自閉症は津軽弁を話さない リターンズ 「ひとの気持ちがわかる」のメカニズム (角川ソフィア文庫)
- KADOKAWA (2023年8月24日発売)
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感想 : 14件
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784044007812
作品紹介・あらすじ
「自閉症の子って津軽弁話さないよね」妻の一言から調査は始まった。10年間の研究のすえ妻の正しさは証明され、この変わった研究は全国紙にも載る結果に。それから数年後、方言を話すようになった自閉症児が現れた――。多数者である私たちはどう方言を話すか、相手の意図をどう読み取っているか。そもそも「普通」の発達とは何かを問うことで、ことばの不思議から自閉スペクトラム症を捉えなおそうと試みる画期的ノンフィクション。
第I部 自閉スペクトラム症の振る舞いと認知の謎
第1章 音声の絶対音感者
第2章 自閉症は熊本弁がわからない
第3章 人はどうやってことば遣いを選ぶのか――社会的関係性と心理的関係性
第4章 なぜ、ごっこ遊びでは共通語を使うのか
第5章 印象としての方言
第6章 意図とミラーニューロン――行為を見ることの意味
第7章 意図とコミュニケーション――目標とプランの読み取り
第8章 意図と協同作業――なぜ、意図を読むことが大切なのか
第9章 ルール間の葛藤――社会的ルールとオリジナルルール
第10章 社会的手がかりへの選好のパラドクス
――わからないから注意を向けないのか、注意を向けていないからわからないのか
第11章 伝わる情報、広がる情報――ミームの概念
第12章 共同注意と情報の共有
第13章 もしも自閉スペクトラム症の子が25人、定型発達の子が5人のクラスがあったら
第14章 おさらい
第II部 新たなる謎
第15章 方言を話すようになった自閉スペクトラム症
第16章 再び調査開始
第17章 ケースの実態
第18章 なぜ、自閉スペクトラム症も方言を話すようになるのか
――社会的スキルの獲得と関係性の変化
第19章 自閉症は日本語を話さない
みんなの感想まとめ
自閉スペクトラム症(ASD)と方言の関係を探る本書は、言語習得やコミュニケーションの枠を超え、ASDの認知の特性に迫ります。著者は、定型発達者が無意識に行う「相手の心理を読む」プロセスや、情報処理のメ...
感想・レビュー・書評
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『自閉症は津軽弁を話さない』の続き。前作を読んだとき、“定型発達(TD)は普通・正常、自閉スペクトラム症(ASD)は○○ができない・異常”という意識が前提にあることに違和感を覚えた。別にこれは、著者の松本さんがそういう偏見を持って書いている!と非難したいわけではなくて、自分の意識も含めて、あれ?という気付きを導く違和感を得た、という意味。
その後、横道誠さんのムーミン本で「ニューロダイバーシティ」という概念を知り、この違和感はさらに高まった。そこでこの『〜リターンズ』を読んでみたら、松本さんも「私たちが普通と思っている普通ってなに?」という視座からの考察を深めているように感じた。中でも、「もしも自閉スペクトラム症の子が二十五人、定型発達の子が五人のクラスがあったら」という章は魅力的だった。「なんであの五人は、同じタイミングで先生の方を見るの?なんであの五人は、みんな似たような意見を言うの?ほとんどの子たちは思い思いのペースで過ごしているのに、あの五人は他の子の様子を伺って振る舞いや意見を変えたりしているよ」というふうに感じるのではないか、という思考実験。
私がこれを読んでまっさきに思い出したのは『窓ぎわのトットちゃん』のトモエ学園のこと。そして横道さんの本、これは「ムーミン谷はニューロマイノリティたちのコミュニティ」という仮説に基づいて書かれていて、“安心して自閉していられる”、“いっしょにいるのにひとりでいるような気分でいられる”といった言葉で、住人たちにとっての心地よさが表現されていた。それから自分自身が属したことのあるコミュニティのうち、これに近いものと、そうでないものと、それぞれ思い浮かんだ。私は、「自分はこちらでないと生きられない」とまでは思わないけれど、どちらかといえばムーミン谷で暮らしたい、と今は強く思う(←「どちらかといえば」と言いながら「強く思う」という揺らぎに我ながら笑ってしまう)。
読めば読むほど、普通で正常でマジョリティだとされる「定型発達」などというものが、本当に存在するのだろうかと、謎が深まる。そんなに人は均質化したいの?してるの?みんな違うんじゃないの?どこでどう切るかの問題でしょ?と。
以下は、気になったキーワードやキーセンテンスの備忘メモ。
・社会的ルール(明示的と暗黙的とがある)に比べて、オリジナルルールが強すぎる
・社会性の障害の元にあるのは、社会的刺激を処理する能力の弱さではなく、自発的に社会的刺激に興味を向ける傾向の弱さかもしれない
・ASD幼児が、人とのやりとりは楽しまないがロボットとのやりとりは楽しむという報告がある。ASDは「心理化フィルタ」がうまく働かないため、人の発する多量の生データをそのまま受け取って交流がうまくいかないが、ロボットだと余分な情報がカットされているから心地よいのではないか、という仮説。心理化フィルタが働かないとは、認知粒度が細かいということ。粗く全体を捉えるのが苦手。
・ASDの人の中には、意識的に社会的手がかりに着目することで社会的ルールを獲得し、相手の心を読み取ろうとする人もいる。→本書には書かれていないが、これは「擬態」というやつ?生存戦略?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルから興味を持って読んだけどこの前の本を読んでないから理解度が浅い。
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「普通」に不思議を感じる本
定型発達者は「暗黙の了解」や「相手の心理」を読み取るために注目すべきポイントが自然にわかる、という点はむしろ気にしないでおく情報が多くありそうであり、意識とは多すぎる外界の刺激を処理するために一定の情報を無視する機構という説を彷彿とさせる -
前作の記憶があるうちに!と同じ月に読了。
ASDの言語習得・コミュニケーションのあり方を超えて、ASDの認知全体に触れる内容でとても興味深かった。
筆者も断っている通り限られたサンプル数や標準化されていないテストの利用という制約はあるものの、自閉症の方言不使用に対する要因として挙げられた3点は、理論上納得感があった。
前作で気になっていたnon ASDを前提とした語調については穏やかになっていて、「普通」になるまでの過程とは?に目が向けられていたのは読み心地が良かった。
方言・共通語だけでなく、日本語・英語や外国でも同じ構造が起きることがあるということから研究は続くよう。次作も楽しみ! -
図書館で借りた。
自閉症は津軽弁を話さないの続編。前作も非常に興味深い研究レポートだったが、その出版を踏まえての追加話がまた興味深い。説を覆す「方言を話すようになりました!」といった話などから研究が更に進んだという本書。単純そうで難しいテーマなんだと気付かされる話が盛りだくさんだ。 -
医学部分館2階書架 : WM203.5/MAT : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170738
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493-M
文庫(小説・エッセイ以外) -
おお、続編がでたのか、と店頭で見つけて即入手。本棚を調べてみると、どうも前の方もまだ読了していないようなのでまずはそちらを発掘せねば。
著者プロフィール
松本敏治の作品
