- 本 ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044007164
作品紹介・あらすじ
NHK「100分de名著」で出会った約100冊より、伊集院光が、心に刺さった3冊を厳選。名著をよく知る3人と再会し、時間無制限で新たに徹底トークを繰り広げる、100分de語りきれない名著対談!
■松尾芭蕉『おくのほそ道』──蛙飛びこむ宇宙空間
長谷川櫂(俳人)×伊集院光
■ダニエル・デフォー『ペストの記憶』──伝染病のすべてをあらゆる書き方で
武田将明(英文学者)×伊集院光
■コッローディ『ピノッキオの冒険』──ピノッキオは死にました。でも……
和田忠彦(イタリア文学者)×伊集院光
感想・レビュー・書評
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前作が面白かったので、続編も読んだ。
伊集院光さんと俳人の長谷川櫂さんによる、松尾芭蕉の句の解釈鑑賞は、学生時代に学んだはずの記憶とは全く違い(忘れているだけかもしれないが)、こんなに広い世界を持っていたのか!と心を揺さぶられた。
『ピノッキオの冒険』は、ディズニー映画しか知らない私にとって新鮮であった。
ひねくれ者としては、ぜひ読んでみたいと思った。
円楽さんへの想いが込められている、あとがきは温かな心にさせてくれた。 -
松尾芭蕉の「おくのほそ道」の有名な書き出しは「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」とつまり時間こそが「おくのほそ道」の最大のテーマだと。人間の世界では時間とともに誕生と死、出会いと別れが繰り返される。この虚しい人生をどう生きるかが大命題でした。
ダニエル・デフォーの「ペストの記憶」では、今度のコロナ禍と照らしあわせて語られています。
そして、コッローディの「ピノキオの冒険」では、私たちが思い描いているディズニーのおとぎ話のピノキオではなく、原作は結構辛辣な人生の匂いとか埃まで生々しく語られている。
原作と、訳本、演出されたもの、私たちが知っているのは誰かが手を入れたモノ、そういう意味で原作に触れるということは大事ですな。 -
第1章『おくのほそ道』についてが面白い。伊集院さんと同じように私も、『おくのほそ道』って松尾芭蕉がぐるっと日本を歩いて回って、その地で見たこと感じたことを俳句にした紀行文のようなものだと思っていた。だから、俳句以外の説明文があること、俳句と説明文の配置の妙、盛っている個所もあること、見てもいないし体験もしていない、芭蕉の頭の中のことが書かれていることなど、初めて知ることが多かった。機会があったら『おくのほそ道』読んでみたい。
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ちょうど芭蕉を授業中。でも教科書に載るぶんしか読んでなかったことに気づきました。
ピノッキオの冒険、ペストの記憶、読んでみたいです。 -
名著の話第二弾。
番組のファンなのでつい購入してしまう。
伊集院さんがおくのほそ道をこんなにお好きとは知らなかった。
最後のあとがきが素晴らしかった。
こんな偶然がと思ったけど、
おくのほそ道同様盛ってるかも。
その現実とフィクションのあいまいさが面白い。 -
シリーズ前著もすごく面白かったので、今回もほくほくと読み始めた。『奥の細道』『ペストの記憶』『ピノッキオの冒険』が扱われている。まず選ばれた作品に対して、それが来るの?と思った。『ペストの記憶』はまあ、世相というものがあって、選ばれても納得。でも、後の二冊は?
『奥の細道』は、諄々と語りをつなぐようでいて、ここぞというところに短詩型で、ぐっとフォーカスして切り取った、心動いたものを提示する。それは、タレントとしての伊集院さんの達者な語りの中に、ここを聞かせたい!(あるいは効かせたい!)と思ったところを、ぐっとパッショネイトな『盛った』表現をするのと似ているのかもしれない。『あとがき』に、芭蕉の句碑の前で、故・円楽師匠のために号泣なさったとあるから、楽しい普段の語り口とは別に、伊集院さんの中にある、閑とした心境、深い静けさというか…情の熱さと賢明さの交差する部分にも響いたのだろう。
『ピノッキオの冒険』については、読まずにおとなになり、ディズニー映画も好きでなく来た私であるので、本当に何も知らず、この本で概要を知ったていたらくである。対照される『クオレ 愛の学校』も同様に読んでいない。こちらは、なんとなくタイトルが虫が好かなかった。子供時代から、ひねくれたガキンチョであったのだ。手元にあったのに、読まずにお友達にあげてしまった。
ただ、鮮明に覚えているのは、灰谷健次郎さんが、ご著書のエッセイ(『島へゆく』か『島で暮らす』のいずれかであったと思う。母の蔵書にあったものを読んだのだが、なんとも記憶が定かでない。)で、『クオレ』を、非常に差別的であり、貧しい悪行の少年とされる人物の、いかにも悪く性根の汚げな描写と、主人公の裕福で曇りない、方正な描写が対照的で、こどもに本当に心を寄せた文学ではない、という趣旨の批判をしていらしたこと。大変舌鋒鋭く、憤懣やるかたないという印象を、初読の時から強く持った。今回この『名著の話』でも、『クオレ』には、なかなか厳しい批評が加えられている。しかし、興味深いことに、指南役の和田忠彦氏は、『クオーレ』の岩波文庫版をも訳しておられるのだ。これは、すごく興味深い指摘ではないか。ふたつの作品の何が、どう違うのか。どこが評価されて両者読みつがれてきたのか。あなたは、知りたいとお思いには、ならないだろうか?
読書案内の本というのは、とにもかくにも、紹介した本を読む気にさせてなんぼである。高尚である必要もないし、小難しい必要もない。出会ったその本に寄って行って、ためつすがめつ、その率直な結果を、面白く伝えてくれることが一番の使命である。その意味でこのシリーズ、楽しくて楽しくてたまらない。そして出てきた本はことごとく、読みたくなるのだ。自分がえらそうにここで色々書いてるけど、名著を死ぬまでに何冊友だちにできるか。解っていない本がたんとあるのが、こんなに嬉しくなるなんて。いいのかしら。いや、いいのだ。最高のお楽しみが、まだまだ私を待っている。早く次のシリーズが出ないかなあ? -
毎回のように、テレビで見ている"100分で名著"の裏話。伊集院さんの素直な謙虚な感想が、すごくわかりやすく読み解いてくれている。
ぶっちゃけの感想もなかなか。読んでいて楽しかった。
著者プロフィール
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