千夜千冊エディション 源氏と漱石 (角川ソフィア文庫)

  • KADOKAWA (2023年2月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784044007454

作品紹介・あらすじ

平安の『源氏物語』から明治の近代化を経て『夜明け前』に至るまで、日本文学はどのような伝統を引き継ぎ、いかに近代化してきたか。「源氏」という構想の妙を紐解き、古典と近代を繋ぐ、新しい日本文芸史。
「源氏」と「漱石」をつないでみたいと思ってきた。「もののあはれ」と「可哀想だた惚れたってことよ」である。途中には右京大夫、西行、後鳥羽院、連歌、芭蕉、西鶴、井月たちがいて、主人公をあからさまにしないスタイルを試みてきた。しかし「漱石」以降、近代文学は主人公を用意して、その「創(きず)」を描くことにした。何かの「夜明け前」だったのか。

感想・レビュー・書評

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  • 架橋するということではない。

    漱石の『草枕』、漢詩について述べられていた文章は面白かった。
    それ以上に、鷗外の晩年についての考察に、なるほどと思わされた。
    鷗外は、一体どのあたりで「森林太郎」に戻ろうと考え始めたのだろう。

  • 「千冊千夜」からのアンソロジー。「源氏」は「宿世」と物語構造を融即させており、これがロングストリームとの指摘は同感。また、メタモチーフとして紫のゆかりを述べているのは定説です。正剛さんらしく視野を国外にも広げて欲しい。「公家のあはれ」とロココの時代精神との関連はどうでしょう。「源氏」を東アジア文学史に位置付けて欲しかった。白居易グルーブがムーブメントを起こした詩と散文を一体とする文芸活動は、わが国文芸に刺激を与えています。ここを論じて欲しい。結局、研究者たちの論をコラージュして、本居宣長に着地する。これは自らの思う解釈へと導く編集手法の所産であり、編集工学ですね。

  • 必読書

  • 第1章は源氏物語。
    ・紫式部の家が盛んだった祖父の代、天皇親政の時代がモデルになっている。
    ・光源氏の本名は語られていない。
    ・「うた」と「もの」による物語。「もののけ」から「もののあわれ」につながる部分はよく判らない。
    ・罪と愛がもののあわれ=いろごのみを発動させるという論。
    まあ、広大な屋敷の東西南北に4人の女性を同居させるなんて理解し難いよ。

    第2章。
    「とはずがたり」。前半の華麗な男性遍歴。後半は厳島、土佐、讃岐、鎌倉、浅草まで足を運ぶ歌と仏道の道。確かに源氏物語と女西行という人生。この女性の自分語りを古文で教えたら古典嫌いも減るのでは。
    「連歌」。丸谷才一さんのエッセイにも連歌を巻いていたなあ。正直、理解は覚えつかない。
    「其角」。芭蕉の弟子として名前しか知らなかった。

    第3章。
    漱石「草枕」。若い頃に読んで、判ったような判らないような感想を持った。
    近代の数寄の遁世、韜晦趣味と語られる。
    こうした境地は漢文が齎したものらしい。草枕の中に詩作を葛湯に例えている部分があるという。初めはさらさらにして手応えがないが、粘りが出てきて、仕舞いには葛が先方から箸に付着してくる。
    漱石の漢文の本は読んだが、全然わかっていなかった。草枕を読み直そうかな。
    「幸田露伴」。ヨーロッパを必要としなかった最後の日本人とセイゴオさんは評する。娘の文さんの「おとうと」では、息子を溺愛する無力な父親にしか見えないんだが。露伴も読んでいない。
    島崎藤村「夜明け前」。明治維新の王政復古の宣言を信じ、裏切られた父親を描く。そういう物語であることは知っていた。藤村は姪との不倫をまんま私小説にしたと近年、批判されていたこともあり、手を出す気にならなかったのだが。
    篠田一士曰く、20世紀の10代小説のひとつ。読みかどうかは判らないけれど、覚えておこう。

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著者プロフィール

1944年、京都生まれ。70年代に雑誌『遊』編集長として名を馳せ、80年代に「編集工学」を提唱し、編集工学研究所を創立。その後、日本文化、芸術、生命科学、システム工学など他方目におよぶ研究を情報文化技術に応用しメディアやイベントを多数プロデュース。2000年よりインターネット上で「千夜千冊」を連載。日本を代表する「読書の達人」としてブックウェア事業を拡大。編集的な選書と読書空間の企画演出はつねに話題を呼んだ。主な著書に『知の編集工学』『多読術』『日本という方法』『千夜千冊エディション』(全30巻)『日本文化の核心』『別日本で、いい』(共著)ほか。

「2025年 『百書繚乱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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