ヘンな論文 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003340

作品紹介・あらすじ

珍論文ハンターのサンキュータツオが、人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を、芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する、知的エンターテインメント本!

感想・レビュー・書評

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  • 珍論文コレクターの筆者が、琴線に触れた論文を紹介するエッセイ。
    おもしろかった。

    論文にツッコミをいれ、細部を妄想し、そのおもしろさと研究のすごさを存分に伝えてくれる。
    語り口のうまさが、さすが芸人。

    最初は突飛に感じても、その意義を知り、ただヘンなだけの論文ではないことがわかる。

    「「あくび」はなぜうつる?」を読んでいたら、ほんとうにあくび連発で、わらった。

    ラジオのコーナーが元のようで、放送を知ったご本人から連絡があり、さらに輪が広がるのもよかった。

    第2弾もあるようなので、そちらも読みたい。

  • へんな論文は沢山あれどふざけて書かれたものはないという事が一番おかしみがあるような気がします。

  • 国語辞典サーフィンというラジオ番組が面白かったので図書館で借りてみる。
    お笑い方面に明るくないのでサンキュータツオの存在さえ知らなかったのだがめっぽう面白かった。目次をながめるだけでオモシロの空気感がつたわってくる。こういうことを面白がってどういう風に面白いのか、著者自身が面白がっているのかを言語化してさらに軽妙な文章でつづってくれる、こういうひと好きです。最終の湯たんぽの章では研究者や学問をするということの考察がかかれていて研究者へのリスペクトがあふれでていて感動してしまった。イラストも最高。

  • 13本の「ヘンな論文」が紹介されている。いや、実際にはちっとも変ではない。むしろ、世の中の「論文」に対するイメージが硬すぎるし、狭すぎるのだろう。

    個人的には、あくびの研究が最も興味深かった。まず、昔、あくびの原因は酸素の欠乏だと聞いて信じていたのだが、違うというのに驚き。

    そして、あくびのことを考えるだけであくびが出るという。それなら、眠れない人は羊を数えるよりも、あくびのことを考えた方がいいのではないか? それとも、あくびが出たからといって、眠くなるわけではないのだろうか? などと、可能なら自分でも研究したくなってくる。

  • イグノーベル賞もそうだけど、一見ばかばかしいと思える、何の役に立つのかということを真剣にコツコツと研究し、論文を書いて発表している人の姿勢には頭が下がる。

    特に感銘を受けたのは、「コーヒーカップにインスタントコーヒーの粉末を入れ、お湯を入れてスプーンでかき混ぜると、スプーンとコップのぶつかる音が、徐々に高くなっていく」と教え子に言われた高校の理科教師の話。
    まずそれが事実かどうか、混ぜ始めから時間を追って音の高さを測定し、数値化する。

    何を混ぜると高くなり、何を混ぜると高くならないのか。
    実験を繰り返し、音を変化させるものの正体を突き止める。
    国内で同じ実験をした記録はなかったが、100年前のアメリカで同じ実験の結果同じ結論になった論文があったそうだ。
    でも100年前だったので、音の数値化は今回が初めてとのこと。
    こんな熱い先生に教わったら理科も楽しいよねえ。

    「湯たんぽ」研究は、研究者がすごかった。
    ふらっと立ち寄った古道具屋で湯たんぽを見つけたことから湯たんぽに興味を持つのだけど、デザイン、機能、由来等の深堀度がハンパじゃあない。
    で、唯一無二のすごい、けれど無名の研究は、いろんな人たちからパクられる。
    その不条理も含めて読む価値あり。

    「浮気男の頭の中」を読んで。
    奥さんを愛しているけど、どきどきしない。
    いつもと違う役割と経験を経て、自分が成長できる。(それを奥さんに還元?)
    なるほど。
    だとしたら、同じ理屈で奥さんが浮気をしても、大らかに許せるということなんだな。

    そして、「妻とは別に君のことを愛している」と言われた愛人は、この理屈をどう思うのだろう。
    誰か研究して論文を書いてくれたら、読んでみたい。

  • 奇をてらい無理やり理論を組み立てた悪あがきを笑い飛ばす内容かと思いきや、至極真面目な研究成果の紹介でした。
    真の学者は、自分のプライドよりも、とにかく「真実」に重きを置く。
    今までわからなかったことが知りたいだけなので、地道にデータをとり謙虚に分析している。
    理系人間だからでしょうか、個人的には「コーヒーカップとスプーンの接触音の音程変化」のアプローチのしかたと謎が解けていく過程が面白かった。

  • 愛人とも奥さんとも上手くやってる不倫男の心理を分析した論文が面白かった笑
    「学問」とは、何かに取り憑かれてしまった人のコク深い行き着く先であることを知る一冊。

  • <目次>(原本は「第×本目」の表記)
    第1章 「世間話」の研究
    第2章 公園の斜面に座る「カップルの観察」
    第3章 「浮気男」の頭の中
    第4章 「あくび」はなぜうつる?
    第5章 「コーヒーカップ」の音の科学
    第6章 女子高生と「男子の目」
    第7章 「猫の癒し」効果
    第8章 「なぞかけ」の法則
    第9章 「元近鉄ファン」の生態を探れ
    第10章 現役「床山」アンケート
    第11章 「しりとり」はどこまで続く?
    第12章 「おっぱいの揺れ」とブラのずれ
    第13章 「湯たんぽ」異聞
    ほかコラム6本。

    熱文字や許可局で間違いなく同じ趣味だとわかるサンキュータツオ氏の「国語辞典の遊び方」に続く本。
    論文の面白さもタツオ氏の突っ込みの的確さもそもそもこの企画の素晴らしさも、実に美味しい本だった。

  • ニッチな論文に対して、作者のツッコミや心の声が面白い。一風変わった研究があるおかげで、快適に暮らせているものもあるんだなあ。感謝。ニッチな事象を研究されている、コミケの同人誌が無性に読みたくなった。

  • 面白かった!どの論文も全部。
    そしてそれは、サンキュータツオさんの論文に対する愛、執筆した先生へのリスペクトがなせる技でもある。取り上げられた論文それぞれについて、何がすごいのかを的確に提示し、その論文の特徴に合わせて紹介の仕方やツッコミを変幻自在に変えている。だからこちらも肩肘張らずに、でも真剣に論文に向き合える。
    とても楽しい時間で、あっという間に読んでしまった。当然、「もっとヘンな論文」も読みます!

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。漫才師「米粒写経」として活躍する一方、一橋大学・早稲田大学・成城大学で非常勤講師もつとめる。早稲田大学第一文学部卒業後、早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文化専攻博士後期課程修了。文学修士。日本初の学者芸人。ラジオのレギュラー出演のほか、雑誌連載も多数。主な著書に『これやこの サンキュータツオ随筆集』『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』『ヘンな論文』『もっとヘンな論文』(以上、KADOKAWA)など。

「2021年 『まちカドかがく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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