日本の地霊(ゲニウス・ロキ) (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044001902

作品紹介・あらすじ

■「闘う建築史家の名著!」 ―― 隈 研吾 「解説」より

「人間の歴史は、土地の上に刻まれた営みの蓄積なのだ。」
近現代史を場所という視点から探るためのキーワード「地霊(ゲニウス・ロキ)」。
土地、建築、街並みが語る声に耳を傾けるとき、
失われた記憶や物語が浮かび上がる。
国会議事堂にひそむ鎮魂のデザイン、
広島平和記念公園と厳島神社の意外な共通点、
渋沢栄一や岩崎彌太郎がゆかりの地に寄せた想い――。
優れた建築を守り伝える時代への転換をうながした建築史家の代表作。

 解説 隈研吾(建築家、東京大学教授)


■目次

 はじめに ――「地霊(ゲニウス・ロキ)」とは

第一部 場所の拠り所

 1 議事堂の祖霊はねむる ――伊藤博文の神戸
 2 聖地創造 ――丹下健三の広島
 3 本四架橋のたもとには ――耕三寺耕三の生口島
 4 故郷との距離 ――渋沢栄一の王子
 5 場所をうつす ――渋沢栄一の深谷

第二部 日本の〈地霊〉を見に行く

 1 三菱・岩崎家の土地 ――岩崎彌太郎の湯島切通し
 2 三菱・岩崎家の土地 ――岩崎小彌太の鳥居坂
 3 地方の鹿鳴館
 4 川の運命 ――谷崎潤一郎の神戸
 5 新興住宅地のミッシング・リンク ――根津嘉一郎の常盤台

 おわりに ――なぜ「場所」なのか

[コラム]

 消えた丸の内
 田中光顕の場所
 炭鉱と鉱山・亡者の墓
 日本一寒い町に来た男

 解説 隈研吾

感想・レビュー・書評

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  • 西洋で建築を語るときは普遍的な「空間」を基本にすることと対比させて、鈴木は固有性をもつ「場所」を意識して日本の都市や建築を考えたいと主張する。その「場所の感覚」を「地霊」と置き換え、個別の様々な事例を本文で紹介している。
    この核となる思想はあとがきに書かれているので、最初から文章を読んでいると、日本各地にある名所と言われる場所が誰によって建てられ、どんな時代を経てきたのかという物語をまずは知ることになる。特に感じたのは場所自体のことより、その場所を選んだ人物が当然いるわけで、その人の強い意志で場所が出来上がっていくという感覚だ。人なくして語られるべき場所は見出せない。
    自分が知らないだけで、日本各地に同じように熱意を持って場所を選び建築物を建てた人物がたくさんいるのだと思う。少しでもそんな想いを知ってみたい。地名の由来や、昔はどんな場所だったのかを教えてくれる街中の看板はこれからも立ち止まって読んでいこう。
    あとがきにあった、日本建築における屋根の考え方になるほど、と唸った。

  • ある土地が持つ気配や記憶の総称である「ゲニウス・ロキ」。続編の本書では、建築物の意味の読み解きに力がそそがれている。

    とくに興味深かったのは、丹下健三が設計した広島の平和記念公園。原爆ドームを頂点として軸線上に並ぶ一連の建築は、一見インターナショナルなようでいて日本の伝統建築の技法に根差していること。そして実は同じ広島の厳島神社を模した構造になっている(島自体が聖なる存在であり、そこに向かって鳥居ごしに祈りをささげる)ということ。

    「・・・丹下健三が日本建築の伝統のなかから汲み取ったものは、さまざまな次元における空間構成の手法、さまざまな部分に現われる造形モチーフだけでなく、その根底に存在している場所性の表現という性格なのである。それは、建築物が構想されるまさに出発点において、その建物が建てられなければならなかった根本原理が、場所の性格と可能性、すなわち地霊(ゲニウス・ロキ)の発見にあるということを、彼が知っていたことを示している」(P.46)

    設計コンセプト、とかいう次元ではない。「建てられなければならなかった根本原理」である。そこまで立ち戻らねばならないほどの力を土地はもっている、ということだろうか・・・。

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著者プロフィール

元東京大学名誉教授/元青山学院大学教授

「2017年 『建築 未来への遺産』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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