もっとヘンな論文

  • KADOKAWA (2017年5月29日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044000981

作品紹介

珍論文ハンターのサンキュータツオが、人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する、知的エンターテインメント本。

【目次】
はじめに
一本目  プロ野球選手と結婚する方法
二本目  「追いかけてくるもの」研究
三本目  徹底調査! 縄文時代の栗サイズ
四本目  かぐや姫のおじいさんは何歳か
番外編1 お色気論文大集合 
五本目  大人が本気でカブトムシ観察
六本目  競艇場のユルさについて
七本目  前世の記憶をもつ子ども
番外編2 偉大な街の研究者
八本目  鍼灸はマンガにどれだけ出てくるか
九本目  花札の図像学的考察
十本目 その1 「坊ちゃん」と瀬戸内航路
十本目 その2 「坊ちゃん」と瀬戸内航路 後日譚
あとがき

もっとヘンな論文の感想・レビュー・書評

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  •  どうしたって直接確認しに行くことができない過去、未来、遠い宇宙について研究している人たちの想像力と探究心には、本当に頭がさがる。だって「考えても無駄じゃん」という周囲の声を聞いていながら、それでも考えずにはいられない好奇心をむき出しにしてくれている。率直にいって、カッコいいという言葉しかないのである。(p.47)

     考えてみれば、いま現在にもりんごやみかんといった果物には大きさの差はある。だが、特別なときに使うものは、出来が良くて大きなものになるだろう。もし何千年後かに、現代の六別のりんごやみかんが発見されたら、「この時代のみかんはこれくらいの大きさ」と、たまたま見つかった大きいみかんを、現代を代表するみかんだと思われても困るだろう。いやいや、小さくても甘いやつとか、いろいろあるんだよ、と。こう言う想像力が働くところも、学者のすごいところだ。(p.58)

     想像してほしい。スマホもネットも存在せず、人口もいまほど多くなく、車や電車もなく、移送は馬、遠出をするなんてかなりの労力であった時代。そんな時代の関心事は、恋愛、家族の成長、そして季節の美しさ。そんなところだ。冷房も暖房もない。テレビもラジオもない。音楽も生演奏しかないし、料理もすべて手作りだ。(p.63)

     和歌や日記、そういったものから、当時の人たちがなにを考え、どういう気持ちを込めたのか、それを大の大人たちが、かなり真面目にこうじゃないか、ああじゃないかと考えているのだ。そんなに昔の人のことじゃなくて、いま隣にいる私のことを考えて、と研究者の奥さんたちがいっているかもしれないが、1000年前の人が考えていたことを受け取るのは、1000光年先の宇宙人が考えていることをキャッチすることくらい、ロマンのあることだ。(p.72)

     郷土史家ってどの市区町村にもいるものだ。自分の生まれた場所やルーツを徹底的に調べていく人間。そういう人の面倒くささたるやないのだが、しかしそういう人がいないとその土地のことは50年前のことすらまったくわからなくなってしまうのだ。(中略)この本を読んだ人には、ぜひ人生をかけた研究テーマをひとつはもってほしいということだ。「えー、無理無理」と思うかもしれないが、だれでもできるのである。世の中にやっている人がたくさんいることでもいいし、それで一番にならなくてもいい。
    「こんなところに片手袋が出てましたよ」という情報提供者になってくれたらいいのだ。それも研究に携わっていることにはちがいないのだ。(p.166)

  • 楽しい本だ.論文には査読という過程があることは,あまり知られていないが,それにより内容的にも,価値が出てくる.小生も英文で10本位の論文を発表しているが,それぞれの論文で査読者はどんなコメントをしたのか気になる.一番面白かったのは,今消えつつある昔の町のほっとするような雰囲気が,競艇場に現在残っているのではないかという考察がある「競艇場のユルさについて」だ.このような考察を引き出す努力は大いに評価されるべきだ.漱石の船旅を詳細に調べた山田先生の弁,"東アジアで国立の船の博物館がないのは,北朝鮮と日本だけだ" には考えさせられる.

  • 前作よりややインパクトに欠けるかな。
    でも中学生の論文は良かった。メロスの全力が時速2.7キロとは。かなりのインパクトだった。競艇場と前世の記憶もなかなか。

  • memo
    分析するときに、このような「証拠探し」をするのは、泥臭く、時間もかかるので敬遠されがちで、素人だとネットで検索した範囲でなにかをいってしまいがちだが、このように商業誌で描かれているもの、というのはひとつの証拠としての力が断然ちがう。編集者の目を通って、社会的な商売になると判断されたメディアのなかに登場しているものと、需要があろうがなかろうが、だれでも投稿できて、また削除もできてしまうネットなどでは、社会的な承認の制度がまるでちがうのである。だから、検索するよりも労力はかかるが、得られた結果は決して無にはならない。(p180)

  • 単純に楽しめた。こういう論文もあるのか。

  • 面白い。研究意欲がめちゃくちゃわく。
    経済学系の論文も読みたい。

  • 素朴な「なぜ?」「どうして?」から研究が始まっているんだということがよくわかる一冊。卒論に悩んでる学生さんがいたら、読んでみたら刺激になって良いんじゃなかろうか。
    著者の文章力のおかげもあり、元の論文の面白さがより面白く伝わってくる。紹介されている論文も読んでみたくなった。

    十本目その2「『坊ちゃん』と瀬戸内航路 後日譚」で書かれているように、①調べる(調査)、②形にする(論文化)、③発信する、の③までが研究者の仕事だというのは、激しく同意。仕事は違うけど、自分たちのやっていることを社会にどう発信すればいいのか考えさせられた。

  • 続編、ということらしいが前編は読んでいない。
    大学生の論文も含まれているとは思わなかったが、全般的には、そこそこ面白かった...。
    何でも拘って徹底的に調べ・考え・数値化したり一覧化するなりして”見える化”し、考察を加えられると、題材が”バカバカしいな...”と思っていたものでも妙に感心させられる。
    最後に紹介されていた論文は、ヘンと言うよりは”素直に凄い”モノだったような気がする。
    ただ、在野の(大学とか研究所などに属さない)研究者がここまでやりました!・やってます!ってのは、やっぱり凄いというか、人様々だなあと思う次第。

  • 2017/08/26読了


    論文は、自分が学問の上で主張したいことを、ほかのだれかの邪魔が入ることなく、自由に提唱することができる
    いわば自分の王国である。
    学生時代に読んでいたならなあ。
    いやいや書くのはとってももったいないもの。


    それにしても面白かったり、なるほど!それがあったか!と思うものもあったり。
    目からうろこ
    着目するところで、大いに化けるものもありで
    学問の面白さは限りないのだと知らされる。
    決められたことではなく、もっと自由に考え、調べてもいいのだ!
    論文における「楽しさ」を教えてくれる
    面白い本でした。

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