)、『完本・八犬伝の世界』(ちくま学芸文庫)ほか。

「2007年 『西鶴と浮世草子研究 第二号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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