稲生物怪録 (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2019年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784044004972

作品紹介・あらすじ

江戸時代中期、広島・三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷に、一ヶ月にわたって連日、怪異現象が頻発。その目撃談をもとに描かれた「稲生物怪録絵巻」(堀田家本、全巻カラー)、平太郎本人が書き残したと伝わる『三次実録物語』(京極夏彦訳)、柏正甫『稲生物怪録』(東雅夫訳・註)が一冊に。多彩な妖怪変化、想像を絶する奇抜な生態、冷静沈着に観察する平太郎の武勇……日本各地に伝わる妖怪物語の最高峰が、待望ひさしいコンパクトな文庫版で初登場!

感想・レビュー・書評

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  • 2025年のレビュー一発目。

    思ってたのと違った。
    (ノД`)シクシク

    これは……、創作というより実録でした。

    江戸時代中期、広島、三次(みよし)藩の武士、稲生(いのう)平太郎の屋敷に、1ヶ月にわたって連日、怪奇現象が頻発。

    その目撃談を元に描かれた「稲生物怪録絵巻」と。

    平太郎本人が書き残したと伝わる「三次実録物語」を京極夏彦の訳で、と。

    柏正甫著の「稲生物怪録」を東雅夫の訳と註で。

    この3作、つまり
    「稲生物怪録絵巻」
    「三次実録物語」
    「稲生物怪録」
    が、1冊に収められた本。

    それにしてもこの平太郎、豪胆過ぎる(笑)

    曰く、天井一杯に婆ァの顔が出て、それに舌で舐められているうちに眠る。

    曰く、火事のようだがまやかしだと思ったら消えたので寝た。
    水が湧いて蚊帳も蒲団も畳もびしょびしょになったが面倒だったので寝た。

    曰く、天井から大量の青瓢箪が下がって来たが、どうもこうもないので眠った。

    曰く、錫杖が飛んできて行く先々で三度ずつ宙に鳴る。
    うるさかったが、どうということもなかったから寝た。

    曰く、女の生首が臓物を巻き付けたりして来る。飛び回る。
    頭にきたので振り切って蚊帳の中に入り、寝た。

    などなど。

    そこで寝るんかー!!
    と、ツッコミ続ける読書となった。

    一応、オチというか解決はしてるので、まあいいか。

    • 土瓶さん
      マキさん。
      せっかくの正月です。
      何もせずひたすら読んで、いや、飲んでください。
      マキさん。
      せっかくの正月です。
      何もせずひたすら読んで、いや、飲んでください。
      2025/01/01
    • kuma0504さん
      一度レビューで取り上げたので、覚えてらっしゃるかもしれませんが、
      平太郎が肝試しのために登って、そこで禁忌の石を動かしたために怪異が起きるよ...
      一度レビューで取り上げたので、覚えてらっしゃるかもしれませんが、
      平太郎が肝試しのために登って、そこで禁忌の石を動かしたために怪異が起きるようになったいわく付きの山・比熊山に登りました。まぁ簡単に登れます。

      三次の町からはどこからでも見える、ホントに形の良いポッコリした山です。こういう実在の山があるから、それからの怪異も「あるかもしれない」と信じられたのだと思われます。

      因みに、この山は、奈良の三輪山と同じで、古代から聖なる山・神南備山に違いないというのがわたしの見立てです。
      2025/01/14
    • 土瓶さん
      実はこの本を読んだとき、「これ、クマさん向きじゃね?」と思ったものです。
      既に登山済みでしたか。
      さすがです。
      実はこの本を読んだとき、「これ、クマさん向きじゃね?」と思ったものです。
      既に登山済みでしたか。
      さすがです。
      2025/01/14
  • 『もののけdiary』に引き続き、宿題本だったこちらを読了。いやあ、面白い。十八世紀半ば近世の世においても、こんな怪異が次々と起こるとは! そして平太郎の飄々とした豪胆さが楽しい。妖怪好き、幻想小説好き必読の書。しかし、京極夏彦氏が小説風に訳したものが面白いのは当たり前、東雅夫氏の訳文の達意で格調の高いことよ。原文見てはいないけれど、古文をここまで見事にこなれた逐語訳にするなんて、なかなかできんこっちゃで(オレには分かる)。お見事!

