辞書から消えたことわざ (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 66
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003463

作品紹介・あらすじ

著者は『岩波ことわざ辞典』等を著した斯界の第一人者。世間で使われなくなったことわざを惜しみ、「名作二〇〇本余」を、言葉の成り立ち、使われた文学作品、時代背景などの薀蓄を記しながら解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 庶民の哲学ともいえることわざにも流行り廃りがあり、現代人の目に触れることの少なくなったことわざを集めた著者の労作。
    現代には当てはまらないものがある一方、後世まで残したい秀作もある。
    人生の教訓とか、人の性(さが)に関するものとか、単語の組み合わせの妙とか、章別に綴られている。
    巻末には索引もあり、そこで気に入ったことわざの頁を繰るのもいい。
    粋な洒落ことばに、面白いものがある。
    「情けの酒より酒屋の酒」
    「一人娘と春の日はくれそうでくれない」
    「うどん蕎麦よりかかの傍」
    「仏ほっとけ神かまうな」

  •  以前読み終えた本書を再読したのですが、いや、非常に良いですね。

     本書は今となっては辞書での露出がなくなった、ないしは少なくなったことわざを選りすぐって1冊にまとめたもの。
     「はじめに」にも書かれていますが、選定にあたっては「文句の響きの良さ」、「ユニークな着想・言い回しが面白い」といった点に意を払っていることもあり、口に出してみて心地よいです。

     口に出して心地よい、というだけでなく、その内容もなかなか深いものがあります。例えば、

    「疾風勁草を知る」
     激しい風にさらされることによって、はじめて強い草であることがわかる。

    「大象兎径に遊ばず」
     大人物を象になぞられ、そうした人物はつまらぬ地位や、ちっぽけなことにとらわれないということ。

    「丸くとも一角あれや人心」
     温厚で円満な性格の人は他人との良好な人間関係を築けるが、それも角となれば相手に迎合することになったり、単なるお人よしとみられ、軽んじられる。円満な中にも気骨があるのが望ましい。

     といった具合に。

     しかもそれぞれの出自もかなりしっかりしています。
     「疾風勁草を知る」は吉田松陰の『戊午幽室文稿』からの引用。
     「大象兎径に遊ばず」は鎌倉時代の高僧・道元の『正法眼蔵』から。
     「丸くとも一角あれや人心」は江戸時代の心学の書『雨やどり』(七)からの引用です。

     著者も出自についてはかなり意を払っており、空海、道元、日蓮、蓮如、といった宗教家。吉田松陰、福沢諭吉、新渡戸稲造といった学者や思想家。そして井原西鶴や式亭三馬、森鴎外や夏目井漱石といった文学の大家といった早々たるメンバーの作品にしぼって引用しています。

     通り一遍の教養から一歩踏み込んだ「味わい深さ」を得たい人に、おススメの1冊ではないでしょうか。

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著者プロフィール

1945年生まれ。早稲田大学文学部卒業。日本ことわざ文化学会副会長。ことわざのほか、いろはカルタ研究の第一人者。
『岩波ことわざ辞典』(岩波書店)、『図説ことわざ事典』(東京書籍)、『ことわざのタマゴ ―当世コトワザ読本―』(朝倉書店)、『辞書から消えたことわざ』(KADOKAWA)など著書多数。『世界ことわざ比較辞典』(岩波書店)では監修を務める。

「2021年 『たぶん一生使わない? 異国のことわざ111』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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