曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島 現代語訳付き (角川ソフィア文庫 51)
- 角川学芸出版 (2007年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044011031
作品紹介・あらすじ
徳兵衛とお初(曾根崎心中)、忠兵衛と梅川(冥途の飛脚)、治兵衛と小春(心中天の網島)。恋仲になった男と女たち。女はいずれも苦界に堕ちた遊女。男は女を救いたい。募る恋情、行く手を阻む浮き世のしがらみ、義理、人情。追い詰められた二人を待ち受ける運命とは…。元禄16年の大坂で実際に起きた心中事件を材にとった「曾根崎心中」ほか、極限の男女を描いた近松門左衛門の世話物浄瑠璃の傑作三編を所収。「あらすじ」付きで読みやすい現代語訳付き。
感想・レビュー・書評
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古典にきちんとした現代語訳がついていて手頃な文庫本はこのシリーズくらい。当時に恋愛という言葉概念がなかったことを考えれば、人情と恋慕の物語。死ぬほど恋しているのになんだか軽い。それも江戸時代の感覚か。
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近松門左衛門の浄瑠璃3作を収録した本。
現代語訳と本文がそれぞれ収録されています。
どの作品も人の恋路を描いた作品で、
恋する気持ちってどの時代も変わらないなということを改めて実感します。
死ぬことで結ばれたい、現世ではなく来世で添い遂げたいと思うほど強く思いあう姿は切なくて美しいなと思います。
死んだら悲しむ人がいるというのを分かった上で、それでも自分たちの愛を選んでいるので切なさは倍増です。
きっと周りの人のことを考えないで死のうとしているなら、ここまで感動的にはならずただの身勝手だと思うんだろうなぁと感じました。 -
読みやすい現代語訳の後に原文が来るので分かりやすい。
原文もリズムが良くて読みやすかった。
3組の男女の堕ちる理由は全て違うけれどどの作品も男に引き摺られて堕ちる女の姿が哀れ。 -
人形浄瑠璃や歌舞伎で触れてきた物語。
一場面ずつでしか味わってこなかったものを、初めて通して読むことができた。
前半は現代文、後半が原文と注釈がありわかりやすい。
初めて近松作品に触れる方にはオススメの文庫本。 -
再読
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『曾根崎心中』は文楽で見ていたが、読むのは初めて。他に『冥途の飛脚』と『心中天の網島』の有名作を収録。校注を読み終わってから現代語訳を読むようにしたが、やっぱり難しい。訳があってよかった。しかしどの話も切ないなぁ。お初・徳兵衛、梅川・忠兵衛、小春・治兵衛と対で語られる二人の転落物語だし、当時はかなりホットなゴシップだったのだろうが、なんとも美しく描かれている。
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2018.7.20~7.30 再読。
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有名どころの3編が掲載されています。こなれた現代語訳なのでとても読みやすく臨場感があります。
元々冥途の飛脚を目的に読んだのですが、自分のメンタリティの関係で、転落していく主人公に対して見てられない感じがして、思った以上に楽しめなかった自分がいました。共感性羞恥が発動されてしまったような気がします。自分自身のどこかに、自分もこの主人公のようにふとしたはずみで転落してしまうのではないかという意識があるのかもしれないと思った作品でした。単純に悲しい話の時は、何ともない事が多いのになぁ。 -
近松門左衛門をはじめて読んでみた。
浄瑠璃の知識もほとんど無く読んだのだが、なかなか面白い。
文章で読んでこれだけ面白いと感じるのだから、浄瑠璃で観たら更に面白いのではないかと思う。
所謂「心中物」であるので無常観をあらわす仏語なども頻出したり、ことばの掛け合わせなどもあり、意味をくみ取るのにだいぶ苦労する。
本書は原文の雰囲気を損なわない秀れた現代語訳があるので、それを頼ることが可能である。
原文にも細かな校注があり、とても素晴らしい書籍だ。