  • 十年以上前、稲垣足穂「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」を読んで知った。
    その後、妖怪や幽霊の本を収集しているにもかかわらずなかなか本腰入れることができずにいる。
    鬼太郎6期にはまったり、水木しげるをぽつぽつと読んだり、今度松江に行くことになったり、と妖怪づいている。
    だもんだからまず三次の商工会議所でDVD「伝承としての稲生物怪録」を頂いてばっちり予習してから、よきタイミングでこの本に向かったのである。

    面白い!
    まずは絵巻の味。
    主に屋内における怪異が、これでもかと怖可愛く。
    そして京極夏彦による訳も。
    「たいしたことなかったから寝た」のテンドンに吹き出してしまう。
    そして東雅夫の訳も。
    どういうことかというと、

    ・稲生物怪録絵巻(堀田家本)
    ・武太夫槌を得る――三次実録物語 本人の書き残したものを京極夏彦が訳したもの。
    ・稲生物怪録 同僚の柏正甫がインタビューして書き残したものを東雅夫が訳したもの。

    の三つが収録されている。
    どれも同じ筋なので繰り返しなのだが、それぞれの味がまたよし、なのだ。

  • 江戸時代に実在した人物が、実際に体験した怪異譚(ということになっている創作なんだろうが)。
    16歳の平太郎青年が、7/1から1ヶ月もの間、毎日怪異に襲われる様子が、まるで日記のように日付とともに記録されている。

    ・物語とともに妖怪絵も付された『稲生物怪録絵巻』
    ・平太郎本人が書き残したと言われる『三次実録物語』
    ・平太郎の同僚が、平太郎から聞いた話をまとめたものとされる『稲生物怪録』
    の3編構成で、いろんな角度から稲生物怪録を楽しめる良書。

    しかもなんと、『三次実録物語』にいたってはあの京極夏彦氏の現代語訳!逐語訳のようなつまらない訳ではなく、まるで現代の小説かのような柔軟な文章で、かなりおもしろい。

    飛び回る生首だの、急に水浸しになる畳だの、体中を撫で回す天井から伸びる手だの、とんでもない物に毎日襲われる平太郎。
    それなのに毎日「どうにもならないので寝た」「どうということもないので寝た」「不快だったが我慢して目を閉じているうちに寝た」と快眠すぎるのがおもしろい。
    そのうえ、あちこちを掃きまわる箒に「親切だな」と喜んだり、勝手に動いてる杵と臼に未精米の米を突っ込んで妖怪を精米機扱いしようとしたりする始末。
    とにかく平太郎、まったくびびらない。そして家を出ていかない。平太郎よすぎる。

    ホラーと思わせつつ実はコメディなのか?と思うくらい笑った。
    最終的に根負けした妖怪の親分(大魔王と名乗ってた)が平太郎に詫びて退散するのだが、平太郎は「法華経や仏神のお陰だなぁ」とか言って終わる。
    いやいや仏神は絶対関係ないって。お前の肝っ玉がおかしいだけ。

    最初の絵巻を眺めてるときに「なーんか怖がってる顔に見えないんだよなぁ」「いやぼんやり眺めとる場合か!逃げろや!」「この絵師は人の表情かくの苦手か!?」みたいな感想だったんだけど、絵師は正しかったみたいです。こいつ1ミリも怖がってないし逃げようとしない。

    たぶん「平太郎は何も恐れぬ男!動じぬ男!大魔王すら下す強い男!」みたいな最強主人公系のラノベみたいなストーリーのつもりだと思うんだけど、なんかもうずっと笑けてきちゃうんだよな。

    とにかく良いこれ。また読もう。

  • 見当たらなかったので、代わりにこちらで登録を。
    1994年出版「稲生物怪録」定価3500円小学館出版の絵本を拝読(当時にしては高すぎやしませんかね…)

