千夜千冊エディション 方法文学 世界名作選II (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2020年10月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784044003531

作品紹介・あらすじ

神話を下敷きにしたジョイス、ハードボイルドなチャンドラー、「方法」を提唱したヴァレリー。彼らは日々の生活を作品に昇華させた。19世紀後半~20世紀前半の世界文学史を転換させた名作を一気に紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 松岡セイゴオさんが千夜千冊の中から近代から現代の文芸作品評を編集したもの。

    ホーソーン「緋文字」。父の名を語らぬ子を産んだ女性が、呪われたものとして赤いAの字を縫い付けた服を着せられる話と知っていたが、思っていたのとずいぶん違った。アメリカの始祖、ピルグリム・ファーザーのピューリタンの基盤を突き刺す作品とのこと。

    メルヴィル「白鯨」。エイハブ船長のモデルは旧約聖書「列王記」の邪神バアルを信仰した悪王アハブ。語り手のイシュメールのモデルは「創世記」のイシュマエル。
    モービィ・ディックとの三者にうねる「永遠の父なるもの」。それは想像主デミウルゴスとセイゴオさんは語る。自分の知識とかなり違って大いに驚く。

    ネルバル「オーレリア」。大学1年で履修したフランス詩の講義の最初がネルバルだった。そんな訳で、狂い死にした作家の幻想詩篇はたまに読み返すんだが、それ以外は読んでいない。
    セイゴオさんは「恐るべき夢の司祭」という。読んでみようかなとも思うが、理解できないだろうなという気もする。

    ジッド「狭き門」。2つ年上の従妹マドレーヌへの思慕が作家ジッドを生んだ。ジッドは異常性欲者であるけれど、マドレーヌとは清廉で、死後に公開された日記では処女妻として生涯を送ったとある。セイゴウさんは何か隠していると納得していない。
    この本も未読なので、作家にも作品にも印象が変わった。

    リルケ「マルテの手記」。ナイーブな作品と思っていたが、マルテにとってパリは死にくるための街とある。厳しい作品と知る。

    トルーマン・カポーティ「遠い声 遠い部屋」。(引用)フラジャイルな心の文字で綴られた「夜の文体」であって、いわば「電気で濡れた文体」だ。
    僕は「ティファニーで朝食を」しか読んでないな。

    ロレンス・ダレル「アレキサンドリア四重奏」。若い頃に池澤夏樹さんの書評で、心揺さぶられた本。未読。書評半分で、後は官能を他人に譲渡していった顛末を語る。タペストリーのように積み重なる恋の物語が齎す作用ということなんだろう。

    トマス・ピンチョン「V」。これもいつか読もうと思っている本の一つ。
    現在と過去の二つの物語から成るが、原則的には関係がない。V.というイニシャル群が共通するが、やたら情報過多。う~ん。つまり物語ではないんだな。

    幾つか読んだ本もあったが、未読の作品の数々。
    忘備録として記す。

  • 第1章 近代の咆哮

    1474夜 ナサニエル・ホーソーン 『緋文字』
    300夜 ハーマン・メルヴィル 『白鯨』
    1222夜 ジェラール・ド・ネルヴァル 『オーレリア』
    773夜 シャルル・ボードレール 『悪の華』
    690夜 アルチュール・ランボオ 『イリュミナシオン』
    990夜 ジョリ・カルル・ユイスマンス 『さかしま』
    953夜 ヴィリエ・ド・リラダン 『未来のイヴ』
    429夜 ヘンリー・ジェイムズ 『ねじの回転』
    1070夜 ジョーゼフ・コンラッド 『闇の奥』

    第2章 作家たちの方法

    64夜 フランツ・カフカ 『城』
    34夜 アルフレッド・ジャリ 『超男性』
    865夜 アンドレ・ジッド 『狭き門』
    12夜 ポール・ヴァレリー 『テスト氏』
    46夜 ライナー・マリア・リルケ 『マルテの手記』
    1744夜 ジェイムズ・ジョイス 『ダブリンの人びと』
    332夜 サマセット・モーム 『月と六ペンス』
    1268夜 エドワード・モーガン・フォースター 『インドへの道』
    1710夜 ヴァージニア・ウルフ 『ダロウェイ夫人』

    第3章 欲望と事件

    373夜 フランソワ・モーリアック 『テレーズ・デスケルウ』
    855夜 デイヴィッド・ロレンス 『チャタレイ夫人の恋人』
    634夜 アンドレ・ブルトン 『ナジャ』
    363夜 ダシール・ハメット 『マルタの鷹』
    940夜 ウィリアム・フォークナー 『サンクチュアリ』
    649夜 ヘンリー・ミラー 『北回帰線』
    1166夜 アーネスト・ヘミングウェイ 『キリマンジャロの雪』
    265夜 ダフネ・デュ・モーリア 『レベッカ』
    26夜 レイモンド・チャンドラー 『さらば愛しき女よ』

    第4章 奥の疼き

    21夜 ボリス・ヴィアン 『日々の泡』
    38夜 トルーマン・カポーティ 『遠い声・遠い部屋』
    1558夜 ポール・ボウルズ 『シェルタリング・スカイ』
    465夜 J.D.サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』
    1067夜 サミュエル・ベケット 『ゴドーを待ちながら』
    1742夜 カート・ヴォネガット・ジュニア 『プレイヤー・ピアノ』
    340夜 アレン・ギンズバーグ 『ギンズバーグ詩集』
    745夜 ロレンス・ダレル 『アレキサンドリア四重奏』
    1745夜 アラン・ロブグリエ 『嫉妬』
    822夜 ウィリアム・バロウズ 『裸のランチ』
    456夜 トマス・ピンチョン 『V.』
    95夜 チャールズ・ブコウスキー 『町でいちばんの美女』
    765夜 ガルシア・マルケス 『百年の孤独』

  • 圧巻しかない。高い山をいかに登るのかがを示してもらえた。

  • <目次>
    第1章  近代の咆哮
    第2章  作家たちの方法
    第3章  欲望と事件
    第4章  奥の疼き

    <内容>
    19~20世紀のアメリカを中心とした文学の評論。文学をほぼ読まない身(特に有名なものや古典はてんで)だが、こうした書評集を読むと、読んだ気になる。というか、今回は「読まなくてよかった」という感じ。かなり難物が多そうだからだ。松岡さんのような経験と慧眼を持たないと解釈できなそうだ。

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著者プロフィール

1944年、京都生まれ。70年代に雑誌『遊』編集長として名を馳せ、80年代に「編集工学」を提唱し、編集工学研究所を創立。その後、日本文化、芸術、生命科学、システム工学など他方目におよぶ研究を情報文化技術に応用しメディアやイベントを多数プロデュース。2000年よりインターネット上で「千夜千冊」を連載。日本を代表する「読書の達人」としてブックウェア事業を拡大。編集的な選書と読書空間の企画演出はつねに話題を呼んだ。主な著書に『知の編集工学』『多読術』『日本という方法』『千夜千冊エディション』(全30巻)『日本文化の核心』『別日本で、いい』(共著)ほか。

「2025年 『百書繚乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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