- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044003999
作品紹介・あらすじ
網野善彦が戦後50年余を伴走した戦後歴史学への当事者としての証言と、折々に影響を受けた学問と研究者への独自の評価から構成。しかし、本書の核心は、「歴史は進歩する」という近代歴史学のテーゼが、現代の世界情勢を見ても崩れつつあることを著者自身が確信し、歴史学が現代に直面する諸問題に対応できていないとの危機感を表明している点にある――。
歴史家・網野善彦の知られざる学問形成の足跡、苦悩と挫折、そして歴史学会に対する危惧と展望を示した、自伝的名著。解説・清水克行
感想・レビュー・書評
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「歴史としての戦後史」ではなく「歴史としての戦後史学」であることに注意が必要です。つまり、史学界の動きが生々しく記された書物です。史学界の方や、登場する史学者たちの書物をよく読む方に意義あるものと思います。
私は戦後史そのものに関する本だと早とちりして買って、読みながら過ちに気づきました。なので内容は私からすると予想外だったのですが、このような世界や動向があったのだとは知らず、少し世界が広がりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終戦時10代後半だった著者が学生のときから今まで戦後史にずっと係わってきて、どういう変遷をたどったかという話。
……だが、戦後史が体系的にまとまっているわけでもなく、○○について主張していた○○さん達学派が、とか……知らんわ。内輪で楽しむ分にはいいかもしれないが、その分野に詳しいわけでもない一般人が教養として読んで楽しめる本になっていないと感じた(ので、途中からは正直斜め読みで流してしまった)。 -
日本中世史の大家、網野先生の目を通しての戦後の日本史研究史といった本である。あとがきで著者自ら「老人の思い出集、しかもくり事であり、いまさら書物として多くの人々の目にさらすのもはずかしく、躊躇する気持ちもあったが」とあるように、戦後の日本史学かいわいの事情とそれにまつわるテーマで著作された論述をまとめたものである。したがって少々まとまりに欠けるところがある。
この本を読もうと思ったきっかけは、他の先生がかかれた中世史の本を読んでいるときに、まるでマルクス経済学者の書くような文章で、こんな文章を書く学者が出る背景とはどんなものかと疑問に思ったところにある。
本書を読むと、そういった背景がうまれた状況もなんとはなくわかるものである。
後半にある、日本常民文化研究所の文書整理については他の書物にも詳しくかかれていた内容。渋沢敬三ほかの作品集の解説を掲載した部分はあまり本書タイトルとの関連性を感じない。 -
戦後の“戦争犯罪”
1 戦後歴史学の五十年
2 歴史学と研究者
3 史料を読む
4 日本常民文化研究所
5 渋沢敬三の学問と生き方
インタビュー 私の生き方
著者;網野善彦(1928-2004、山梨県、日本史)
解説:清水克行(1971-、東京都、日本史)