- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044003036
作品紹介・あらすじ
志半ばで逝った竹中半兵衛から、軍師の座を引き継いだ黒田官兵衛。権謀渦巻く乱世にあって、秀吉亡きあと、官兵衛ははじめておのが野望のための戦いに挑む――男たちの戦国絵巻を圧倒的スケールで描く傑作長編!
感想・レビュー・書評
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竹中半兵衛、黒田官兵衛の生き様は共に信長・秀吉の軍師として「利」と「義」を配慮しながら戦い続けた。軍師は戦勝すると影となり、官兵衛も敗戦、苦戦の場合のみ頼られ、勝っても言葉だけの報奨を受けた。隠居した後の「己の道」(我力を信じ鎮西平定)が夢半ばで終焉したのも悲しいが、牢獄から生き抜くことへの希望、夢を最後まで諦めなかったことは男として、軍師として素晴らしい人生だったと思う。気になる言葉は:「力が強いものはそれのみに頼り、己を誇って、家臣や領民の心を見失う。高慢になって人を蔑ろにすれば、家臣、万民の心は離れ、必ず家を失い、国が滅ぶ元となる。誠の威というものは、人を叱ったり、脅したりすることなしに、自ずと内から滲み出るものでなければならぬ」(自己を知る)
「それがしに与えられた宿世、天を恨まず、運命から逃げず腹を括り堂々と己が道を行く」
「賭博のできぬ男に勝利なし」(勝負)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下巻。
黒田官兵衛の凄味と凄すぎるが故の苦悩、関ヶ原での野望。
こちらもラストまで面白いです。
もし関ヶ原が長引いていたらどうなったのか~勝手に想像してしまいますね。
個人的には凄い人なのに哀愁を感じる武将第1位です。
2021/5 -
■下巻は黒田官兵衛の活躍が活写…と思っていたが、官兵衛は秀吉にその才能を恐れられた。軍事的作戦でも大阪城築城、名護屋城築城などの築城術で重用されたが、報いは少なかった。
■下巻2011年12月初版で令和4年4月第15版。11年間で15回の重版は、やはりベストセラーと言っていいのではないか。
■装丁は曽我蕭白の獅子虎図屏風の左隻、虎図。虎だがあまり怖そうな感じがしない。
■官兵衛の有能さがあまり感じられなかった。小早川隆景とのエピソードや如水として出家するきっかけとなったエピソードなど、盛り込んでもよかったのではないか。 -
いや、面白かったのであっという間でしたよ。上下巻で3時間。最近の歴史小説のライトノベル化についてとやかくいう気も無いし、司馬遼太郎や藤沢周平と比べるのは酷だし、これはこれで力作です。しつこいけど『のぼうの城』みたいなラノベそのものの小説と比べれば、よっぽど上等だし中高生の頃に読んでたら好きな小説になっていたと思う。
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歴史物の小説というと、大抵はトップである大名の視点から描かれることが多いが、この作品では全編を通して将軍を智恵の面で補佐する「軍師」の立場で書かれており、主君のために粉骨砕身するも、頭がキレすぎるがゆえに野心を警戒され煙たがられてしまうなど、軍師の微妙な立場を描いているのが興味深い。
荒木村重を信じるも裏切られ最大の危機に瀕したり、信長も秀吉ら主君が天下が目前に迫り出すとそれぞれ人が変わったように猜疑心が強くなり、野心にかられて冷静でいられなくなることに振り回されながらも折り合いをつけ成長していく官兵衛は、私が思っていた以上に正統派主人公だった。
史実に忠実に書かれているので、日本史に詳しくなくても読みやすく、歴史小説初心者にもおすすめできる一冊だと思う。 -
最後の一戦を傲慢とみるか晩節を穢したと読むか。秀吉の心変わりを受け入れてしまうあたり、大器かと思っただけに残念に思うのはこちらの色目なのかな。
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下巻はいよいよ官兵衛がその裁量をいかんなく発揮する。
特に中国大返しの部分はあまりに緊張感があり、次々と官兵衛の手中に収まっていくような爽快感があり一気に読み進めてしまった。
官兵衛のいう人物のダイジェスト的なものなので、ひとつひとつのエピソードはそれほど長くはない。 -
秀吉に仕えた竹中半兵衛の物語
上下を続けて読むと熱意が無くなって来た -
物語は竹中半兵衛の稲葉山城乗っとりから始まり、軍師の役目を黒田勘兵衛が継いでいき話は進む。表舞台からは少し身を引き軍師と言う立場から歴史を動かす二人の軍師の話。
もちろん、黒田勘兵衛の歴史をとらえられる事と共に、秀吉もまた違った角度から見ることができ、自分のイメージを膨らませることに役立つ。
【印象的箇所】
秀吉の弟、秀長や利休が地方分権を唱えていたが、秀長が没っし、秀吉に世継(鶴松)ができると、秀吉も欲が出て、石田三成ら近江国出身、若手奉行集が唱える中央集権体制に傾いていく
黒田如水、九州攻め(最後に何を思っていたのか?捨てきれない野心か)