もっとヘンな論文

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レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000981

作品紹介・あらすじ

珍論文ハンターのサンキュータツオが、人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する、知的エンターテインメント本。

【目次】
はじめに
一本目  プロ野球選手と結婚する方法
二本目  「追いかけてくるもの」研究
三本目  徹底調査! 縄文時代の栗サイズ
四本目  かぐや姫のおじいさんは何歳か
番外編1 お色気論文大集合 
五本目  大人が本気でカブトムシ観察
六本目  競艇場のユルさについて
七本目  前世の記憶をもつ子ども
番外編2 偉大な街の研究者
八本目  鍼灸はマンガにどれだけ出てくるか
九本目  花札の図像学的考察
十本目 その1 「坊ちゃん」と瀬戸内航路
十本目 その2 「坊ちゃん」と瀬戸内航路 後日譚
あとがき

感想・レビュー・書評

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  •  どうしたって直接確認しに行くことができない過去、未来、遠い宇宙について研究している人たちの想像力と探究心には、本当に頭がさがる。だって「考えても無駄じゃん」という周囲の声を聞いていながら、それでも考えずにはいられない好奇心をむき出しにしてくれている。率直にいって、カッコいいという言葉しかないのである。(p.47)

     考えてみれば、いま現在にもりんごやみかんといった果物には大きさの差はある。だが、特別なときに使うものは、出来が良くて大きなものになるだろう。もし何千年後かに、現代の六別のりんごやみかんが発見されたら、「この時代のみかんはこれくらいの大きさ」と、たまたま見つかった大きいみかんを、現代を代表するみかんだと思われても困るだろう。いやいや、小さくても甘いやつとか、いろいろあるんだよ、と。こう言う想像力が働くところも、学者のすごいところだ。(p.58)

     想像してほしい。スマホもネットも存在せず、人口もいまほど多くなく、車や電車もなく、移送は馬、遠出をするなんてかなりの労力であった時代。そんな時代の関心事は、恋愛、家族の成長、そして季節の美しさ。そんなところだ。冷房も暖房もない。テレビもラジオもない。音楽も生演奏しかないし、料理もすべて手作りだ。(p.63)

     和歌や日記、そういったものから、当時の人たちがなにを考え、どういう気持ちを込めたのか、それを大の大人たちが、かなり真面目にこうじゃないか、ああじゃないかと考えているのだ。そんなに昔の人のことじゃなくて、いま隣にいる私のことを考えて、と研究者の奥さんたちがいっているかもしれないが、1000年前の人が考えていたことを受け取るのは、1000光年先の宇宙人が考えていることをキャッチすることくらい、ロマンのあることだ。(p.72)

     郷土史家ってどの市区町村にもいるものだ。自分の生まれた場所やルーツを徹底的に調べていく人間。そういう人の面倒くささたるやないのだが、しかしそういう人がいないとその土地のことは50年前のことすらまったくわからなくなってしまうのだ。(中略)この本を読んだ人には、ぜひ人生をかけた研究テーマをひとつはもってほしいということだ。「えー、無理無理」と思うかもしれないが、だれでもできるのである。世の中にやっている人がたくさんいることでもいいし、それで一番にならなくてもいい。
    「こんなところに片手袋が出てましたよ」という情報提供者になってくれたらいいのだ。それも研究に携わっていることにはちがいないのだ。(p.166)

  • いいのだけど、前回の方がよかった。

    本書のシリーズは、論文に妙なつっこみをしながらも学問に対する敬意が伝わってきて共感できたんだけど、今回はその敬意が伝わってこないものが1つか2つあった。そういうのは、不快。

    それから競艇場の研究をしていた女性の研究者への差別的視点も不快だった。なんで彼女だけ下の名前で呼ぶのだ?

    総じて良かっただけに、部分的に嫌な部分があったのが残念。

  • 『ヘンな論文』の続編。今回もすごい題目が並ぶ。プロ野球選手と結婚するための方法に関する研究、起き上がるカブトムシの観察、かぐや姫のおじいさんの年齢を記述や背景から推察したり、夏目漱石の松山への移動経路を丹念に追ったり。時に周囲の価値観と摩擦を起こしながらも、知りたい!っていう想いの強さ、研究者の情熱を感じる。『研究者はもっとも身近な狂人である。』の一文に著者の深い愛が著される。
    本書では、在野の研究者の論文が多く取り上げられていた。研究機関に属さず、市井に暮らしながら、自分の研究を深め、形にする。こういう選択もあるのか。

  • *図書館の所蔵状況はこちらをコピペしてね
    http://opac2017.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/BB50109927

  • 楽しかった!
    自分も含め、大学の卒論は
    くだらないものがほとんどだけど、
    山田先生の漱石に関する論文や
    汽船に関する熱い思いには感動した。
    知り合いには理系が多いけど、
    彼らの研究も行ってみればすぐに役に立たなかったり
    どうでも良い方向に行ってるように見えるのが
    大半だけど、
    だけどやっぱりだいたいの人は研究が楽しいと
    幸せそう。
    大御所で引退した先生たちでも、
    時間ができたから研究するとか
    趣味は研究とか、計り知れない。
    そこまでアツくなれる対象が
    まだ見つけられないわたしには、
    そんな研究者が羨ましい。
    そういや前世のやつは最近ムーで読んだぞ!

  • (2018-05-18)

  • こんな面白い研究をして、私も後世に研究を残したい。

  • 今回も「はぇー」と声が出そうな"ヘン"な論文のオンパレード。
    ところどころ入るタツオさんのツッコミも、ラジオで聞き慣れてるお馴染みの口調っぽさまんまの描写。
    そのせいか文章が終始タツオさんの声とトーンでバッチリ脳内再生されてしまいました。
    ラジオで聴いて気になっていた「『竹取の翁』の年齢考察」&「プロ野球選手と結婚する方法」(二つとも大学の卒論なのがビックリ!)がじっくり読めたのもよかったけど、今回は「仰向けになったカブトムシ 」が一番印象に残りました。ただの面白実験かと思ったら、ダーウィンが100年前にとった手法をあえて用いて検証しているとは!

    それにしても在野の研究者の皆さん、熱い!
    学術を生業にしているわけではないのに興味あることへの探求心の深さ、そしてそこに伴う行動力に感服です。素晴らしい!!

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プロフィール

1976年東京生まれ。芸人。オフィス北野所属。お笑いコンビ「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。ラジオ出演や雑誌連載など多数。

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