東条英機と阿片の闇 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • 角川学芸出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044058050

作品紹介・あらすじ

日米開戦の是非が問われたとき、東条の思考は、事態の安定化に向け、さらなる既成事実を積み上げていくのみに限られていた。「断じて負けぬ。負けてたまるもんか!」。生真面目で規律至上主義、一度決めたことは迷うことなく実現に全力を傾ける。その根底にあるのは軍組織の保持と共産主義への恐怖、ただその二つ。そして背後には阿片の黒い金が蠢いていた-。戦時宰相「東条英機」と昭和史の闇に迫る、渾身のドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 東条英機がヒトラーと違う点は
    彼が己の意志に基づいた政治的活動によって首相の座を得たわけではなく
    単に他のなり手がなかったからお鉢が回ってきただけなのだ
    というところにある
    しかもその時、東条に期待されていたのは日米戦の回避という役割
    じっさい、彼も己の適性省みずやれるだけのことはやった
    むしろ問題は、そういう仕事を陸軍の代表者にやらせるしかないという
    当時の日本の異常な状況にあったように思う

    そういう異常事態を招いた原因は、大陸における陸軍の暴走であり
    ゾルゲ機関の暗躍、共産主義の台頭、
    それに伴う内乱への恐怖心などであった
    いずれにしても、大陸との繋がりが招き寄せたもので
    つまり、大陸進出こそが日本にとっての「阿片」であった
    と、こじつけることもできなくはないが
    それにしたってこのタイトルはないんじゃないかと思いました

  • タイトルに「阿片」とあるが、東条英機と阿片とのつながりについてはあまり書かれていない。阿片については、佐野 眞一著「阿片王―満州の夜と霧」の方が詳しい。また阿片と関わる満州についても同じく佐野 眞一著「甘粕正彦 乱心の曠野」の方が詳細である。
    東条英機に関しては、終盤の東京裁判のあたりが読み応えがあった。
    太平洋戦争に関わる昭和史については他の書籍と重なる部分も多いが、1冊に要約してまとめた本としてみると、とても読みやすいと思う。
    あとがきにある、新聞の責任や社会の責任については考えさせられる。現代でもあまり変わりはない。

  • 阿片の謎というほど阿片について長くは書かれていないものの、非常に読みごたえのある一冊です!

  • 阿片の影がちらほらと
    最後の裁判で
    戦争責任は自分にあると主張した点が良かった
    民主党の面々に読んでもらいたい
    と思ったよ

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著者プロフィール

太田 尚樹:1941年東京生まれ。東海大学名誉教授。専門は比較文明論。著書に、『パエリャの故郷バレンシア』(中公文庫)、『満州裏史─甘粕正彦と岸信介が背負ったもの』(講談社文庫)、『死は易きことなり─陸軍大将山下奉文の決断』(講談社)、『伝説の日中文化サロン 上海・内山書店』(平凡社新書)、『満州と岸信介─巨魁を生んだ幻の帝国』(KADOKAWA)、『ヨーロッパに消えたサムライたち』(ちくま文庫)、『満洲帝国史─「新天地」に夢を託した人々』(新人物往来社)、『支倉常長遣欧使節 もうひとつの遺産─その旅路と日本姓スペイン人たち』(山川出版社)などがある。

「2022年 『南洋の日本人町』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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