千夜千冊エディション 文明の奥と底 (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2018年8月24日発売)
3.87
  • (3)
  • (7)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 175
感想 : 10
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784044003586

作品紹介・あらすじ

西洋文明がつくったもの。モーセとユダヤ人、神とヨブの問答、
黙示録、千年王国、アンチキリスト、アーリア主義一辺倒、
それから銃器・征服・資本主義、飢餓と肥満とWTO。
でも東では黄河と長江の文明が、スキタイと匈奴が動いていた。
みんな興亡、すべて消長。文明はつらいよ、文化で遊べ。

みんなの感想まとめ

文明の多様な側面を探求する本書は、古典的名著を基にして、歴史や思想、文化の交差点を描き出します。多くの著者の作品を通じて、文明と民族の関係、聖書の影響、東方の記憶、さらには現代のグローバリゼーションに...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書で紹介されているものは、古典的名著と大著が多いような気がする。自分で読むのはかなりキツそう。

    それにしても正剛さんの読んだ本を関連づけて、アメーバが増殖するかの如く書物の伽藍を構築していく様は素晴らしい。

    残念ながら今の自分には本の内容紹介すら理解するのがままならない。

  • ※「千夜千冊エディション」は2000年からスタートした松岡正剛のブックナビゲーションサイト「千夜千冊」
    (https://1000ya.isis.ne.jp/)を大幅に加筆修正のうえ、テーマ別の「見方」と「読み方」で独自に構成・設計する文庫オリジナルのシリーズです。本書は四章からなる。第一章「文明と民族のあいだ」ではユダヤ教ができるまで、モーセという神の歴史に立ち会ったユダヤ者の謎をめぐる物語や、その後のユダヤ人の集合離散の悲劇、シオニズム運動からイスラエル建国、イスラエルパレスチナ問題と中東戦争や周囲の国とのゴタゴタを振り返る。またユダヤ教からキリスト教がどのように分派し生まれてきたか、アンチキリストとは何かを語る。第二章「聖書とアーリア主義」では旧約聖書からヨブ記、アーリア人至上主義とナチスドイツ、人種差別と黄禍論についてが印象深い。第三章「東風的記憶」は中国の歴史で、世界4大文明の一つ「黄河文明」よりも最近注目されだした「長江文明」についての考察がなされる。また幻と言われてきた王朝「夏(か)」が、いまや実在可能性がかなり増しているのだそうだが、その夏の発祥について語る。第四章「鏡の中の文明像」は人類史を総まとめして人類5万年のドラマと西洋文明、資本主義とグローバリズムを主なテーマとする。中には数年前読んだジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」や当時話題となったサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」などの良書も紹介。総じて25冊の書評を読んで、わからないところがありながらもが面白く読めた。この本をきっかけにここで紹介された作家の本を深堀して読んでいけたら読書幅も相当広がるかも知れない。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou34801.html

  • ふむ

  • 必読書

  • 第1章 文明と民族のあいだ

    895夜 ジグムント・フロイト 『モーセと一神教』
    946夜 アーサー・ケストラー 『ユダヤ人とは誰か』
    897夜 ノーマン・コーン 『千年王国の追求』
    333夜 バーナード・マッギン 『アンチキリスト』
    1630夜 アモス・エロン 『エルサレム』
    398夜 デイヴィッド・グロスマン 『ユダヤ国家のパレスチナ人』

    第2章 聖書とアーリア主義

    487夜 旧約聖書 『ヨブ記』
    492夜 ルネ・ジラール 『世の初めから隠されていること』
    1422夜 レオン・ポリアコフ 『アーリア神話』
    1423夜 ハインツ・ゴルヴィツァー 『黄禍論とは何か』
    720夜 マフディ・エルマンジュラ 『第一次文明戦争』
    902夜 エドワード・サイード 『戦争とプロパガンダ』

    第3章 東風的記憶

    331夜 徐朝龍 『長江文明の発見』
    1452夜 古賀登 『四川と長江文明』
    1450夜 宮本一夫 『神話から歴史へ』
    1424夜 林俊雄 『スキタイと匈奴 遊牧の文明』

    第4章 鏡の中の文明像

    1360夜 ナヤン・チャンダ 『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』
    1361夜 ジャレド・ダイアモンド 『銃・病原菌・鉄』
    1363夜 フェルナン・ブローデル 『物質文明・経済・資本主義』
    1024夜 オスヴァルト・シュペングラー 『西洋の没落』
    705夜 アーノルド・トインビー 『現代が受けている挑戦』
    172夜 コンラッド・ローレンツ 『鏡の背面』
    475夜 ダニエル・ベル 『資本主義の文化的矛盾』
    1083夜 サミュエル・ハンチントン 『文明の衝突』
    1610夜 ラジ・パテル 『肥満と飢餓』

