初歩から学ぶ生物学 (1) (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2019年3月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784044003982

作品紹介・あらすじ

人はなぜ死ぬの? 心はどこにあるの? 進化や遺伝の仕組みとは? なぜオスとメスがいるの? 教科書以前の素朴な疑問から、具体例を厳選。断片的に専門知識を蓄えるのではなく、要点から体系的にわかりやすく解説。メディアで話題になる事柄も、基礎さえ押さえておけば、もっと理解が深まる! 文庫化にあたり、人類起源や免疫に関する最新の知見で大幅に改訂。いい加減でしたたかな生物の原理に迫る、恰好の入門書。

みんなの感想まとめ

生物学の基本的な問いを探求することで、生命や遺伝、進化についての深い理解を促す内容が魅力です。特に、なぜ人は死ぬのか、心や体の関係、オスとメスの存在理由など、素朴な疑問から出発し、体系的に解説されてい...

感想・レビュー・書評

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  • 以前から気になっていてちょうど電子書籍セールをやっていたので購入。

    初歩から学ぶ…とのことだが、初歩とは?
    いや、決して分かりにくいということではない。
    むしろ分かりやすい。冒頭に2日で読めると書いてあったが、わたしは2日では読めなかった笑
    それくらい情報量が多く、内容が濃くて、面白い。

    そもそも生きているって何?という哲学的な話から(生物学的な論点で書かれていたがだいぶ哲学だと思った)、生物の仕組み、恐竜や人間の祖先の話、最新の医療まで分かりやすく(分かりやすいけど難しい)記載されている。
    よくありがちな、教科書に載っている単語の説明なしにどんどん話が進み読者が置いてけぼりになるタイプのものではなく、具体例の説明があるから理解しやすい。教科書に載ってるレベルのことは知っとけよという感じだろうけど。
    いや、面白かった。濃かった。要約はできない。読んでほしい。

  • これがどうして、初歩とはいえないほどの最新知見のてんこ盛りである。


    詳しい仕組みについては、池田先生の解説を読むのが一番だ。
    むずかしいことを平明で簡潔に言うことに関しては、右に出るものなしである。これでわからないのならば、図解本か、それとも時間をかけるしかない。わたし自身は、二日で読めるだろうとの著者の意に反し、もっと長いことかかってしまったが。

    生命に対し、概観として、二つの新たな学びがあった。
    というのは、一つに、生命は、物理の法則のなかで、何かを「禁止」することで成り立つことである。
    不自由であることで生まれる、その生命らしさ。これは、ずいぶん奥行きのあることではないかと思うが浅薄な思いしか未だ持てていない。これから、思索を深めていきたい。ひとつ言うならば、人の持つ「愛」のような感情など、この法則に従っているように思う。

    もう一つが、自己と非自己を区別する免疫の仕組みである。
    マクロファージのように、種レベルの判断をするものから、キラーT細胞のような、細かい判断をするものもいる。
    キラーT細胞が細かな判断をするためには、自己を判断する力があるもの、自己を攻撃する特性があるもの、自己を判断できないもののうち、自己を判断し、非自己を攻撃する性質のものだけが残るように「教育」する。この、「教育」の実体は殺戮で、自ら作り出したキラーT細胞の96パーセントは死滅する。
    これは、二つの興味深い事実につながっている。
    ひとつは、自己を守るために作り出される免疫機能のうち、とにかく無作為に全パターンを創出することで、攻撃対象に自己を含むものが誕生すること、そして、自己を殺さないために自己を殺すことだ。つまり、誕生の段階では、自己と非自己の区別はなく、「その後に生じるもの」だということだ。これは、自他は互いによく似ていることから起きるのではないかとも思う。そもそも、遺伝子からすれば、人の個の違いは、わずか0.1パーセント、数パーセントも違えば、「全くの別物」と思う動物になるのだ。その、ごく小さな違いにこだわるものが、免疫であるともいえる。
    しかも、この胸腺は、老化とともに衰え、T細胞が1/1000にも減る。さらに、衰えから自己を自己と判断できない細胞が生き延びる。それが、自己免疫病ともなる。

    わたしは、どうしても、何かを自他の区別に投影できないか考えてしまう癖があり、そのいちばんが目下のところ、免疫機能にある。
    人なんて、ほとんど似たようなもので、多少の違いに一喜一憂しても仕方がない。その一方で、その小さな違いこそが重要でもあり、いとおしくもなる。

    生命について考えたとき、現代の持つ課題が様々に反映されていることに気付く。「ミクロ合理性とマクロ合理性のジレンマ」という環境問題、有性生殖とジェンダー、純血種と生物多様性――アフリカ人以外は、ネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子を受け継いでいるという事実、人が人である故に苦しむのは、つまり、生命であるからとしか言いようがない。
    それで、どうしようもなく惹かれ、語らずにはいられない。

  • 2003年に書かれているので20年前のものである。その間、いろいろと変化があったと思うので、より新しい版がでていたらとも思う。写真やグラフは一切なく、文章だけであるが、とても読みやすい、教員養成系大学の学生も、生物学の初歩として知っておいていいと思われることが多くある。たとえば人類の発生のメカニズム等である。

  • 斬新な切り口で生物学を語った本。生命とは何かから生物の仕組みや進化論、さらには病気の話までいわゆる生物学にとどまらない範囲を幅広くカバー。生命論、生態学、発生学、進化論、分子生物学といった領域が学問的な範囲。池田清彦は構造主義生物学の立場から科学論を語る生物学者とある。どうりで。

    生命を定義するのは難しい。なぜなら、定義するとは不変の何かを見つけることだが、生命は、刻々と変化する。
    「環境」も「心」も普遍の実体ではない。
    「心」は脳の機能であって実体といったものではない。

    「生物が物質からできている」という立場をとる現代生物学は「物質がどのような状態で存在しているとそこに生命という現象が出てくるのか」を説明しようとしている。

    生物は、、、空間である。
    自律性がある。
    内と外の境界が必ず存在する。
    一般の物体より高次で複雑なルールをもっている。
    できるのにやらないという性質をもっている。
    自分を構成する物質をどんどん変えながら、なおかつ全体としては同じという奇妙な「空間」=オートポイエーシス
    根幹は「物質が循環する」ということ
    究極的には物質の配置

    DNAが遺伝されるのではなく、オートポイエティックなシステムが遺伝されてきている。
    生命は38億年前に誕生しており、その生命が今もただ継承されているだけ。

    近年のDNA解析により生物の系統がかなり正確に推定できるようになったが、携帯が似ているからといって、必ずしも系統が近いとは限らない。

    環境が激変しても地球は困らない。
    生物種の大量絶滅

    現代人のDNAには、ネアンデルタール人やデニソワ人といった先史人類のDNAが混入している。

  • 池田先生の”生物学のウソとホント”が良かったので本書も読んでみた。”生物学のウソとホント”と話題は共通しているがこちらのややや詳しく記載されており良かった。遺伝子や進化、性、死などについての記載がわかりやすくて良い。

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著者プロフィール

池田 清彦(いけだ・きよひこ):1947年東京生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。早稲田大学、山梨大学名誉教授。専門の生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野で100冊以上の著書を持ち(『構造主義科学論の冒険』 講談社学術文庫ほか)、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」等、各メディアでも活躍。

「2024年 『老後は上機嫌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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