    平太郎の動じなさというか、もはやどんな妖怪が来るのかワクワクしているあたり豪胆だなぁと
    身体的な実害は少ない妖怪ではあるものの、平太郎周りの人間関係は大いに崩れたのではないだろうか…
    あと平太郎のウィークポイントをちょくちょく付いてくるあたり、妖怪も学習しているのだな、と微笑ましくなった

  • 三次もののけミュージアムに行ったので、その記念に購入。
    絵巻をカラーで一つ一つのエピソードをしっかり見られたのはよかったなあ。
    平太郎本人作という『三次実録物語』はさすが京極夏彦先生、非常に読みやすい小説になっていました。
    9日目のエピソードは何度読んでもエグいけど。
    聞き取って書いたと伝わる『稲生物怪録』は、『三次〜』との相違点が散見されて、その違いを楽しめるのもいい。
    読み手側が詳しくないので、その相違点が先生による脚色によるものかどうなのかまでは判断つかなかったのですが、絵もあり、成立過程の違う2種類の物語を一度に楽しめたりと、稲生物怪録に最初に触れる本としては適切だと思います。

  • 名高い「稲生物怪録」だが、近寄るのは初めて。
    京極さんが手広くお仕事されてるお陰です。
    絵巻は確かに、独特の味が出ていてユニーク。
    京極さんの現代語訳は読みやすく、微かに京極さんの匂いがするところが良きかな。
    「仕方ないので寝た」「(怪異が)使えるかなと思ったが役に立たなかった」という淡々とした感じが、加門七海の実話怪談の様で面白かった。
    最後、魔王が出てくるのね‥知らなかった‥。
    これ以上近寄らないとは思うけど、手に取らせてもらったことには感謝。

  • 稲生物怪録をカラー図版で・京極夏彦の文体で・現代語訳で、さらに携行しやすい文庫版という欲張りセットでこの価格。聞いたことはあるけれど、通しで読んだことはなかった人間(自分だ)にとってうれしい一冊。

    図版は文庫サイズのためそこまで期待できない? ……と思いきや、三段組で全体を提示後、各日ごとに絵の部分を1/2~2ページほどの大きさで掲載しているのが良かった。

  • 稲生物怪録の入門編。
    巻頭に収録された図版が面白い。文庫ということでどうしても小さいのが残念だが、生き生きとした筆遣いや、滑稽味のある化け物の造形など、見ていて飽きない。平太郎、けっこう散々な目に遭っているというのに、ちょっと笑ってしまうのは、この絵の力が大きいだろうw
    現代語訳は京極夏彦。次は原典をそのまま活字にして欲しいな〜。

  • 江戸時代中期、三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷で1ヶ月続いた怪異現象を元に描かれた「稲生物怪録絵巻」、平太郎本人が書き残したと伝わる「三次実録物語」、柏正甫の「稲生物怪録」を1冊にまとめたもの。多くの作品に取り上げられた有名な妖怪絵巻が文庫で簡単に読めるとは良い世の中になりました。同じ作品でありながら、記録、絵巻、小説と形態の違いによる差分を楽しめます。ユーモラスな物の怪がたくさん登場する絵巻も記録や小説を読んで背景を知ってると、より楽しめます。

  • 江戸時代中期、広島・三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷を一か月にわたって襲った怪異現象を記録した「稲生物怪録」。

    なんだろうね。平太郎本人が豪胆すぎて夏休みの絵日記のような趣で書かれています。書かれてしまっています、かな。普通の精神で乗り越えられる現象ではない怪異の数々。対処はしてみるけど、どうにもならないし、とり立てて被害もなさそうだから、寝てしまえ、という精神にあるのが信じられない。
    豪胆というか、実は頭のネジがぶっ飛んでいたんではなかろうか、と邪推してしまいます。

    どの怪異なら自分でも耐えられるか、と考えても見ましたが、うぅむ。どれも無理という結論です。一番怖気が走ったのは、十日目の怪異。化け物が変化した友人が訪れ、頭が膨れ上がり穴が空き、中から赤子がぞろぞろと這い出してくる、というやつです。これはしんどい無理です。
    この十日目が一番で、それと比べたらと思いましたが、どれもこれも無理です。
    平太郎の精神力は尋常なものではないです。

