知っておきたい日本の神様 (角川文庫ソフィア)

著者 :
  • 角川学芸出版
3.33
  • (15)
  • (42)
  • (91)
  • (11)
  • (4)
本棚登録 : 649
感想 : 64
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044057015

作品紹介・あらすじ

八幡神社・天神社・稲荷神社などは、なぜ全国各地のどこにでもあるのか。近所の神社は、どんな神様をまつっているのだろうか。知っているようで知らない日本の神様を一堂に会し、その由来、系譜、ご利益のすべてを解説。お参りしたい神様がわかる、神社めぐり案内の決定版。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 馴染み深い稲荷神社ですら、なんていう名前の神様がいるのか知らなかったくらいだったのが、妙なきっかけで興味を持ったので、入門として手に取った1冊でした。
    神様が個々の性格を身につけていった経緯を、地域や有力氏族の歴史と一緒に説明してくれてあるので、分かりやすかった。

    日本の黎明期以降にできた、実在人物を祀った神社や七福神の話まで網羅していて、充実した内容。
    七福神っていろんな国や宗教の神様が一緒になってるんですね。知らなかった。悪く言えば節操ない、よく言えばおおらかな日本のそういうところが好きです。

  • こんな書籍に巡り会えたからこそ「遷宮」なんて言葉がさらに身近になった。

    司馬氏の書籍に触れているうちにその言葉は自分の目の前に現れた。おそらく「この国のかたち」の中であったと思われるが、司馬氏がドナルド・キーン氏の前で遷宮の話を持ちだした時、キーン氏は「ああ、私は前回の時にいましたので。」とまるで街頭テレビで見かけたかのような軽々しさで答えられたというなかば笑い話のような逸話が含まれていた。その司馬氏がご存命中に訪ねられたその時から今年こそが20年めなのではないかと色めきだってはみたが、実際のところは来年であった。

    日本人になられたキーン氏は足を運ばれるのであろうか、40年ぶりに。あわよくばその渦中に立っていてみたい、なんて想像もふと湧いてくる。

  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • 日本の神社について、神様について、神道について、簡潔によくまとめられており、永久保存版的な著作。古事記、日本書紀をはじめ神話の時代から、東照大権現、明治神宮、東郷神社に至るまで、神様の体系やいわれがよく理解できた。また、お稲荷さんはなぜキツネなのか、春日大社はなぜシカなのか、動物と神社の関係についての記述も面白かった。ただし、文庫本のため、その分量から、それぞれの記載が短く、物足りなさを感じる箇所もあった。

  • H29年度イベント「ブックリンク~本でつながる心と心~」で、中学生が紹介してくれた本です。

  • 歴史本を数多く書いている有名な先生で、わかりやすく書いてはいるんだろうが、説明が省略しすぎて結果間違った記述になっている箇所もある。歴史本は複数を読み比べないとダメだなと痛感した。神社の話が多く、思想的な話は少ない。

  • 日本の神様について,おおまかに知りたいのであれば,簡単に読めるので,良いと思う。
    あたりまえだけど,同じシリーズで出ている,「知っておきたい日本の神話」とかぶるため,物語も一緒に楽しみたいのであれば,「~神話」のほうがおすすめ

  • 神道の神々は、元々は、各村落や豪族がそれぞれに崇めていたもの。大和朝廷も、当初は土地の守り神である大物主神を祀っていたが、全国統一する際に、新たに天照大神というより上位の神を祀ると共に、各地の神々をその配下の格下の神へと序列化したという(序列に取り込まれなかった神々も多かったとのこと)。神道の神々が種々雑多で複雑な関係に有るのは、後付けで同一化や系統化が行われたためだそうだ。
    天岩戸の物語は、大王が治める国の安寧を犯す者が出たら太陽が姿を消すこともありうるという意味とのこと。要するに、皇室の神性や権威をを示すストーリーだったんだ。これは知らなかった。

  • Fri, 04 Dec 2009

    最近の日本人は 旧約聖書の世界の始まりは知っていても,
    ギリシャ神話はしっていても,
    日本の神話を知らなかったりする.

    西洋文明がリードしてきた近代化が環境・資源問題,国際安全保障問題等で壁にぶつかる中,自然共生型の思想が注目されているが.
    青い鳥は すぐそばにいる.

    というわけで日本の神道だ.
    さてさて,みなさん,お忙しい中,
    今更,日本の神道を勉強しようとおもってもそんな時間は無いかと.
    とはいえ, 正月にはおみくじ引くし,受験と交通安全くらいはお守り買うでしょ.

    日本人は宗教心がないとか 西洋来の人は言うが,
    ぼくは まったくもってそんなことは無いと思う.
    まさに,神道は 日本人のベースを形成している宗教なのではないか?

    「え?そんなことないよ.おれ,神道なんてしらねーし.墓とか参るし,あれ仏教でしょ.クリスマスはプレゼント買うよ.第一,洗礼みたいなのもしてないし~.」

    とはいえ,多くの日本の人は
    # もちろん ハッキリ宗教観をお持ちの方は除く

    「木々に包まれている場所に神聖さや安らぎを感じる」
    「神様に願い事をしていたら,それだけで望みが叶うとか,そんなの嘘くさい」
    「長く使ってるものとか,なんかそれ自体に なにかが宿る気がする」
    「ホント尊敬すべき過去の偉人とか,すげーソフトウェアとかカミだよねー!」
    「べつにいろんな神様がいて,いーんじゃねぇー.人生イロイロ,神様イロイロだよ」

    と,いう風な ゆるさと現実主義,自然や物との共生観 を根っこに持っていたりするのではないだろうか?
    これが,しばしば,現代都会人に田園・山村風景へのノスタルジーを生んだりする.

