改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

著者 :
制作 : 鵜月 洋 
  • 角川学芸出版
3.83
  • (34)
  • (37)
  • (43)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 524
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044011024

作品紹介・あらすじ

巷に跋扈する異界の者たちを呼び寄せる深い闇の世界を、卓越した筆致をもって描ききった秋成の本格怪異小説の数々。崇徳院が眠る白峯の御陵を訪ねた西行法師の前に現れたその人は…(白峯)。男同士の真の友情は互いの危機において試された(菊花の約)。戦乱の世に7年もの間、家を留守にした男が故郷に帰って見たものは…(浅茅が宿)。男が出会った世にも美しい女の正体は蛇であった(蛇性の婬)など、珠玉の全九編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 内田樹さんが、たしか村上春樹さんの書評??書いてるのを読んだときに、

    雨月物語の吉備津の釜との関連を挙げていた気がして、それで気になって読んでみた。

    もともと小学校の時に読んだことがあって(もちろん小学生用に訳されているやつね。)読んだ気になってたんだけど、まぁ年月を経て読んでみるとまた違った見え方がして面白いというか。


    多分、小学生の頃は「ちょっと怖い怪談昔話」くらいに読んでいたと思う。もっと子供を怖がらせる手法にとんだ現代の怪談話はもっとたくさんあったから、雨月物語が特別怖い話なわけではなかった。


    今読んでみるとどうだろう。村上春樹になぞらえて考えながら読んだのもあるかもしれないけど、

    「あっちの世界」と「こっちの世界」のつながりが曖昧で、それをふと超えてしまった日常の話、というようにとらえたって感じかなぁ。

    最近、思うのよね。そんなに「あっち」も「こっち」も隔てのあるものではないと。それは「死」を軽く考えてるとか、そういうわけじゃなくって、やっぱり「こっち」で生きてる人が、「あっち」に行ってしまうことは大きなことで、どんなに灯が潰えてしまいそうでも、そこに足を踏み入れそうになっている人に、簡単に行ってほしくはない。二度と「こちらの姿」では会えないというのは、大きなこと。

    ただ、「あっち」も「こっち」も、分断された世界なんかじゃなくて、ふと踏み入れられるような身近さを、近頃感じる。

    だから、「そういう話には慣れているの」という意味じゃなくて、もっと自然に「そういうこともあるわよね」という感じで、このお話を読んだ気がしました。

    とりわけ夜。「あっち」と「こっち」が混ざり合って、この世ならざるものがふとそばにいると感じるあの感覚。

    私は、幽霊的な意味で金縛りを信じてはいないのだけど、小さいころからよく金縛りにはあっていて、あれは脳が目覚めてるのに、体が眠っている感覚だから、無理やり体を動かそうとすると元に戻ったりとか、そういうのは普通にあったのよね。あの感覚「トレインスポッティング」で、確か主人公が薬でトリップするときに、ベッドに沈んでくようなシーンがあったんだけど、あれに似てる。ただあのまどろみの中で、普段とは違う金縛りの感覚で、おなかから太ももあたりがずしって重くなって、何か視線のようなものを感じる時とか、耳鳴りがするときとか、「あ、これは目を開けちゃダメなやつだ」とか、思う時があったのを思い出す(今もないわけではないけれど)。

    幽霊とか見たことないし、そのくせ嘘だってわかっていても、怪談話とか大嫌いだし、「世にも奇妙な物語」とか未だにトラウマの人間だし、「幽霊が見える」という知り合いがあんまりに胡散臭いので、「そういうのって自分の見えたものを都合のよいように合理化する一種の思い込みだよ」とか思う人間なのだけれど、

    「見えないけどいる」という感覚や「その人を離れて場所に残る思いの強さ(私は多分これを幽霊と呼んでると思う)」は、信じてる。

    あら。オカルトみたいなレビューだな。

  • 戸時代に書かれた古典。
    一度読んでみたいと思っていたので読めてよかった。根性がないので現代語訳を読んだが。
    怪異テーマにした短編集もので、幻想小説とも言えるかもしれない。

    魚になって水中で遊ぶ僧、遊女の容姿を水面に映った桜の影にたとえるなど清清しさを感じさせる一方で、恨みや怪異、血生臭さを併せ持っていて個人的に好きな雰囲気だった。
    和の闇を感じさせてくれる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「幻想小説とも言えるかもしれない。」
      人の業と言うか情念と言うか、当時の人には、もっと深く心に残ったんじゃないかと。勝手に思っています。
      そ...
      「幻想小説とも言えるかもしれない。」
      人の業と言うか情念と言うか、当時の人には、もっと深く心に残ったんじゃないかと。勝手に思っています。
      それから「春雨物語」も人間臭くて好きです。。。
      2013/03/28
    • サイさん
      なるほど……
      江戸時代の人はきっと現代に生きる私よりもきっと繊細な感受性があったのでしょうね。


      春雨物語はちょっと読んでそのまま本を返却...
      なるほど……
      江戸時代の人はきっと現代に生きる私よりもきっと繊細な感受性があったのでしょうね。