    歴史上実在した人物が経験した怪異。本人の記録と本人からの聞き取りという二つの資料が残っていることが、最大の怪異だったりするのかもしれません。

    岩が蟹になったり、葛籠がひきがえるになったり。絵で見ると可愛げがあるけども、実際目にしたらとんでもなく怖いと思うんだよなぁ。まず普段目にしているものよりも大きさが違うし。人の顔もそうだけど、意識外の大きさのものが突然現れたら、恐怖以外感じないと思います。

    古典を読むつもりでしたが、想像以上に怪異に怯えてしまいました。いや、いい読み物でした。

  • ほとんどの話のオチが「どうしようもないから寝た」。冷静に考えると結構怖いことが起きてるはずなのに、平太郎がすぐ寝るせいであんまり怖くない。もはやシュールギャグ。京極先生の小説も、現代語訳も楽しめた。
    自分の家で何か起きたらどうしようもないから寝ようと思う。

  • 面白かった!
    絵巻と、京極さんの訳と、東さんの訳の三編。

    どんな怪異にも動じないとはきいていたけど、化け物がでてきても『どうしようもないから寝た』『意味がわからないから寝た』『我慢していたら寝ていた』など、基本的にすぐ寝る。 
    怪異自体は全部実際自分が遭遇したら怖いものばかりのはずなのに、平太郎の態度のせいでもはやギャグのよう。

  • 数ある妖怪話の中でも稲生物怪録は実話だと昔から思っている。図書館でしか読んだことなかったが、全巻カラーの「稲生物怪録絵巻 堀田家本」、京極夏彦が訳した平太郎本人による「三次実録物語」、東雅夫訳・柏正甫の「稲生物怪録」の3つが一冊に収録された贅沢のうえに更に文庫化!そもそもが面白い話だが京極夏彦の訳が何より読みやすい。18世紀の広島三次藩の稲生家で起きた30日間にわたる怪奇現象。非常にリアルな話で、目撃者多数、腰を抜かす者、逃げ出す者実名入りで語られる。これ、実話でしょ。

  • 稲生物怪録の本は他にも持ってるけど、みつけると買ってしまう。
    京極夏彦先生の現代語訳なのでだいぶ読みやすい。
    稲生物怪録の名前だけ知ってる、ざっとした内容を知ってるという方にはおすすめ。
    知らなくても妖怪好きな方はぜひ!

  • 女の生首が逆さまになり、髪の毛で歩く。舌でなめまわす。

    男の頭が膨れ上がり、頭に丸い穴があいて、その中から赤子がぞろぞろ這い出てくる。

    冷たい人の体を踏みつけたような感触があったため、下を見ると大きな青入道がいた。足の裏にねばりがついた。

  • 『イノモケ』は、小学生の時、学校の図書室で小学生向けにリライトされたものを読んで以来、30年振りである(とは言え、本格的に通しで読んだのは今回が初めて)。改めて読んで、稲生家の怪異は怖いよりも気持ち悪い系の方が多い印象である。しかし、ベトベト、グチャクチャのお化けに付きまとわれても、「仕方がないから寝た」とか書いている平太郎は、やはり只者ではない。

  • 30日に渡り怪異体験をする平太郎が豪胆すぎて、驚かせにきた妖怪達の張り合いのなさに、惻隠の情まで湧かせてしまう。カラーの絵巻か見所。

  • これでもかと出てくる怪異が絵と一緒になって迫ってくる。

  • 稲生物怪録が現代後で分かりやすく収録されています。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく・なつひこ):一九六三年北海道生まれ。九四年『姑獲鳥の夏』でデビュー。同作を含む〈百鬼夜行〉シリーズで人気を博す。九六年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。その後も泉鏡花文学賞、山本周五郎賞、直木三十五賞、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞を受賞。〈巷説百物語〉シリーズ、〈豆腐小僧〉シリーズなど著書多数。

「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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