春琴抄 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
3.92
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本棚登録 : 217
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044001292

作品紹介・あらすじ

マゾヒズムを究極まで美麗に描いた谷崎の代表作!

九つの時に失明し、やがて琴曲の名手となった春琴。美しく、音楽に秀で、しかし高慢で我が儘な春琴に、世話係として丁稚奉公の佐助があてがわれた。どんなに折檻を受けても不気味なほど献身的に尽くす佐助は、やがて春琴と切っても切れない深い関係になっていく。そんなある日、春琴が顔に熱湯を浴びせられるという事件が起こる。やけどを負った女を前にして佐助は――。異常なまでの献身によって表現される、愛の倒錯の物語。解説/山崎ナオコーラ。

感想・レビュー・書評

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  • 知人にすすめられて。ずっと読みたいと思っていたものの、長らく積読になっていたので消化できて良い機会だった。
    句読点のすくない文章は読みにくいなんてことは全く無く、無駄が削ぎ落とされていて張り詰めた高揚感をもたらしてくれた。

    盲目の鵙屋琴(春琴)と、彼女に献身的に仕える温井佐助。
    二人の主従関係は周囲の人間の理解からは遥か手の届かないところにあって、でもその倒錯した愛はたまらないほど耽美でため息がもれる。ただ二人だけのための二人きりですべてが満たされ完結する世界。
    わりに私も己の観念のみで人を愛せるタイプなので、春琴の身に起きた悲劇を追うように全盲となってからの佐助の胸中は痛切に感じた。
    こんなふうに愛されてみたい。でもきっと重いんだろうけど。

  • 深く美しい主従関係を描いた小説という印象を受けた。語りが当事者ではないため、春琴伝を頼りに2人の関係性を明らかにしていくようであるが、この書物自体が信憑性が高いとは言い難いため真実と断言することはできない。しかし、この書物を作った佐助にとっては紛れもない真実であったのだろう。春琴への崇拝は最後まで彼らを主従たらしめたが、実態は夫婦のような関係性であったこと。しかし契りを結ばなかったことが個人的に好ましく思う。佐助はどんな苦行であれども耐えうることができたが、春琴が春琴でなくなることだけは耐えられなかったのである。身勝手な従者の思いが人間らしくて良い。

  • 知人の筑前琵琶奏者の
    演目の一つが、この
    「春琴抄」
    コンサートに向けての
    「ポスター」と「文字」制作のために
    今一度 読み直す

    今でも
    読み継がれている
    その理由(わけ)
    があるのだろうけれど…

    こういう形の
    「愛」は
    さぁて
    どう位置付けられて
    いくのでしょうね

  • 師弟相擁して泣いたという文が刺さった。

  • 谷崎と女の趣味が合わねえんだよな~~~!!!!!という感想に尽きる。名作読んでその程度の感想しか持てない自分にちょっと絶望するけどそれにしても谷崎と女の趣味が合わない。
    子供を何人産もうがその子供を手放すことになろうがぜーんぜんぶれなかった春琴が、佐助が失明したときだけはさすがに動揺していたので春琴の中でも佐助はさすがに特別な存在なんだな……と実感できてよかった。

    女の趣味が合わなくても日本語の美しさはさすがなのですごい。
    春琴のことは佐助にしか理解できないし佐助のことは春琴にしか救えないので、なんというか非常に美しい割れ鍋に綴じ蓋だったんだなあと……
    時代背景を考えると、名家の娘である春琴がいくら父親モロバレだからとはいえ未婚のまま子供4人も産んで、いくらハンディキャップがあるからとはいえ未婚を貫き通して(事実婚とも取れるけど)、更に芸事で一端の評価を得てたのはマジですげえ女というやつだったんだろうなー。叶うことなら発表された時代の価値観を持って読んでみたかった。

  • 耽美的な春琴の美しさが素晴らしい。
    結局、佐助は春琴のために盲となり、佐助の中で春琴は永遠に美しいままとなる。
    佐助の中で、すべてが完結する。
    誰にも邪魔されぬことはない、誰にも壊されることのない、もっとも幸せな在り方ではないかと思わされる。

    続けざまに三味線を操るのを辞めぬような語り口、圧倒的な文章力によって、こちらの考えをやさしく侵蝕してくる……

  • 読者諸賢は首肯せらるるや否や

    って最後にあるけれど

    …首肯しないっすねー笑


    佐助さんホラーだよ純愛って一歩先は執念だなあ
    見えないからこそ幸せになっていくってどんなだよ…

  • 2020/08/29

    文体は当時のままで読みにくかったけど、短かったから読めた!二人の世界だなぁ、しかし佐助も虐げられるの満更ではない感じが谷崎潤一郎。目潰しシーン怖

  • 美しく、激しい気性を持った盲目の女と、彼女にひたすら尽くす男。
    二人の間には恋とか愛とか、そう言うものじゃなくて、また別のものがある様な気がした。
    私には、それは何かは分かりかねるけれど。

    春琴が顔に熱湯をかけられ、佐助に「顔を見ないでくれ」と言って、医者以外には見せず。
    いざ包帯が取れる、と言う時に佐助がとった行動。

    佐助はそれまで春琴と一緒に歩んできたことによって、彼女の内面を"読んで"、或いは"察して"生きてきた。
    だから、彼は彼女のことを読んで、それを実行したまでで…無償の愛?佐助は、春琴に何かを望んで尽くしてきた訳ではないんだよね?それならアガペーってこと?

    谷崎潤一郎って本当に脚が好きだな。
    歯が痛いのを、美しい少女の脚で冷やす……そして蹴られる。この辺はマゾっぽい描写だよな。

    期間を空けて、再読するか。

  • 高慢な春琴と、その丁稚奉公の佐助の物語。
    佐助は春琴に身を尽くすが、春琴の方は冷たい態度を取るばかり。それでも2人は深い関係を築き上げていく。
    しばらくして、春琴の顔に熱湯がかけられ、彼女は火傷を負ってしまう。それでも佐助は春琴に尽くし続け、あろうことか自ら盲目の世界に足を踏み入れる。

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2021年 『谷崎マンガ 変態アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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