電子の社会 千夜千冊エディション (角川ソフィア文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044007034

作品紹介・あらすじ

早くからオンラインの編集学校を創立し、編集力を「デジタル」に載せてきた松岡正剛による渾身のデジタル論。コンピュータの黎明期からはじまり、インターネット、ビッグデータ、人工知能、サイボーグ、経済、思想、倫理、そして未来像まで。ますます高度情報化する社会の様相を、著者独自の視点で分析する。

感想・レビュー・書評

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  • 『千夜千冊エディション 電子の社会』
    松岡正剛
    2022年
    角川ソフィア文庫

    広大な電子の大海『千夜千冊』。
    読書人たちはその大海めがけてダイブし
    「デジタルズ」となり膨大なデータに酔いしれる。

    そんな『千夜千冊』から今回選定されたのは
    文字通り「デジタル」。

    20世紀後半から始まるコンピュータ、
    そしてITやネット社会、ロボットから
    人工知能まで網羅し、
    人間と電子の過去から未来まで
    セイゴオ先生のデジタル論を堪能していく。

    「コンピュータの父」と呼ばれた
    チャールズ・バベッジが設計し
    150年後に復元された「階差エンジン」。
    ここから本書ははじまる。
    現代のデジタル社会は昔から予告されていたのだ。

    第二章では、
    ウィーナーの『サイバネティクス』からはじまり
    個人的に興味をもった
    ダナ・ハラウェイ『猿と女とサイボーグ』
    アンディ・クラーク『生まれながらのサイボーグ』、
    そして自身と瓜二つのアンドロイドをつくった
    石黒浩まで登場する。

    続く第三章では、
    いよいよインターネットの世界へ没入していく。
    ドミニク・チェン、ローレンス・シッシグらが登場し、
    『グーグルでアマゾン化する社会』
    『伽藍とバザール』など
    気になるタイトルも目白押しだ。

    ラストの第四章は、
    いま注目を集めている人工知能、
    そしてデジタルの未来まで見ていく。
    果たして2045年頃にシンギュラリティは起こるのか?
    人工知能は人類に福音をもたらすのか?それとも…。

    とかく専門用語が飛びかうジャンルではあるが
    それはそれで苦戦しつつも
    他に楽しめる本がたくさん出てきたので
    気がつけば読み終えていた。

    個人的に全く知識のないサイバネティクスや
    面白そうなアンドロイドや
    人工知能について知れる本を、
    本書で紹介されているもの含めて数十冊ほど
    チェックできたのでそれだけでも
    最大の収穫だった。
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
    ⚫︎目次情報⚫︎

    前口上

    第一章 デジタルただいま準備中
    新戸雅章 『バベッジのコンピュータ』
    フリードリヒ・キットラー 『グラモフォン・フィルム・タイプライター』
    ポール・レヴィンソン 『デジタル・マクルーハン』
    ハーバート・A・サイモン 『システムの科学』
    ジェームズ・カッツマーク・オークス編 『絶え間なき交信の時代』
    ドン・タプスコット 『デジタルチルドレン』
    土屋大洋 『ネット・ポリティックス』
    小川晃通 『アカマイ』
    坂内正夫監修 『ビッグデータを開拓せよ』

    第二章 サイボーグ化する
    ノーバート・ウィーナー 『サイバネティックス』
    トマス・リッド 『サイバネティクス全史』
    ジェームズ・サクラ・アルバス 『ロボティクス』
    ロドニー・ブルックス 『ブルックスの知能ロボット論』
    ダナ・ハラウェイ 『猿と女とサイボーグ』
    アンディ・クラーク 『生まれながらのサイボーグ』
    石黒浩 『アンドロイドサイエンス』

    第三章 インターネット全盛
    アレクサンダー・R・ギャロウェイ 『プロトコル』
    ドミニク・チェン 『インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践』
    ローレンス・レッシグ 『コモンズ』
    ヤコブ・ニールセン 『ウェブ・ユーザビリティ』
    ダン・ギルモア 『ブログ』
    森健 『グーグル・アマゾン化する社会』
    マイケル・ファーティック+デビッド・トンプソン『勝手に選別される世界』
    エリック・スティーブン・レイモンド 『伽藍とバザール』
    武田隆 『ソーシャルメディア進化論』

    第四章 文明/電子機関/人工知能
    池田純一 『ウェブ文明論』
    ジャロン・ラニアー 『人間はガジェットではない』
    松尾豊 『人工知能は人間を超えるか』
    ジェイムズ・バラット 『人工知能』
    ダニエル・コーエン 『ホモ・デジタリスの時代』

    追 伸 デジタル世界観は、まだ提案されていない
    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

  • 暫く前にセイゴオさんとドミニク・チェンの対談本「謎床」を読んで歯が立たなかったので、手を出してみた。
    いつもの千夜千冊エデイションと較べ、セイゴオさんの評価が下がる本が多いと感じる。電子の世界がまだ成熟していないし、来るべき先を完璧に見通すことは難しいだろうからだろうけれど。

    サイバネティックスの意味が判っていなかったと愕然としたり、リナックスなど以前耳にしたなという言葉が出てきたな、そういえばどうなったんだろう。と感じる処も多かった。

