ロシア革命史 社会思想史的研究 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044006150

作品紹介・あらすじ

革命研究に衝撃を与えた、独裁研究の第一人者猪木正道のデビュー作、復刊!
「一九四六年八月に、ほぼ三週間を費やして、私は本書を書き上げた。
当初は食糧不足の時代で、私は成蹊学園の農場内に住居を与えられ、みずから陸稲やとうもろこしを作りながら、原稿を書いた」

革命史を簡潔にたどりながらも、レーニン主義、ボリシェヴィキ政権など、革命過程を理論的に分析した。
意外と類書がない切り口であり、後に、革命を破壊と創造の両過程に分類し、その二つの流れの総合として説明したことは、
コロンブスの卵とされ、革命研究に衝撃を与えた。
再評価の進むローザ・ルクセンブルクとレーニンを「西欧共産主義」vs「東欧共産主義」として対比させたり、
「(ヒトラー)ファシズムは、世界革命の鬼子である」と喝破するなど、本書の普遍性はいまも失われていない。

先般、逝去されたロシア研究の泰斗・木村汎氏は解説でこう激賞している。
「総合的なアプローチ、卓抜のバランス感覚、思索の深さ、精密な分析、時として大胆な仮説――これらのコンビネーションをもって真正面から共産主義へ立ち向かった概説書として、本書の右に出るものはない。また今後、少なくとも邦語において出ることはないだろう」

【目次】

旧版はしがき 
はしがき 

第一章 序 言 
第二章 ロシアの後進性
第三章 ボリシェヴィズム 
第四章 ツァーリズムの苦悶 
第五章 十月革命 
第六章 世界革命 
第七章 一国社会主義 
第八章 結 言 

注 
解 説 木村 汎 

感想・レビュー・書評

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  • ロシアの後進性。それを鑑みずには革命の歴史もソヴィエトの歩みも評価不能だということがヒシヒシと伝わる。
    ソヴィエトの後進性、独裁制を批判するのは容易だが、その背景への理解無くして正当な批判など不可能で、現在のネトウヨ的共産主義忌避が如何に愚かしいかが、このロシア革命史の批判的研究書によって明らかになるのが皮肉でなくて何か。

  • 著者が本書の執筆に勤しんだのは1946年で、初めて出版されたのは1948年であるという。読み継がれた本書が文庫化されたのは1994年で、手にした本は2020年に二次的に文庫化されたという代物である。
    原版が古いので、巻末に「今日の見地に照らして不適切」という表現が使われているというが、巻末にこのように断りが在るのを視るまで、そういう辺りは気にならなかった。最近の文章では視る機会が少ないかもしれない表現が、少し古いモノ故に交っているかもしれないような気がするという程度のことは在ったかもしれないが、気にはならない。寧ろ「集中して短期間で一気に書き上げた“ロシア革命?”という問いへの回答例」という感じで、勢いも感じられる力強い語りに引き込まれ、酷く興味深く読んだというだけである。
    本書を通読すれば、19世紀後半から末というような頃の“革命”への遠い歩みが始まったかもしれないというような時期から、日露戦争期、第1次大戦期、10月革命への歩み、内戦期、第1次大戦後の時期、第2次大戦期というような流れが、史的事実と当時の思潮と或る程度知られている人物達の動向というような様々な側面で、通史的に知ることが叶う。研究者・教員として非常に長く活躍された著名な著者の作なのだが、本当に「力の籠った講義を拝聴」という感でドンドン読み進めた。
    本書の冒頭部に添えられた著者の言によれば、執筆時点に在って、<ロシア革命>と呼ばれる一連の出来事の推移、知られている関係者の動向や思潮の変遷というような通史が満足の行くように纏まったモノに思い当たらなかった中で執筆したのだということであった。そういう状態に在ったのは、“赤”と共産党政権のソ連を敵視して、関係事項を学ぼうというようなことを過ぎる程に抑制されていた、逆に“赤”と危険視されながら社会主義系統の運動を進めようとする人達が部外者を寄せ付けないような感であったという、両面の事情であるかもしれないとされている。
    実はこの冒頭部を読んで、一寸思った。もしかすると「ロシア」に限ったことでもないのかもしれないが…現在に在っても、例えば「<ロシア革命>と呼ばれる一連の出来事の推移、知られている関係者の動向や思潮の変遷というような通史」というような、国外の事象、歴史が「存外に学ばれていない?」というような気がするのだ。殊に「ロシア」に関しては、例えば“北方領土”とか“樺太”という程度の「特定テーマだけを中途半端に取り上げる“編集”」のようなことが罷り通り、共産党政権が“赤”と危険視された流れなのか、ソ連が旗を下ろした頃の混迷というようなイメージが必要以上に増幅されていて、「古い経過が積み上げられて現在に至っている“とある社会”」として客観視されていないかもしれないような気もしている。
    「ロシア」は、好むと好まざるとに無関係に、自身が住む国とは異なる経過を有する“近隣国”である。少し位、色々な事の一部を知りたいものだ。そういう中、「20世紀のあの国の流れ“そのもの”?」という側面も否定し悪い<ロシア革命>を本書のような一冊で復習してみるのも好いように思う。
    実に長く読み継がれている“古典”という価値も高い本書であるが、極最近に改めて文庫化され、手軽に入手して気楽に読めるようになったというのは、非常に善いと思う。

  • マルクス主義思想が、資本主義経済、プロレタリアートが未発達なロシアで、レーニンらボルシェビーキの意思と精神によって変形され 前衛組織のもとでロシア革命を実現したものの、国際的普遍性を持たないのみならず、文化的にも貧困なソビエト型社会主義を作り出していった経過の分析と叙述


    文体が簡潔で読みやすい

  • 世界史については理解が浅く、なぜマルクス・エンゲルスによる共産主義がロシアで華開いたのか、という点が腑に落ちていなかった。
    本書は革命前史におけるロシアという国家の性質からその理由について紐解いてくれる。(そして欧州において共産主義革命が不発だった理由も)
    それにしても1917年前後のロシアの動静は凄まじいものがある。あまりの激動ぶりに目がくらむ。
    その濃厚な革命史が丁寧に整理されており、私のような浅学の徒にもわかりやすい。

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著者プロフィール

猪木正道

一九一四(大正三)年、京都市生まれ。東京大学経済学部卒、三菱信託株式会社、三菱経済研究所を経て戦後、成蹊大学教授、京都大学教授、防衛大学校長、青山学院大学教授を歴任。京都大学名誉教授、平和・安全保障研究所顧問などを務めた。主な著書に『ロシア革命史』『ドイツ共産党史』『政治変動論』『共産主義の系譜』『独裁の政治思想』『評伝 吉田茂』(全三巻)『私の二十世紀――猪木正道回顧録』『猪木正道著作集』(全五巻)などがある。

「2021年 『軍国日本の興亡 日清戦争から日中戦争へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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