自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 651
レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044001506

作品紹介・あらすじ

「僕が跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです」(本文より)
人との会話が困難で気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、著者が13歳の時に記した本書。障害を個性に変えて生きる純粋でひたむきな言葉
は、当事者や家族だけでなく、海をも越えて人々に希望と感動をもたらした。世界的ベストセラーとなり、NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」でも放映された話題作、待望の文庫化!
デイヴィッド・ミッチェル(英語版翻訳者)による寄稿を収録。

感想・レビュー・書評

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  • いつだったか、どこかの誰かが「人の心の中には地球の外と同じように宇宙が広がっている」と書いてあったのを思い出した。
    一見、近よりがたい、声をかけることを躊躇してしまいそうな、もし話しかけても通じなかったらどうしよう、となりそうな自閉症スぺクトラムの方にも広大な宇宙が広がっているんだ、と教えられた。
    想像しがたいくらい苦しく、辛いのに、泣けてくるほど優しい。

    一問一答形式で読みやすく、パラっとめくって1ページ読むだけで新たな視点が開ける。
    「こんなときこう感じてたんだ」
    「意味不明に見える行動にこんな意味が」
    もちろん、解説でデヴィッド・ミッチェルさんが書いているように、「彼は導師ではない」ひとりの人間だから、すべての自閉症スぺクトラムの方にあてはまるわけじゃないと思うけど。

    タイトルの『自閉症の僕が跳びはねる理由』も書いてあるのだけど、私は自分が子どもの頃に感じた思いに近いものを感じ、懐かしくて懐かしくて...。
    他の感覚も「全く分からないではない」気分にさせられるのは、東田さんの文章力と「他の人の感覚で分かるように書いている」というバランス力の賜物だろうか。

    皆さんに読んでもらいたいけど、『誰か』を『お世話しなくちゃならない』という立場の方にもおすすめ。

    この本はブクログのレビューで知りました。
    書いてくださった方、ありがとうございました。

  • 心に直接「言いたいことは伝わりました」と届けたくなる、勉強になる言葉が沢山綴られていました。心の奥の方が静かに揺さぶられて、今もなお余韻が残っています。

    テレビで見たことのある人にしても、数少ない出会ったことのある人にしても、自閉症者の心のうちというのはどうにも理解しがたくて、感情も読み取れなくて、正直あまり考えたことがありませんでした。その状態を彼らは普通だと捉えているのか、楽しんでいるのか、苦しんでいるのか、も分かりようがなく。もっとも、そんなことが汲み取れるほど寄り添った経験がないのですが。だから、今、自閉症者本人が症状を苦しく感じることがあるのだと知ることが出来ただけでも見える世界が少し変わった気分です。

    それから、障害を持たない人の理性や様々な概念の形成が極めて社会的なもので本能によるものではないのだろうということを改めて思い知らされました。「太古の昔からタイムスリップしてきたような人間」という表現はあまりに秀逸です。自閉症のように名前が付かなくても、気が利かないと言われがちな人や集中力が足りない人など、どうも社会適応能力が無いというレッテルを貼られる人は世の中に結構居るものだと思います。そういう風に言われる人の中には自分の状況を言語化して説明することが叶わなくて理解を得られないままになっている人もいるのではないでしょうか。悪意や怠慢が原因で社会に適応出来ない人の考えは別として、本能に近いレベルの「こんな風に生きたい(あるいは、しか生きられない)」には一定の理解が必要だと考えます。それに、自分は理解「してあげる」側だと思い込んでいても、自分にも理解「してもらいたい」部分があるかもしれないわけで、何事においても、自分が寄り添う姿勢を見せることは回りまわって自分にとっても良い影響を及ぼすかもしれないわけで。

    より良い共生を考えるための良い教材です。これからも沢山の人の目に触れますように。

  • 本書は、なるべく多くの人に読んで頂きたい本です。

    近年、企業等においては障害者雇用の取り組みが進んできており、わが社でもそのような施策が検討されています。先日、わが社の社長とそのことで話す機会がありましたが、こんな意見でした。

    「障害者雇用には取り組まねばならないと思うけど、身体、精神はともかく、知的の採用は難しいと思うね。時々、突然奇声を発して、女子社員とかを驚かすんだよね。」

    これを聴いて、私は「こりゃダメだな」と落胆しました。

    本書の著者、東田さんも、自閉症の症状として、この社長に言わせれば「奇声を発する」一人に分類されるのだと思います。

    我が家にも家族の一員として欠くことのできない大切な存在の自閉症の娘がおりますが、同様に分類されることになるのでしょう。

    しかし立場を変えて考えてみるに、健常の人からすれば、突然関連性のないと思える言葉を大きな声で発するのを見ると奇声に聞こえても無理はないかもしれません。自閉症の子の親である私でさえ、電車の中で大きな声を出す子供のことを恥ずかしく感じ、口を押えたことは何度もあります。

