雪と人生 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044006891

作品紹介・あらすじ

「科学は、自然に対する驚異の念と愛情の感じとから出発する」(「簪を挿した蛇」)。雪の結晶の研究や人工雪の製作で足跡を残した物理学者の中谷宇吉郎は、寺田寅彦と並ぶ名随筆家として知られている。身近な生活の中にあるさまざまな話題から、科学的な見方とはどのようなものかを説いた作品を厳選。代表作の「雪を作る話」「雪雑記」「ツンドラへの旅」「天地創造の話」「千里眼その他」「立春の卵」など17篇を収録。解説・佐倉統

感想・レビュー・書評

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  •  雪の研究で有名な著者はまた、恩師寺田寅彦と同じく随筆の書き手としても名高い。

     自分の生まれ故郷での想い出を語った、子供時代に上がることを許されて垣間見た「御殿の生活」や、同じく懐かしさに溢れた「真夏の日本海」。
     雪の人工結晶を作る工夫や苦労、楽しさを語る「雪を作る話」、「雪雑記」、静養先の伊豆海岸であがる雑魚を油絵で描き、その色や光の具合いを精密に捉えた「雑魚図譜」。

     戦前の樺太への旅を書いた「ツンドラへの旅」では、カラフトにおいて、岩波新書をモデルにした樺太叢書というものが刊行されていたことを知った。
     また、「天地創造の話」は、昭和19年夏の昭和新山隆起の観測記録である。

     そして、「千里眼その他」、「立春の卵」では、科学者として疑似科学に正面から立ち向かう著者の生真面目さが窺える。

  • ずいぶん前に書店で見かけて、好きそうな匂いを感じとって購入したもののそのままになっていた中谷宇吉郎の『雪と人生』という随筆集を読んでいる。美しい描写にさりげないユーモアが滲んでいて、これがとにかくおもしろい。ところどころでは声を立てて笑っている。

    『夏の日本海』という、少年時代の魚とりの記憶についての一編に書かれているのと同じような、少年らしいときめきを、いくつになっても持ち続けていた人であるというのがよくわかる。そういうときめきを持ち続けていられることが羨ましい。資格の勉強も語学の勉強も、やりながらこれがいったい何になるんだろうと考えてしまっていまひとつ身が入らない私とは大違いである。

  • 2022.04.06 図書館

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著者プロフィール

1900–1962
石川県生まれ。
東京大学理学部を卒業し、理化学研究所で寺田寅彦の助手として勤務。
後に北海道大学教授を務め、雪と氷の研究で新境地を開く。
物理学者でありながら随筆家としても活躍。師と仰いだ寺田寅彦の想い出を綴った「寺田先生の追憶」をはじめ「日本人のこころ」「私の生まれた家」など作品は多数。

「2021年 『どんぐり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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