春琴抄 (角川文庫)

著者 : 谷崎潤一郎
  • KADOKAWA/角川学芸出版 (2016年6月18日発売)
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  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044001292

作品紹介

マゾヒズムを究極まで美麗に描いた谷崎の代表作!

九つの時に失明し、やがて琴曲の名手となった春琴。美しく、音楽に秀で、しかし高慢で我が儘な春琴に、世話係として丁稚奉公の佐助があてがわれた。どんなに折檻を受けても不気味なほど献身的に尽くす佐助は、やがて春琴と切っても切れない深い関係になっていく。そんなある日、春琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。やけどを負った女を前にして佐助は――。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。解説/山崎ナオコーラ。

春琴抄 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  思った以上に時間をかけて読んだ。春琴の人生が主軸だけれど、春琴の人生の中では手曳きの役割を与えられた佐助と2人で過ごす時間が圧倒的に多いし、佐助以外は地になっているような印象。そして、佐助もまた春琴に従順で、痛みや悲しみもよろこびに変えてしまう。マゾっていうよりは依存?麻痺?マゾとは違うんだよなあ……。
     主従関係だから、結婚という形には収まらなかった事が途中から納得できた。春琴に尽くすことが全てである佐助にとっても、佐助はあくまで手曳きであり従者にすぎないとしている春琴にとっても、上下でしか成り立たないんだな。それでも、佐助が事件の後に盲目になったところで春琴が涙をしたのは嘘ではないだろうし、そこに上下は(瞬間的には)なかったかもしれない。
     
     読み始めは「痴人の愛」に類する、男が女に尽くして罵られるのが嬉しい感じの話かなーと思っていたけど、「痴人の愛」とはまた違う男女の関係で流石谷崎。

  • 表現が、言葉遣いが美しい。

  • 佐助は一途で健気ではあるが、どこか女々しい。春琴は本当にいや〜な奴。しかし谷崎潤一郎の小説って、何故こんなにも嫌味な女と女々しい男が出てくるんだろう。
    そして好感度の低い登場人物の織りなす世界が、何故こんなに面白いのだろう。

  • 谷崎の物語には必ず愛がある。
    春琴抄を読んで思ったのは、こんな風に愛されたいってこと。

    恋は盲目。まさに。

  • 読了。

  • 谷崎潤一郎初読み。以前読んだ綿矢りさの『ひらいて』で『春琴抄』の内容に触れている部分があって、興味を持って購入。谷崎といえばマゾっぽい、みたいなことを聞いたことがあったが、ちょっと納得(笑)けれど佐助の異常とも言える献身、自らの目を刺す行為、すべて目を背けたくなるようなことなのに、どうしてか美しさを孕んでいるのが不思議で、きっとそれが谷崎の凄さなのかなぁと思ってみたり。

  • 涙なしには読めない究極の愛。

  • 2016カドフェスの装丁に惹かれて購入。
    前から読んでみたかったから、いいタイミングだった。

    佐助の春琴に対する愛情(と軽々しく言えないくらいのもの。信仰に近いか。)が、何とも神々しい。佐助が盲目になってから、悲しいことは何一つなくむしろ世界が美しくなったといったような思い、想像して涙が出た。内の眼で見えるのが、記憶の中で最も美しい姿だから、この上なく幸せだと。

    私は、もし、自分が盲目になったら、そんなふうに世界を愛せるだろうか。家族を、感触で確かめ、内の眼で姿形を映し出し、盲目の世界を美しい映像で満たし、幸せに生を重ねていけるだろうか。
    そう思ったら、家族の愛おしい記憶が次々と浮かんできて、盲目になったらこうやって家族と生きていこうなんて想像してみたら、自分が家族を愛していることはもちろん、自分も愛されていることを今更ながらしっかり気付いてしまい、なんだか泣いてしまった。

  • 春琴の令嬢たる矜持の高さもあっただろうが、自身は見ることの出来ない世界を見ている佐助への嫉妬心もあってキツくあたっていたのかな。勿論、令嬢としてとも師匠としても矜持は持っていただろうけど身ごもった時点で矜持よりも嫉妬心が強かったように思う。
    そう考えると佐助の失明後の相愛の男女という描写にもいきなりと言った。佐助ならばという甘えと嫉妬心はあったはず。
    ならば盲人の弟子に厳しかったのはなぜだろう。懐事情もあり余所へ師事しろと追い出したが、厳しさはひとえに、これくらいのことできなきゃ食べていけないと言うことを暗に物語っていた? 解釈が難しいが、単にサディズムによるものではないと信じたい。

    それにしてもなぜだろう。小説を読んでいるというよりも、伝記を読んでいるような気分になる。鵙屋琴は実在した人物だったのだとしても驚かない。

    というよりも、究極のマゾヒズムを通り越して狂気を感じる。怖い。

  • 美しく高慢で我儘な琴曲の名手である春琴と、彼女に生涯仕えた手曳きで弟子の佐助。
    二人の、二人だけの物語。

    読む前の作品のイメージは、とても美しく儚い盲目の琴の名手と、彼女に献身的に仕えた弟子の綺麗な物語。
    大筋はあっているけれど、そんなものじゃなかった。
    もっと凄烈で倒錯していて、春琴の折檻まがいの暴言、暴力と佐助の異常なまでの献身が怖くなる程。
    しかし春琴に起こった悲劇と佐助の失明の後に明かされる春琴の想い。そして佐助の覚悟。
    あまりの愛情の深さに唸り声が出てしまった。
    最後は仲睦まじくて良かった。

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