    ちなみに,上記は,大体,僕が共感するものでもある.

    とまあ, 上に書いたのが 僕が理解しているところの 神道の 宗教的ニュアンスなんですよね.
    もちろん,時代や派によって,天皇中心支配の色を強めるための機構や,その他もろもろが入るので,全ての神道がそうだとは全く言わないが,

    よく,「宗教的寛容」なんて事を言うが,神道は歴史的に 超寛容, てか無節操なところもある.
    日本は「輸入文化だ」 なんて事もいうが, 最近それって違うな っておもう

    日本の強みは輸入ではない 「消化」 だとおもう.
    外から,引っ張ってきた全く関係ないものを 自らの思想体系,生活・文化の中で再解釈し,位置づけ,自らの物として消化してしまう.

    音楽シーンでも,日本で定着したHip-Hopは最早ビルボードのそれではない(僕の感覚による).
    # なぜ,Hip-Hop が「おかんありがとう!」みたいなメッセージソングになるんだ!!?
    # めっちゃ柔らかくなってるし・・・.

    で,本書なんですが,
    日本の神道といろんな神様を,少ない頁数の中で
    網羅的に概説しています.

    次々に神様の名前や由来や,どういう風に信仰されていったかが,
    書いてある.

    神様の中には,各豪族の先祖的なものもあれば,海外からやってきたものもあるし,
    富士山みたいに”山”が信仰されたものもあれば,明らかに仏様もいる.
    それから,徳川家康や菅原道真みたいに,神様になっちゃった人もいるし
    明治に入ってから,戦死者をまとめてまつった 靖国もある.

    まぁ,ほんとイロイロ 
    海外から来たのなんて, オリジナルは悪い神様が なんか,こっちにきて,実はイイヤツ!みたいな 変化を遂げた物もあるし.

    「うちの神様って,実はインドの○○○といっしょなんですよ!」
    って事で融合を果たしたものもある.

    ほんと,その柔軟さには笑うとともに,うなずいてしまう.

    というわけで,ゆるい神道って,いいなと思うわけですよ.

    灯台もとくらし.

  • 歴史的な観点から神社や神を系統立てて説明しているので、わかりやすかった。

    神道は縄文人の精霊崇拝から発達したもので、縄文的要素を多く残している。弥生時代になると、田畑を開拓した先祖を神としてまつるようになり、日本神話で人々に農業技術を教えた大国主命を生んだ。大和朝廷が起こると、大王の祖先神が精霊を指導する有力な神とされ、それをまつるために前方後円墳がつくられた。王家の祖神ははじめ大物主神とされていたが、6世紀に王家の勢力が拡大すると天照大神とされるようになった。平安時代半ばに武士が台頭すると、天皇は皇族を有力寺院に送りこみ、各地の神社を従わせる形がつくられた。

    ・出雲大社がまつる大国主命は、国づくりましし大神。
    ・大和朝廷の王家が三輪山で始めた祭りを受け継いだ桜井市の大神神社は大物主神をまつる。
    ・伊弉諾尊は淡路島の一部でまつられた神で、国生みの話が朝廷に取り入れられたために天照大神の父神とされた。
    ・出雲の地方神であった素戔嗚尊をまつる八坂神社は、仏教の聖地である祇園精舎の守り神である牛頭天皇に対するインドの祇園信仰と結びついて全国に広まった。

    ・稲荷神は五穀豊穣をもたらす神であったが、室町時代に商人の勢力が拡大すると商売の神としての性格を持つようになった。
    ・八幡神は平安時代後期に清和源氏が信仰し、鎌倉幕府をひらいたことをきっかけに全国の武士に広まった。
    ・北野天満宮は菅原道真の祟りを鎮めるために建てられ、江戸時代の朱子学者が天神信仰を持つようになり、学問の神と変わっていった。
    ・春日大社がまつる天児屋根命は、中臣氏と藤原氏の祖先神で、天照大神に仕えた祭官の神。
    ・漁業の神や航海安全の神とされた蛭児神は恵比寿神として西宮神社でまつられ、室町時代に大阪湾沿岸の都市が瀬戸内海の交易によって栄えると、商売繁盛や金運をもたらすとされるようになった。
    ・大黒天は、バラモン教の三大神のなかのシヴァの化身。最澄が延暦寺の守護としてまつった。
    ・弁財天はガンジス川の女神で、川から引いた水が農作物を育てることから農業の神、財産づくりの神とされた。北九州の宗像の航海民がまつった海神のうち、美貌の女神とされる市杵嶋姫命が弁財天と融合した。この信仰が瀬戸内海沿岸に広がり、市杵嶋姫命の神名をとった厳島神社を平氏が信仰して各地に広がった。

    ・祇園祭は、室町時代に生まれた町人の団結力を高めるために生み出された都市の祭り。

全64件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大大学院博士課程修了。文学博士。元明治学院大学教授。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組んでいる。著書に『律令太政官制の研究』『日本古代国家と律令制』(ともに吉川弘文館)など専門書のほか、『歴史書「古事記」全訳』『古事記・日本書紀を知る事典』(ともに東京堂出版)、『古事記と日本書紀 どうして違うのか』(河出書房新社)など多数。

「2022年 『古代史入門事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

武光誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×