戦時下の大衆文化 統制・拡張・東アジア

  • KADOKAWA (2022年2月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784044005658

作品紹介・あらすじ

1940年、日本の大衆文化は空前の隆盛を見せた。「外地」とされた東アジアからは多くの題材が採られ、その一方で、文化の移植・拡張も試みられた。戦争や植民地支配との関係をひも解き、「大衆文化とは何か」をあらためて考える。巻末には、500作品を超える、戦時期の大陸関連書籍・レコードのリストも収録。

【執筆参加者】
劉 建輝、石川 肇、細川周平、山口記弘、秦 剛、大塚英志、前川志織、井上章一、鈴木楓太、高 媛、王 志松

【内容】
序 統制と拡張──戦時下日本文化の力学
第一章 新たなる「大衆文学」の誕生―――戦争が打破した文学の秩序
第二章 兵隊歌謡─―軍服を着た良民を歌う
第三章 日本映画界・永田雅一の十五年戦争
第四章 上海における東宝の映画工作――「茶花女」をめぐる映画史の内幕
第五章 満蒙開拓青少年義勇軍とまんが表現の国策動員――田河水泡と阪本牙城の事例から
第六章 「外地」における日本製洋菓子の広告戦略―─子ども像を手がかりに
第七章 いわゆる「帝冠様式」と中国現代建築史――旧満洲、新京の官衙を手がかりに
第八章 戦時下の国民生活と体育・スポーツ
第九章 戦争とツーリズム――戦前における日本旅行会の満洲旅行
第十章 「外地」の大衆文化――雑誌『女性満洲』に見られるファッション
終章 植民地大衆文化研究とは何か――映画「上海の月」とメディアミックス

感想・レビュー・書評

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  •  「外地」で展開された大衆文化を主に扱う論文集。移民や軍、観光等による国民の「外地」への移動が拡大に伴い、題材も拡大する。「外地」を舞台とした大衆文学。戦地を描く兵隊歌謡。上海での東宝の映画工作。森永のチョコやキャラメル広告が示す皇民化政策や「五族協和」。一般人による満洲団体旅行。
     中でも、帝冠様式建築が「日本」のアピールではなくむしろ中華的であるという指摘は興味深かった。新京の関東軍司令部庁舎には一定の留保があるにせよ。国民党政権による南京や上海での「宮殿式」建築、更には戦後北京での民族文化宮まで、帝冠様式と一定の共通性を見る。
     また、1950〜60年代の香港・台湾の恋愛文芸映画の多くについて、源流の1つに30年代上海の映画工作作品「茶花女」がある、との指摘も面白い。

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著者プロフィール

2022年9月現在
国際日本文化研究センター教授

「2022年 『「満洲」という遺産 その経験と教訓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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