    なぜ大きな声を出すのか、なぜ同じことを繰り返し言うのか、なぜ突然脈絡のないことを話すのか、その理由は健常な者には理解できず、親でさえ理解できなかったのです。

    しかし、本書では、その真の理由を、自閉症である当の本人が語ってくれています。それもすべてが、納得のいく理由で、我が家の娘の行動にすべて思い当たることばかりです。これほど革新的で、意義深く、真実性に富んだ本はないでしょう。しかも、奇跡的な本であるとさえ思えます。

    ここに書かれている症状は、多くの点でというよりも、ほとんどの点で我が家の娘と共通しています。おそらく、多くの自閉症の方や、あるいはなんらかの障害を持つ方との共通点が多いと感じます。私は、この本を読んで、「ああ、そうだったのか。そんな思いでいたんだ。」と、より娘をいとおしく思えるようになりました。

    それどころか、健常な我々がつまらぬことでグチグチ言っているにも関わらず、彼らはもっとつらい環境に正々堂々と一人で立ち向かい、一人で戦い続けているんだと思うと、我々は足元にも及ばないくらい偉大な存在であるとさえ感じられるようになりました。

    著者の東田さんは、健常者と同じかそれ以上に、様々なことに対しチャレンジしたいという心を持っています。しかし、そうは心で思っていても、自分の体がいうことをきかないということも自覚しています。そんな辛い環境にも、決して負けることなく、さらに人生にチャレンジし続けています。

    障害ある人を見かけたら、私は、我々の想像も及ばない、偉大なチャレンジャーであると思いたい。私の意識を根底からさらに変革してくれた東田さんに感謝です。

  • ずっと「読みたいな」と思っていた本だったのに、いつの間にか忘れてしまっていた。偶然書店で出会って速攻で購入。
    自閉症の子どもを持つご両親にとって、そして自閉症の人にとって、これほど尊厳を取り戻させてくれる本なんてないんじゃなかろうか。
    とにかく、当時13歳の少年がこれを書いたということを知り、まあびっくり。
    「自閉症かどうかなんて関係ないな」と心から思えた。

    それにしても人間の心って、体とは別のところにあるんだねえ。
    感覚的には分かっていることが理路整然と書かれていて、本当に素敵な読書体験だった。

    単行本は敷居が高くても、文庫本ならこりゃ手に取りやすい。
    自分以外の誰かのためにも、絶対に絶版になってほしくない本です。

  • 「自閉症の僕が跳びはねる理由」 東田直樹
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    僕は跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです―。人との会話が困難で、気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、著者が13歳の時に記した本書。障害を個性に変えて生きる純粋でひたむきな言葉は、当事者や家族だけでなく、海をも越えて人々に希望と感動をもたらした。世界的ベストセラーとなった話題作、待望の文庫化!
    「BOOK」データベースより
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    本屋で見つけて衝動買い。
    友達がずっと小学校の特別支援教室の講師をしてるので、自閉症についてもある程度の知識はあったけど、いや~、それでも驚き!!

    この作者は重度の自閉症で人と会話でコミュニケーションとることができません。
    ですが、親御さんや精神科の先生が根気強く教えてくれて、文字によるコミュニケーションができるようになりました。
    この本はその彼が13歳の時に書いたもので、自閉症の人たちに対するさまざまな疑問に、彼自ら答えています。
    時々ちょっとしたコラムみたいなのとか短編小説みたいなものも入ってるんですが、すごいクオリティよ!!大人の健常者でも書けないと思う!

    自閉症の人が自分たちの行動や思いについて発信することは本当にまれで、加えて13歳という発展途上な年齢でこういう手記が書けるってことは、世界的にみてもホントにないことらしく、この本は世界中の言語に翻訳されて大ヒットしてるんだそうです。
    翻訳言語も30言語を越えてて、村上春樹に次ぐ勢いなんだそうだ。 

    これはみんな読んだ方がいい!
    自閉症の子が近くにいる人はもちろん、そういう人が近くにいなくても読んでほしい。育児中の人にももちろん読んでほしい!!
    いわゆる健常者の我々からみると、
    自閉症の人たちが何を考えているか、 
    何にも考えていないのか、
    それすら見えないし、わからないことばかりだと思います。
    もし自分の子供が自閉症だったら、やっぱりどんなにポジティブでいようと思っても深く悩むし、どうしたらいいのかわからず落ち込む部分はあると思うんです。
    でも、この本は、心のなかが全く見えない彼らのなかにも深い世界がちゃんとあって、こんなにも私らと一緒だったのか!と教えてくれます。 

    英訳した方があとがきに書いてましたが、自閉症児の親にとってこの本はホントにホントに希望だな、と思いました。(英訳した方も息子が自閉症児)
    自閉症の人にもいろんな人がいるので、彼の手記に書かれている彼の気持ちがすべての自閉症の人に当てはまるわけではないけど、それでも、周囲の人たちがどうサポートしていけばいいのかを教えてくれるすごく貴重なものだと思います。

    私自身、自閉症など精神的な部分でハンディを持つ人に偏見はないけど、でも、一緒に生活する機会が多くはないので、正直なところ、実際にどうやって接するのがいいのかわからず戸惑ってしまうことは多いです。
    これを読んだからといって、じゃあ明日からナチュラルに彼らと接することができるかというと慣れてないし、なかなかできないと思います。
    でも、リアルに接するかどうかに関わらず、これは読む価値はあると思います。 
    これを読んで、いかに自分の見えてない世界が多いか、いかに自分が自分の物差しで人のことをみてしまっているかを思い知った感じ。

