サンスクリット版全訳 維摩経 現代語訳 (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2019年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784044004873

作品紹介・あらすじ

法華経と並ぶ初期大乗仏典で、聖徳太子のころから戯曲的展開の面白さで親しまれてきた維摩経。そのサンスクリット原典の写本が、二十世紀末に発見された。その写本に依拠した精緻な訳をさらに洗練し、初めて読む人にもわかりやすい詳細な解説と注を各章ごとに付した入門書。在家の菩薩ヴィマラキールティが出家の十大弟子を論破し、マンジュシリー菩薩との軽妙な対話を通して「空」の思想や、在家仏教の真価を明らかにする。

みんなの感想まとめ

深い思想と軽妙な対話が特徴のこの書籍は、初期大乗仏教の経典として、在家の菩薩ヴィマラキールティが出家の弟子たちを論破する様子を描いています。サンスクリット原典の忠実な翻訳に基づき、詳細な解説が各章に付...

感想・レビュー・書評

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  • 完全フリーでサンスクリット文から維摩経を読んでいるので、よろしければご覧ください。
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1XWy_ZPSUhM-aExKU3-sj1TigihQPb7HPc9Z3dFQ2EZ4/edit?usp=sharing
    Pdf ver.もダウンロードできます。
    https://drive.google.com/file/d/11GOZGqDkNYzo2f9RdJwm3BCj1-Cf4O6t/view?usp=sharing
    English ver.
    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1ud99RQjb1NT_lOrscwx-G2kSs8-FNg_dw6Q6JwQdhZ0/edit?usp=sharing

    なかなか面白かった。
    1.縁起の法について、この著者はこの2019年時点で、「法」とは縁起の法であることを諦めている。にも関わらず、その後解釈を間違え続けている。怪しかることである。
    2.浄土について、浄土とは浄仏国土であることがこの著者の別の著作にて言及されていたが、確かに記載されていた。そして、仏陀にとっては仏国土とは衆生のことであるため、仏陀は仏国土を浄めるため、衆生を教化して導くのである。大乗仏教の萌芽であるようである。仏陀に至らない菩薩はより自己の修行に専念するように勧められている。
    3.成立時期について、維摩経は法華経に先立って成立したという。法華経に見られるような綺羅綺羅しい物質的繁栄のユーフォリア的記述はより少なく、より政治的というか、実務的交流の色が濃い。
    4.空について、第4章SS8によくまとまっている。ナーガルジュナの哲学の要約であるようである。
    2500年もの間の哲学(維摩経の時点で古代ローマ帝国の影響を受けつつ約500-600年)が継承されているため、多数の「そういうことをやったら揉め事になる、碌なことにならない」の豊富なアンチパターンが論破されている。実に参考になる。

    【誤訳】
    第十二章前半 結論と付属 の最後の段落、「財物ではなく法の供養を」に明らかな誤訳がある。「如来に対する諸の供養の中で最善なるものは法の供養であると言われる。第一であり、最高で、最勝で、最妙で、卓越しており、より勝れていて、〜」の部分、同じ著者の梵漢和本を参照したところ、サンスクリット語からの翻訳では、「如来たちによる尊敬ほどに大きいダーマへの尊敬は、最善、最良、最上である。それゆえに、インドラ神よ、美食への尊敬ではなく、ダーマへの尊敬によって尊敬せよ、美食への優遇ではなく、ダーマへの優遇によって優遇せよ」という意味になる。地上の王権に対する政策提言か。財政的貢献が多いことで大臣として採用するな、教育・経験・実績によって大臣として採用せよという意味に思える。

  • 1999年に発見されたサンスクリット原典の翻訳。
    他の維摩経と合わせて読みました。

    他訳との比較もところどころ書かれています、
    おそらく忠実に丁寧に訳されているせいだと思いますが、少々クドイ文章のところもあります。
    辞書的に保存版として置いておきたい本です。

  • ◯初期大乗仏教の経典とされているが、既に原始仏教の経典(スッタニパータ)よりも、はるかに思想的には練られている印象。
    ◯空の思想などは、まさに原始仏教の考え方(執着を捨てる的な)を発展しているように感じたが、ただ、スッタニパータを読んだ時ほど、自己の生き方について得るものがあるというか、衝撃を受けるとか、そういったことはなかった。
    ◯それというのも、内容の主たる部分としては、当時の仏教世界における菩薩のあり方が問われていた。小乗仏教的なものへの批判書である。
    ◯しかし、紀元前の時代にして、既に宗教改革が行われているといったところに面白さも感じた。


    ◯ついでに俗っぽい感想を記すところでは、智慧第一の舎利弗が所々間の抜けた質問や考えをしてしまうところがなんとも愛くるしい。小乗仏教への批判としての役回りだったからということだが、そのあたりも維摩経の戯曲的な印象に深く関わっているような気がした。

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著者プロフィール

植木 雅俊(うえき・まさとし):1951年生まれ。仏教思想研究家。九州大学大学院理学研究科修士課程修了、東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。東方学院で中村元氏のもとでインド思想・仏教思想、サンスクリット語を学ぶ。人文科学博士。著書『サンスクリット原典現代語訳 法華経』、『梵漢和対照・現代語訳 法華経』(毎日出版文化賞)、『思想としての法華経』(以上、岩波書店)、『日蓮の思想』(筑摩選書)、『サンスクリット版縮訳 法華経 現代語訳』『日蓮の手紙』(以上、角川ソフィア文庫)、『日蓮の女性観』(法蔵館文庫)など。

「2026年 『ほんとうの法華経』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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