幸福論 (角川ソフィア文庫)

著者 :
制作 : 堀 秀彦 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 30
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003395

作品紹介・あらすじ

不幸は至る所にあるものであるということを前提にすると、本書はそのような「日常的な不幸」に対する処方箋集ともいえる。 そしてその処方箋に共通するのは、自分の世界にこもるのではなく、外界へ興味をもつこと、外的なものに対して好奇心をもつことであるとラッセルは説く。
第一部 不幸の原因
1 何が人びとを不幸にさせるのか 2 バイロン風な不幸 3 競争 4 退屈と興奮 5 疲労 6 嫉妬 7 罪悪感 8 被害妄想 9 世論に対する恐怖 
第二部 幸福をもたらすもの
10 いまでも幸福は可能であるか? 11 熱意 12 愛情 13 家庭 14 仕事 15 非個人的な興味 16 努力とあきらめ 17 幸福な人間
解説 小川仁志

感想・レビュー・書評

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  • 1930年にバートランド・ラッセルが発表した、「幸福論」。原題「The Conquest of Happiness」(幸福の獲得)
    第1部では不幸の原因の分析と、」それを取り除く解決策、第2部では、幸福になるすべをまとめていると、巻末に掲載された「復刊にあたっての解説」に書いてありました。

    内容は現代にも通じる内容で、これを読んで、自分や現代人の身のまわりに置き換えて考えても、確かになと思う事ばかりでした。
    文章も読みやすい部類かと思います。
    一気に読むことができました。
    たびたび読み返して、自分に置き換えて、考えてみたいと思える一冊です。

  • 内容ではなく日本語訳に対する評価。直訳調すぎて何を言わんとしているのかまったく頭に入ってこない。復刊させるなら安易に当時のものをそのまま出すのではなく、出版社は読みやすくもっと工夫するべき。

  • 一番自分に響いたのは、

    「外的な条件が決定的に不幸なものでない場合、そしてその人の情熱と興味が彼自身の内部に向かってではなく、外側に向かって動いているかぎり、人間は幸福を達成することが必ずできるのである。」

    という一節。このことは何度も繰り返し本文中で説かれていて、自己没入が不幸の源泉の一つとして大きいことと、興味を外に向けて世界的宇宙的に広い意識を持ってバランスを取ること(有意識と無意識の協力、社会との統一融合が備わっていること)が幸福に繋がると結論付けられていると思う。
    このことは、伝統的な哲学と宗教が持つ形而上的な存在を前提に置かない、ポジティブな懐疑主義に基づく論理的分析でもって裏付けられているかと。例えば、理性や知性すらも「バイロン風の不幸」として厭世観に浸ることが不幸に繋がることを多くの具体例を用いながら示している。
    また、中庸の精神の効用を説く一方で、情熱の向け方についても内向性を避けることに留意しながら説いており、上下関係を伴う徳(伝統的な家庭の慣習的価値観を含む)を好ましいものとせず、教育対象としての子供にも敬意を払うべき(もしくは夫が妻を家庭に押し込めるべきでない)という見地は、現代では多くの国で理解されやすいかと思うが、当時としてはラディカルであったと想像する。さらに、中庸の精神を均衡感(Sense of proportion)と表現していることから、単に物事の程度を弁えるということよりも踏み込んで、思考と行動の外向化を実践して神経的なバランス感覚を養うことが、心身を健全にして幸福に近づくのだと具体的に述べられているように思う。
    このことは、とかく神経を病みがちな現代社会、引いては自分にとっても快く生きるための処方箋に幾分か成り得ると思うと同時に、既に1930年の時点で欧米社会が現代の日本に通ずる個人の生きづらさに直面していたであろうことが想像できて興味深い。
    また、例え話を混じえつつ、随所で前提と例外に注意を払いながら考察を述べるスタイルは、数学者でもあるラッセルらしく、観念に寄りすぎない明快さを持ち、好ましく思う。

  • 不幸の原因と幸福になるための要因が第1部と第2部でそれぞれ論理的に分析されています。
    最初のページのウォルト・ホイットマンの詩は動物について語り幸福の本質を端的に表していますが、そう単純にいかないのが複雑な心を持つ私達人間だから、自ら不幸を作り出してしまうのでしょう。
    小川仁志先生による復刊に際しての解説ですべての内容が分かりやすくまとめられています。

  • 「ラッセル 幸福論」
    アランの幸福論がエッセイで気楽に読めたのに対し、ラッセルの幸福論は論理的で気を抜いて読むことができない。まず不幸の原因は何かという分析から始めている。どういう不幸を対象にしているかなど対象範囲を明確にしている。その中で個人では対処のしようがない絶対的な不幸は除外し、幸福の条件はある程度揃っているのに幸福を感じられない現代的な豊かさの中の不幸について検討している。そして、解決策を論じ、幸福になるための具体的な方法を述べている。いかにも数学者でもあるラッセルらしい。
    内容的にはなるほどと思わせることも多いが、少々考えに時代の違いを感じる。やはり、昭和27年に出版された時代背景を考えざるを得ない。
    結局のところ現代(60年前から)の不幸の感覚は本人の気の持ちようであり、ある意味では「サピエンス全史」の結論と同じであるように思える。つまり、自分が幸福であると感じる感覚を持てるかどうかが重要であると言えるのだろう。それは東洋的に言えば足るを知ると言うことであり、2000年以上前に孔子が言っていることではないのか。
    本書は堀秀彦の訳であり、堀秀彦の書いた「高校生のための人生論」を高校の時に読んだことを懐かしく思いだした。

  • 17/10/27

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