    分散化させるTCP/IPと制御を集中させるDNSが相互補完しあい、領土化する構造と無秩序な分散の特質をもたらせている。TCP/IPとかの言葉は最初にパソコンを買った際から目にしていたけど、全然分かっていなかったな。

    グーグルやアマゾンの成功の秘密の元についての話もある。ウェッブページをノードとみなし、語句のリンクをエッジと有向グラフと推移確立行列のアルゴリズムを徹底したとある。ナンのコッチャではあるが、検索を商売にするとはそういうもんなんだな。

    終盤は人工知能の話。巨額の資金を投じた高速コンピュータによる計画が失敗したのち、事象の因果関係を確立的に推論するネットワークの開発など経て、ディープラーニング自己学習が確立した。

    個人的な感想を云えば、マイクロソフトやアマゾンに牛耳られるような社会を望んでいたのかと問われて首肯したくない。SFにあるようにAIと話ができたらいいかな。まずは読書相談?。いや、電子の社会を教えて貰うことかな。

  • もはやここで紹介されている本が古いと感じられる。それでも、視点は鋭い。

  • デジタルに関する様々な話を知ることができ、参考になる。テクノロジーだけではなく、その背景にあることは難しかったり、まとまっていないことが多い。そういった話を編者の視点で知ることができる貴重な内容だった。

  • 千夜千冊エディション 電子の社会
    著者 松岡 正剛
    定価: 1,694円(本体1,540円+税)
    発売日:2022年04月21日 判型:文庫判 商品形態:文庫 ページ数:448 ISBN:9784044007034
    電子の海に揺蕩う社会
    早くからオンラインの編集学校を創立し、編集力を「デジタル」に載せてきた松岡正剛による渾身のデジタル論。コンピュータの黎明期からはじまり、インターネット、ビッグデータ、人工知能、サイボーグ、経済、思想、倫理、そして未来像まで。ますます高度情報化する社会の様相を、著者独自の視点で分析する。
    ※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

    もくじ
    第一章 デジタルただいま準備中
     新戸雅章 『バベッジのコンピュータ』/フリードリヒ・キットラー 『グラモフォン・フィルム・タイプライター』/ポール・レヴィンソン 『デジタル・マクルーハン』/ハーバート・A・サイモン 『システムの科学』/ジェームズ・カッツマーク・オークス編 『絶え間なき交信の時代』/ドン・タプスコット 『デジタルチルドレン』/土屋大洋 『ネット・ポリティックス』/小川晃通 『アカマイ』/坂内正夫監修 『ビッグデータを開拓せよ』
    第二章 サイボーグ化する
     ノーバート・ウィーナー 『サイバネティックス』/トマス・リッド 『サイバネティクス全史』/ジェームズ・サクラ・アルバス 『ロボティクス』/ロドニー・ブルックス 『ブルックスの知能ロボット論』/ダナ・ハラウェイ 『猿と女とサイボーグ』/アンディ・クラーク 『生まれながらのサイボーグ』/石黒浩 『アンドロイドサイエンス』
    第三章 インターネット全盛
     アレクサンダー・R・ギャロウェイ 『プロトコル』/ドミニク・チェン 『インターネットを生命化する プロクロニズムの思想と実践』/ローレンス・レッシグ 『コモンズ』/ヤコブ・ニールセン 『ウェブ・ユーザビリティ』/ダン・ギルモア 『ブログ』/森健 『グーグル・アマゾン化する社会』/マイケル・ファーティック+デビッド・トンプソン『勝手に選別される世界』/エリック・スティーブン・レイモンド 『伽藍とバザール』/武田隆 『ソーシャルメディア進化論』
    第四章 文明/電子機関/人工知能
     池田純一 『ウェブ文明論』/ジャロン・ラニアー 『人間はガジェットではない』/松尾豊 『人工知能は人間を超えるか』/ジェイムズ・バラット 『人工知能』/ダニエル・コーエン 『ホモ・デジタリスの時代』
    追伸 デジタル世界観は、まだ提案されていない

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著者プロフィール

一九四四年、京都府生まれ。編集工学研究所所長、イシス編集学校校長。一九七〇年代、工作舎を設立し『遊』を創刊。一九八〇年代、人間の思想や創造性に関わる総合的な方法論として″編集工学〟を提唱し、現在まで、日本・経済・物語文化、自然・生命科学、宇宙物理、デザイン、意匠図像、文字世界等の研究を深め、その成果をプロジェクトの監修や総合演出、企画構成、メディアプロデュース等で展開。二〇〇〇年、ブックアーカイブ「千夜千冊」の執筆をスタート、古今東西の知を紹介する。同時に、編集工学をカリキュラム化した「イシス編集学校」を創設。二〇〇九~一二年、丸善店内にショップ・イン・ショップ「松丸本舗」をプロデュース、読者体験の可能性を広げる″ブックウエア構想〟を実践する。近著に『松丸本舗主義』『連塾方法日本1~3』『意身伝心』。

「2016年 『アートエリアB1 5周年記念記録集 上方遊歩46景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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