科学する心 (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2023年1月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784044007225

作品紹介・あらすじ

科学が日常から遠くなってしまった。暮らしの道具は、便利ではあってもブラック・ボックスとなった。しかし科学とは、五感をもって自然に向き合う姿勢ではなかったか。料理、日時計、昆虫、宇宙から、生命の誕生、進化論、原子力、人工知能まで――。法則と一回性、抽象と具体、科学と文学の間を自由に思索し、ときにその境界をラディカルに揺さぶる科学随筆13編。新たな書き下ろし「環世界とカーナビと心の委員会」を収録。解説・中村桂子

みんなの感想まとめ

科学を五感で捉え、日常の中に潜む自然の魅力を再発見するエッセイ集です。著者は、科学をブラックボックスとせず、身近な題材を通じてその本質に迫ります。料理や日時計、進化論、原子力など多岐にわたるテーマを扱...

感想・レビュー・書評

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  • 学生の頃に読んだ同じ作者の『スティル・ライフ』の冒頭を思い出す。"…世界はきみを入れる容器ではない。世界ときみは、二本の木が並んで立つように、…それぞれまっすぐに立っている"っていうあれ。
    この本では世界が自然に置き換わる。ブラックボックスにせず、五感をもって自然に向き合うことが科学。

  • ウミウシの失敗/日時計と冪とプランク時代/
    無限と永遠/進化と絶滅と愛惜/
    原子力、あるいは事象の一回性/
    体験の物理、日常の科学/知力による制覇の得失/
    『昆虫記』と科学の文学性/
    「考える」と「思う」の違い/
    主観の反逆、あるいは我が作品の中の反科学/
    パタゴニア紀行/光の世界の動物たち/
    環世界とカーナビと心の委員会

    お久しぶりの池澤夏樹さん。考えられたことの半分もわかってないと思うけれど、フムフムとおもしろく読み終えた。

  •  大学時代理工学部物理学科に籍をおいた池澤夏樹の科学するエッセイ。文学作家ならではの五感を大事にした視点から科学をみつめている。もともと新潮社の「考える人」の季刊誌に連載していたが、休誌になり当時読んていて原子力の事をかいていたのが記憶にあった。ネットを見てたらこの連載が一冊のほんになつていたのを見つけ、文庫本を購入した。原子力のエッセイは福島原発を丁寧に事故の原因と経過を教えてくれている。原子力の安全性は不確かで池澤夏樹は原子力には反対している。ユブァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を取り上げたり、料理を題材にしたり、昆虫のこととか、パタゴニアへ旅行して日本の裏側の話など蘊蓄のある話。ネズミの嫁入りを喩えにしてこの地球の生存は弱肉強食ではない。進化論から生き残るのは適者であって強者ではない。ホモ・サピエンスが必ずしも頂点に生物としていても生き残るとは限らないと言っている。AIに振り回された感のある今の科学への僕らの付き合い方が書いていて同感することが多かった。文庫本には生命誌研究の中村桂子さんの解説があり充実したエッセイでした。
     それにしても「考える人」はなぜ休刊したのだろう。

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著者プロフィール

(いけざわ・なつき)
作家。1945年、北海道帯広市に生まれる。小学校から後は東京育ち。30代の3年をギリシャで、40~50代の10年を沖縄で、60代の5年をフランスで過ごす。ギリシャ時代より、詩と翻訳を起点に執筆活動に入る。1984年、『夏の朝の成層圏』で長篇小説デビュー。1987年発表の『スティル・ライフ』で第98回芥川賞を受賞。その後の作品に『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『静かな大地』(親鸞賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)など。その他、自伝『一九四五年に生まれて――池澤夏樹 語る自伝』(聞き手・文 尾崎真理子)、編著に『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』(全30巻)、『池澤夏樹=個人編集日本文学全集』(全30巻)などがある。

「2026年 『遙かな都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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