    自閉症に限らず、大人の当たり前が通用しない子供たちを相手にしてても、あるがままをまずは受け止めるってことがすごく大事になるんですね。
    自分の中の常識とか、物差しとか、全部とっぱらって、コミュニケーションするのは私らにとってはすごく難しい。どうしても型にはめて考えたくなるし、型から外れた行動をとられると困ってしまう。
    でも、難しいけど、あるがままを受け止めるスタンスはとっても大事なんだな~。

    本だけ読むと、全然自閉症っぽくないので、本だけ読んだ人のなかには「こいつ、実は自閉症じゃないんじゃないか」と思う人もいるみたいです。
    そんな疑いを持ちそうな方は最初に映像を見てみるとよいかもしれません。
    どうやらNHKとかで特集されたこともあって、メディアにもでてるそうです。YouTubeにもあるみたい。
    いや、ほんと、人間の奥深さとか、健常者の傲慢さとか、考えさせられます。
    すぐに読めるしおすすめです。

    ワタクシ的名文
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    ひとりで文字盤を指せるようになるまで、何度も挫折を繰り返しました。それでも続けてこられたのは、人として生きていくためには、自分の意思を人に伝えることが何より大切だと思ったからです。
    筆談とは書いて伝えることではなく、自分の本当の言葉を分かってもらうための手段なのです。
    「筆談とは何ですか」より抜粋
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    僕が言いたいのは、難しい言葉をつかって話して欲しい、と言ってるわけではありません。年齢相応の態度で接してほしいのです。
    赤ちゃん扱いされるたびに、みじめな気持ちになり、僕たちには永遠に未来は訪れないような気がします。
    本当の優しさというのは、相手の自尊心を傷つけないことだと思うのです。
    「小さい子に言うような言葉使いの方がわかりやすいですか?」より抜粋
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    自分の気持ちを相手に伝えられるということは、自分が人としてこの世界に存在していると自覚できることなのです。話せないということはどういうことなのかということを、自分に置き換えて考えてほしいのです。
    「どうして上手く会話できないのですか?」より抜粋
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    どうだっ!

  • これじゃいかんと思っても、色眼鏡で見ている自分がいます。内面を理解する一歩として読みました。

    良いか悪いかは別として、障害を持った人を「個性」とフラットに言える友達に出会って、こいつすげぇ奴だな。と思いました。

  • 自閉症の近親者を持つ人へ向けた教科書。私も役立てています。

  • この本は、奇跡の本だと思う。

    目の前で起きていることを直視しただけでは、まったく読み取れないと思う。
    ご両親、そして当人の信じる心なのか、なんとかしたいという思いなのか、
    どうしたらこのような本へ書き起こすことができるようになったのだろうか。

    自閉症の人とコミュニケーションをはかりたいと思うすべての人にとって、
    この本は計り知れない道しるべになるのではないだろうか。

    (以下抜粋)
    ○よくは分かりませんが、みんなの記憶は、たぶん線のように続いています。
     けれども、僕の記憶は点の集まりで、僕はいつもその点を拾い集めながら、
     記憶をたどっているのです。(P.18-19)
    ○本当の優しさというのは、相手の自尊心を傷つけないことだと思うのです。(P.23)
    ○そんな僕たちですが、頑張りたい気持ちはみんなと同じなのです。
     だめだとあきらめられると、とても悲しいです。(P.57)
    ○僕たちのように、いつもいつも人に迷惑をかけてばかりで誰の役にも立てない人間が、
     どんなに辛くて悲しいのか、みんなは想像できないと思います。(P.58)
    ○ひと言でいうなら、障害のある無しにかかわらず人は努力をしなければいけないし、
     努力の結果幸せになれることが分かったからです。
     僕たちは自閉症でいることが普通なので、
     普通がどんなものかは本当は分かっていません。
     自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらもでいいのです。(P.60-61)

  • バイトで障害がある子と接することが多いので購入。
    一問一答形式なのと簡単な言葉で説明してあって読みやすい。
    自閉症の子って他の子より劣ってるとか変わってるんじゃなくて、すごく素敵な感性を持っててそれを伝えるのが難しいんじゃないかな。

  • 研究者が報告している精神病理を知っているはずはないと思うが、あまりにそのとおりの体験世界なのでびっくりしてしまう。

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プロフィール

1992年8月千葉生まれ。作家。重度の自閉症。パソコンおよび文字盤ポインティングにより援助なしでのコミュニケーションが可能。理解されにくかった自閉症者の内面を綴った作品『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール)が話題になり、2013年には英語版がデイヴィッド・ミッチェルの翻訳で刊行。その後20か国以上で翻訳され世界的なベストセラーに。エッセイに『跳びはねる思考』『自閉症の僕の七転び八起き』、詩集『ありがとうは僕の耳にこだまする』等。全国各地で講演会を開催している。

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