改訂新版 共同幻想論 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.00
  • (0)
  • (2)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 159
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044005764

作品紹介・あらすじ

国家とは何か。そして国家と自分はどう関わっているのか。「国家は共同の幻想である。風俗や宗教や法もまた共同の幻想である。もっと名づけようもない形で、習慣や民俗や、土俗的信仰がからんで長い年月につくりあげた精神の慣性も、共同の幻想である」。原始的あるいは未開的な幻想から〈国家〉の起源となった共同の幻想までを十一の幻想領域として追及。自己幻想・対幻想・共同幻想という三つの構造的な軸で解明し、まったく新たな論理的枠組みを提言する「戦後思想の巨人」の代表作。改題・川上春雄、解説・中上健次

 目次

角川文庫版のための序
全著作集のための序

禁制論
憑人論
巫覡論
巫女論
他界論
祭儀論
母制論
対幻想論
罪責論
規範論
起源論

後記

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2020/9/12 読了
    このような本は苦手でいつも途中で投げ出していたけど、意地で読み終えた。難しかった、、。

  • 本作品は、戦後の日本思想界の巨人といわれる吉本隆明(1924~2012年)が1968年に発表した代表作で、当時の教条主義化したマルクス・レーニン主義からの脱却を求めていた全共闘世代に熱狂して読まれたと言われる思想書である。
    私はこれまで、吉本の著書は、『真贋』、『家族のゆくえ』、『読書の方法』、『悪人正機』(糸井重里との共著)などのソフトなものしか読んでこなかったのだが、本作品についてはいつか読まねばと思い、改訂新版出版のたびに買い替えて来たており、今般やっと、NHK番組「100分de名著」を参考にして一通り読むことができた。(といっても、重要部分の飛ばし読みであるが)
    本作品は全11篇から成り、前半の「禁制論」、「憑人(つきびと)論」、「巫覡(かんなぎ)論」、「巫女(みこ)論」、「他界論」、「祭儀論」の6篇は1966~1967年に月刊誌「文藝」に連載されたもの、後半の「母制論」、「対幻想論」、「罪責論」、「規範論」、「起源論」の5篇は書下ろしである。
    読むにあたっての技術的なポイントは、まず、吉本が何故この本を書いたのかという問題意識を念頭に置いて読むこと、そして、書下ろしの後半部分から先に読むことであろう。
    前者については、吉本は「角川文庫版のための序」に、「国家は共同の幻想である。・・・人間が共同のし組みやシステムをつくって、それが守られたり流布されたり、慣行となったりしているところでは、どこでも共同の幻想が存在している。そして国家成立の以前にあったさまざまな共同の幻想は、たくさんの宗教的な習俗や、倫理的な習俗として存在しながら、ひとつの中心に凝縮していったにちがいない。」、「人間のさまざまな考えや、考えにもとづく振舞いや、その成果のうちで、どうしても個人に宿る心の動かし方からは理解できないことが、たくさん存在している。あるばあいには奇怪きわまりない行動や思考になってあらわれ、またあるときはとても正常な考えや心の動きからは理解を絶するようなことが起こっている。・・・それはただ人間の共同の幻想が生み出したものと解するよりほか術がないようにおもわれる。」と記しており、自らの戦争体験から、平時であれば「正常な考えや心の動き」をしている人間が、なぜ戦地では「奇怪きわまりない行動や思考」ができるのかを明らかにしようとしたことである。
    そして、主に『遠野物語』と『古事記』を題材に、エンゲルスが『家族・私有財産・国家の起源』で著した国家の成立の過程と対比して、日本におけるそれを明らかにしていくのだが、その中で、有名な「共同幻想」、「対幻想」、「個人幻想」という概念が展開される。
    翻って、半世紀前に発表された本書を、現代の我々がどう読むべきかを考えると、「祭儀論」にある「原理的にだけいえば、ある個体の自己幻想は、その個体が生活している社会の共同幻想にたいして<逆立>するはずである。・・・ある個体にとって共同幻想は、自己幻想に<同調>するものにみえる。またべつの個体にとって共同幻想は<欠如>として了解されたりする。またべつの個体にとっては、共同幻想は<虚偽>としても感じられる。」の部分が参考になる。つまり、現代の共同幻想とは、国家レベルからグローバルレベルに拡大した膨大な情報ということができるが、我々は、その共同幻想を鵜呑みにせず、共同幻想に逆立する(緊張関係にある)個人幻想、地に足の着いた個人幻想によって、共同幻想に対峙していく必要があるのである。
    巨大な共同幻想に世界が翻弄される今、改めて読み直されていい作品なのかもしれない。
    (2020年8月了)

  • めちゃくちゃ難解だけど、それだけの価値のある内容があると思う
    一読では正直1割も理解できている気がしないけど、理解しようと挑む時間に意味があるというか、それが読書だと言われているような気がした

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。

「2021年 『吉本隆明全集26 1991-1995』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉本隆明の作品

改訂新版 共同幻想論 (角川ソフィア文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×