  • ユダヤ人には2~3種類ある。スファラディは、スペインを意味するヘブライ語を語源とする。数度のディアスポラの後、イベリア半島に定住していたが、レコンキスタによって北アフリカ、オランダ、フランス南部に移動し、キリスト教と融合してマラーノと呼ばれた。アシュケナージはドイツを意味するヘブライ語を語源とする。東ヨーロッパでコミュニティを作っていたが、ロシアのポグロムやドイツのホロコーストによって迫害され、西ヨーロッパやアメリカに移住した。世界のユダヤ人の9割がアシュケナージだが、イスラエルにはスファラディとスファラディの流れをくむミズラヒが半分ずつ居住する。

    コーカサス北部に勢力を拡大していたトルコ系のカザール人は、8世紀にユダヤ教に集団改宗し、カザール王国を成立させていたが、13世紀のモンゴル軍の侵攻によって滅亡した。カザール人は、東欧に移動してアシュケナージと呼ばれるようになったとケストラーは推測した。

    ユダヤの民の歴史は、アブラハムが聞いた神との契約を結んだ者たちが、「約束の地」カナーンを求めてウルを旅立ったことに始まる。アブラハムの曽孫のヨセフの時代に移住したエジプトでは、アメンホテプ4世が一神教としてのアートン教を作っていた。アブラハムの後裔であるモーセは、エジプトを脱出してヤハウェによる一神教を奉じた。カナーンの地に入った民は200年ほどの間に12士族を整え、ダビデ、ソロモンの時代を迎える。ソロモン王が没すると北イスラエル王国とユダ王国に分裂し、北イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、ユダ王国は新バビロニアによって滅亡され、バビロンに強制移住させられた(バビロンの捕囚)。新バビロニアがペルシア帝国に滅ぼされると、ユダヤ人の一部はエルサレムに帰還したが、大国によって次々に統轄され、ローマ帝国の時代に2度の戦争を起こした結果、エルサレムは破壊され、ユダヤの民はディアスポラを強いられた。

    アメリカの大豆ビジネスは1930年代の大豆油の生産から始まり、1970年代初頭までに世界の生産量でトップを走った。ソ連が原油の増産で得た資金で小麦や大豆を買い込み始め、1972年に大規模なエルニーニョによる広範囲の干ばつによって大豆価格が高騰した。これを背景にして、ブラジルの大豆王ブライロ・マギーはプランテーションのために森林破壊を進め、それをアメリカのカーギル社などの食糧コングロマリットが支援した。コングロマリットは大豆粉末を家畜飼料に転換し、それによって支えられた家畜産業にマクドナルドなどの加工食品産業が依存した。今では世界の大豆の80%が畜産業によって消費されている。

    ニクソンの時代には、農場票を集めるために高果糖コーンシロップを作る体制もつくられた。大手食品メーカーは次々にコーンシロップを採用したが、代謝の短絡の性質を持つため肥満を促進していった。次期大統領のフォードも、食品価格の低下を実現するためにパーム油を導入し、ファーストフードなどに使用されるようになった。

  • <目次>
    第1章  文明と民俗のあいだ
    第2章  聖書とアーリア主義
    第3章  東風的記憶
    第4章  鏡の中の文明像

    <内容>
    松岡正剛氏の書評集の第何巻だろう?今回は、「文明論」である。重いのは第4章。現在のグローバリゼーションの功罪(罪の方が重いが…)を何冊か紹介している。「読まねば」と思うが、紹介文の中でも、2段組みで数百ページ、全4巻とか言われると、どうしても腰が引ける。また第1章のユダヤ民族の所も重い。世界史は「ユダヤ民族」に関わるところから発達したのだと思った。

  • ブックナビゲーションサイトの記事がベース。文明と民族・聖書とアーリア主義・東風的記憶・鏡の中の文明像の4カテゴリで、古典的名著を中心に、関連本や各説、事件や歴史など多面的に文明を語る。

    多くの人それぞれの立ち位置と見解を見事に整理し、描き出される多面的な状況がすごいです。なんて博識な。

全8件中 1 - 8件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1944年、京都生まれ。70年代に雑誌『遊』編集長として名を馳せ、80年代に「編集工学」を提唱し、編集工学研究所を創立。その後、日本文化、芸術、生命科学、システム工学など他方目におよぶ研究を情報文化技術に応用しメディアやイベントを多数プロデュース。2000年よりインターネット上で「千夜千冊」を連載。日本を代表する「読書の達人」としてブックウェア事業を拡大。編集的な選書と読書空間の企画演出はつねに話題を呼んだ。主な著書に『知の編集工学』『多読術』『日本という方法』『千夜千冊エディション』(全30巻)『日本文化の核心』『別日本で、いい』(共著)ほか。

「2025年 『百書繚乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松岡正剛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×