      春雨物語はちょっと読んでそのまま本を返却してしまったような気がしますので、また読み返してみます。
      2013/09/07
  • 前々から気になってた本。やっと読めた。 もっと恐ろしい話かと思ってたけど、現代訳で読むとそうでもないなあ。ところで菊花の約って雨月物語だったのか

  • 白峯 
    菊花の約
    浅茅が宿 
    夢応の鯉魚
    仏法僧(秀次)
    吉備津の釜
    蛇性の婬
    青頭巾
    貧福論

    文體很像接近漢文又大量引用典故,好像在讀中國文人的書,很熟悉。這位作者的文體讓我感覺他的大腦應該有五成以上都是用中文思考並寫作的感覺,絕對有出色的漢文能力!!而前幾篇讀起來有點像唐人傳奇或聊齋的感覺。第一篇和仏法僧都屬於個人覺得相當有真實感的故事...鯉魚那篇在水裡翱游感覺還蠻開心的。吉備津の釜跟蛇性の婬(很像白蛇傳)超級恐怖!連長谷寺觀音都壓不住的蛇精。青頭巾也寫得讓人毛骨悚然。貧福論是岡左內跟金的妖精的對話,妖精講話還頗有道理的,這對話感覺很歡樂啊!

  • 溝口健二の映画でしか知らなかった物語。
    映画では描かれなかった7編も興味深く読むことができる。全編、怪異小説とは言っても恐怖より悲しみを感じる。
    原文と現代語訳の両方が楽しめる良書。

  • 江戸時代のホラー小説集。日本のホラーならではの恐怖と悲しみに彩られた、現代にも通じる幻想・怪奇小説です。

  • 江戸時代に出版された、怖い話・不思議な話の短編集。
    9話すべての現代語訳が前半にあり、各話の最初にテンポがよくて短いあらすじが紹介されています。原文もちゃんと後半に収められていて、この構成がとてもいいです。さらっとしたあらすじのあとで物語を読んで内容を楽しんで、それから読む原文は、筋が分かっているだけに内容がすんなり入ってきながら古文の響きやリズムを楽しめます。
    他の出版社のバージョンは読んでいないですが、ソフィア文庫おすすめです。

  • 構成は前半に現代語訳、後半に校注つきの原文になっていて、ぶつ切りでない分、また成立が江戸後期ですので中世のものよりは読みやすいと思います。
    解説によると日本や中国の古典を下敷きにしているとのことなので、ここから元になった話に進むのもよいかと思います。
    一編が短いですから、原文にもチャレンジしてみようって気にもなりました。
    怪異小説の好きな方にはおすすめです。自分は西行と崇徳院の出てくる「白峯」がよかったです。「吉備津の釜」の磯良、「蛇性の婬」の真女児といった女性も印象に残りますね。

  • 江戸中期に書かれた怪談短編集。

    解説を読むと源氏物語、今昔物語集をはじめ、和漢古書の引用がいたるところに散りばめられているそうですが、残念ながら無教養で、ほとんど分かりませんでした。単なる物語としても楽しめますが、研究者として出展を解き明かしていくのも楽しいだろうなと思います。

    それぞれのストーリーは能や歌舞伎で聞いたことがあるようなものが多く、なじみやすかったです。

    以下、各物語の簡単な覚書。

    『白峯』
     崇徳院の霊と西行とのやりとり。
    『菊花の約』
     通りすがりの旅人を親身に看病したのが縁で義兄弟の契りを契りを結び、再会を約して分かれるが、幽閉された義兄は約束をたがえまいとするために自害し、霊となって義弟に会いに行く。
    『浅茅が宿』
     妻を置いて一旗揚げに都に出た夫が、半年で変える約束のはずがいろいろあって帰ってこれず、七年も経ってから里心がついて帰ってみると妻は。
    『夢応の鯉魚』
     魚の絵を描くのが得意なとある僧は、ある日自分が魚になって琵琶湖を自由に泳ぎ回る夢を見る。空腹からつい釣り餌に食いついてしまって。
    『仏法僧』
     行き当たりばったりで高野山に詣でたとある男が、関白秀次と家臣たちの亡霊の開く酒宴に参加。
    『吉備津の釜』
     釜に湯を沸かして、うなり声があがるかどうかで吉凶を占う釜占い。凶と出たのに結婚した女が怨霊になって夫とその相手をとり殺す。夫の死に様の描写が凄惨。
    『蛇性の淫』
     蛇が美人に化けて気に入った男をたぶらかす。追い払っても追い払っても近づいてくる。最後は高徳な僧の力で退治。
    『青頭巾』
     旅先から連れ帰った稚児に溺れ、稚児の屍肉を喰らい、鬼と化した僧が、証道歌の二句の解そうとしたまま骨になる。
    『貧福論』
     蒲生氏里の家臣と黄金の精とのやり取り。

  • 日本の心霊、怪奇ものの先駆けと一般的に言われているけど、ちょっと違うと思う。あえて表現するなら「感動的奇談」かな。とにかく怖いけど楽しい。

全51件中 1 - 10件を表示

プロフィール

大阪府生まれ。1734(享保19)年~1809(文化6)年。江戸後期の読本作者。歌人、茶人、俳人、国学者でもある。『雨月物語』は5巻9篇で構成され、1776(安永5)年に出版された。

改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)のその他の作品

上田秋成の作品

改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする