中原中也との愛 ゆきてかへらぬ (角川ソフィア文庫)

  • 角川学芸出版 (2006年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (258ページ) / ISBN・EAN: 9784044060015

作品紹介・あらすじ

女優志望の泰子には、16歳の詩人中原中也との運命的な出逢いがあり、さらに評論家小林秀雄との壮絶な出逢いと別れがあった。「奇怪な三角関係」(小林秀雄)といわれた文学史に残る伝説の”宿命の女(ファム・ファタール)”長谷川泰子が語る、衝撃の告白的自伝。「グレタ・ガルボに似た女性」としても注目される。昭和初期の文壇を知る資料としても貴重な一書。
巻末エッセイ・川上弘美
解説・村上護

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

運命的な出逢いと別れを経た長谷川泰子の人生が、赤裸々に語られる自伝的な作品です。女優志望の彼女は、詩人中原中也との関係を中心に、評論家小林秀雄との複雑な三角関係を描き出します。泰子の視点から語られる中...

感想・レビュー・書評

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  • 先日読んだ『汚れつちまつた悲しみに…』関連で。

    年表によく出てきていた長谷川泰子の自伝。
    いかにして中原と出会い、付き合って来たか。あくまでも中原は登場人物の1人として書かれているけど、別れてからもずっと頼りにしていたことがわかる。
    泰子は、はちゃめちゃな人生送ってるようでいて、本人はそうとも思っていないのが、吹っ切れてるなと感じた。
    中原中也の人物像は予想外だったな。別れてからも、泰子と仲良くしている男性に亭主面して関わってきたんだ。だからこそ泰子も助けられていたんだけどね。

    小林秀雄との"奇妙な三角関係"がメインだろうけども、泰子の一生で見ると、角はもっと多いような気がする。

  • 数少ない詩集を読んだ中で中原中也が好きだったので
    あと、映画が公開されているとか

    昭和初期を生きる女性長谷川泰子
    その生き方を赤裸々に語ったインタビューをまとめたもの
    おそらく長谷川さんは特殊な部類なんだろうけど、昔の人は熱量が違う
    今と違って娯楽が限られているから、人間関係も一つの娯楽のような気もする。

  • 映画「ゆきてかへらぬ」公開前に読もうと思いながら、本日読了。映画を観ていないのでわかりませんが、カバーの「映画では語られない、素顔とその後の人生」が気になって購入。長谷川泰子の告白。小林が「あなたは中原とは思想が合い、ぼくとは気が合うのだ。」と言ったとのこと。長谷川は「人間を懐かしむって気持ちは、誰にでもあるんじゃないでしょうか。それをふつうは日常ごとで、みんなさらっと流して生活しているようだけど、文学やる人はそうじゃない場合が多いんです。もっと深く考えるわけです。それが思想というもんじゃないでしょうか。」という。中也と深いところで通じ合っていたのだろうなと思う。

  • 自らのための備忘録

    人生で後悔することの一つは、なぜ若いうちに本書を読んでおかなかったかということ。それほど本書は素晴らしかった。

    もっと若いうちに本書を読んでいたら、他の作家や演劇に触れる際に、違った見方ができたのではないかと思いました。


    本書は、著者の村上護が1974年(昭和49年)2月から3月にかけて、長谷川泰子に直接インタビューしたものをまとめたもの。当時長谷川泰子69歳、著者32歳。

    私は長い間、長谷川泰子という人物は、日本文学史上の二人の巨人「中原中也」と「小林秀雄」を手玉に取った不届き者だと思い込んでいました。いつどこでそのようなイメージを得たのかわからないけれど、本書を読んで、長谷川泰子自身が極めて魅力的な人物だったのだということがよくわかりました。

    小林秀雄が去ったあと、彼女の見守り役は河上徹太郎であり、大岡昇平であったこと(p.131)ということからも、彼女の魅力は「本物」を惹きつけてやまなかったのでしょう。

    また、中原中也にとって彼女がどれほど大切だったのかがよくわかりました。彼の人生の背骨には「詩」があったのかもしれないけれど、血肉のような存在として彼女があったのかと感じました。

    もちろん読者の関心は、中原中也と小林秀雄との三角関係にあることは間違いないことで、そしてそれについて期待以上の内容になっていますが、本書はそれのみに限らず、大正から昭和にかけての日本文学界、演劇界、芸術界全般について極めて貴重な証言が連なっていると感じました。

    次から次へと、これでもかというほど著名人が登場してきますが、それがまた例えば「中村屋」の交流(p.141)や、「四ツ谷のレストラン」(p.142)や、「新宿のムーランルージュ」(p.146)などで、彼らの交友関係がわかるのも興味深いと感じました。


    備忘録として、角川文庫のページ数と初出の登場人物の名を記しておきます。尚、「#」は中原中也の詩の引用、「*」は他者の作品の引用です。


    長谷川泰子
    090#「盲目の秋」
    010#「履歴書」
    010中原中也
    010永井叔(バイオリン弾き)
    012倉田啓明(表現座)
    015大岡昇平(小説家)
    016森静子(女優)
    018葉山三千子(女優)
    018岡田時彦(俳優)
    020#「頑是ない歌」
    029岡田嘉子(女優)
    029竹内良一(俳優)
    034滋野清武男爵(パイロット)
    034原田潤(宝塚歌劇)
    034小山内薫(自由劇場、築地小劇場)
    037池谷信三郎(劇作家)
    038渡辺兵馬(映画人)
    042#「我が詩観」
    043富永太郎(詩人)
    043冨倉次郎(のちに教員)
    045正岡忠三郎(子規の後継者)
    049*富永太郎の「秋の悲歎」
    050小林秀雄(評論家)
    055#「盲目の秋」
    056#「都会の夏の夜」
    061永井龍雄(小説家)
    061笠原健治郎(小説家)
    061石丸重治(美術評論家 KO教授 妻声楽家)
    064*富永太郎の「鳥獣剥製所」
    068#「むなしさ」
    074#散文「我が生活」
    077柳宗悦(美術評論家)
    078武者小路実篤(小説家・詩人)
    079#「臨終」
    081辰野隆(仏文学者)
    081今日出海(小説家・評論家)
    085横光利一(小説家)
    087河上徹太郎(文芸評論家)
    088*河上徹太郎「私と詩と真実」
    089今東光(小説家)
    091#「冬の雨の夜」
    095松本泰(三田文学・大家)
    095高見沢路直(田河水泡名でのらくろ)
    096丸山順太郎(アテネフランセ校長)
    098山岸光吉(早稲田理工科、音楽会)
    100*大岡昇平「中原中也」
    100佐藤正彰(翻訳者)
    105#「盲目の秋」
    106小林佐規子「ある夜」
    109河原崎長十郎(歌舞伎役者・心座)
    109舟橋聖一(小説家、心座)
    109村山知義(小説家、心座)
    109花柳はるみ(築地小劇場女優)
    109伊藤アツ子(築地小劇場女優)
    110小山内薫(築地小劇場)
    110土方与志(築地小劇場)
    110高見順「昭和文学盛衰史」
    112青山杉作(俳優、演出家)
    112千田是也(演出家)
    112杉村春子(女優)
    112東山千栄子(女優)
    113小国英雄(脚本家、映画監督)
    113真杉静江(小説家)
    114山本安英(新劇女優)
    114村瀬幸子(女優)
    114友田恭助(立役者)
    114田村秋子(女優)
    114滝沢修(俳優・演出家)
    116#「妹よ」
    117邦枝完二(流行作家)
    117城戸四郎(映画プロデューサー、松竹会長)
    118清水宏(映画監督)
    119山内光(俳優)
    119佐藤東洋(拳闘家)
    119山崎坤象(洋画家)
    119堀野正雄(新興写真家)
    120小野佐世男(漫画家・洋画家)
    120河野鷹司(グラフィックデザイナー)
    120阿部金剛(画家)
    121三宅艶子(作家、評論家)
    121松本恵子(翻訳者)
    123山岸と中原中也の仏語エピソード
    124#「お道化うた」(ベトちゃんシュバちゃん)
    128#「無題」
    130長井維理(ういり)(スルヤの中心人物)
    130諸井三郎(作曲家)
    130内海誓一郎(作曲家)
    131関口隆克(開成学園)
    132古谷綱武(文芸評論家)
    132富永次郎(美術評論家)
    132古谷綱正(ジャーナリスト)
    133安原喜弘(詩人・歌人)成城高校
    133村井康男(成城高校教師、河上の大学友人)
    133阿部六郎(独文学者、文芸評論家、白痴群)
    134#長谷川泰子宛手紙
    136小川未明(小説家)
    138京都旅行 中原・大岡・富永
    140#「時こそ今は……」
    141新宿中村屋、河上、大岡、古谷、小林
    142四谷のレストラン
    143銀座のコロンバン小林
    143高田博厚(彫刻家)
    145*高田博厚「人間の風景」
    145川端康成@浅草
    146永井荷風
    146梅園竜子(女優、ダンサー)
    146吉行エイスケ(ムーランの脚本家、モダン)浅草、新宿のムーラン・ルージュ、武蔵野館、東中野
    147林房雄(小説家・左翼、暫)
    147文芸雑誌「火の鳥」同人、城しづか、村岡花子、小山いと、小糸のぶ、古谷文子、山川柳子(山川幸世母)
    153#「無題(かくは悲しく生きん世に)」
    154*小林佐規子「悧巧な世界」
    154山川幸世(子の父、同志社出、築地小劇場で演出)
    157新居格(評論家)
    159茂樹と名付けた中也
    164#「疲れやつれた美しい顔」
    164 長谷川玖一(慶應学生、仏語専門古本屋)
    166徳川夢声(漫談家、ガルボ審査員)
    167大仏次郎(ガルボ著作)
    167#安原喜弘宛手紙
    171*堀野正雄「婦人画報」
    172#「いのちの声」
    173青山二郎(日本の装丁家・美術評論家)
    175二階、本格、もむ
    176*檀一雄「小説太宰治」
    177伊東静雄(詩人)
    177草野心平(詩人)
    180北大路魯山人(陶芸家)
    180武原はん(日本舞踊家)
    182#「春宵感懐」
    184坂口安吾(小説家)
    184中山義秀(小説家)
    185丹羽文雄(小説家)
    186#泰子宛はがき
    186エスパニョール辺り
    188中川一政(画家・永福寺境内)
    190中垣竹之助(夫)
    195#「盲目の秋」
    196#「春日狂想」
    200加藤恭平(三菱関係実業家)
    200関口隆克(開成高校)
    200諸井三郎(作曲家)
    202高橋幸一(文筆家)
    202*高橋幸一「断片回想」
    202津村信夫(詩人)
    203真杉静江(武者小路の愛人)
    205#「骨」
    208大岡昇平が中原の死を知らせてくれる
    210*小林秀雄「中原中也の思ひ出」
    213立原道造(詩人)
    214中村光夫(文芸評論家)
    214x山岸光吉(建築家)
    215「老いたる者をして」
    218*小林秀雄「中原中也の思ひ出」
    以上

  • 長谷川泰子の人生も、神経質なところもあったり、宗教入ったり。空想付きなところもあって、変わった人だけど、中也よりも残酷だけど、似ている過去を持っているようなところから、中也はなんとなしに泰子から離れることができず、泰子も、泰子の思想の故郷を持っている中也から離れがたかったのだろう。

    ものの核心をつく中也。

    予言しちゃう中也。

    ケンカも楽しそうな中也。

    山川幸世と泰子との子どもである茂樹を面倒みる中也。

    出て行った泰子の家に来ながら暴れまくる中也。

    亭主気取りで、お母さんのフクさんのごとく、なんだかんだ心配してやれこれ言う中也。

    お父さんの謙介さんに似て、陸軍式の説教を泰子にぶつける中也。
    どこでも気に食わなければ暴れる中也。

    でも、浮世離れした泰子を支えるやさしい一面もある中也。

    小林秀雄の失踪に、おたんこなすの顔をする中也。

    決して彼は、表面的にみれば孤独じゃなかったが、やはり世間というのは浮世離れした人にはやはり厳しく、どうしても理解してもらえない部分があって、ジタバタと子どものようにふるまい、涙を流して失恋や散歩、持ち前の感覚と読書で身につけた遥かにオトナな教養で名詞句以前の言葉を編み出していった。

    だからこそ、いい歳こいた大人のくせに、思春期の若者に響くような詩をかけたり(詩人は辛い)したんだろう。

    中原中也は、何かを見たのだろう。


    フクさんと泰子さんの話で、概ね話がつながりました。




    あと、裏の時代背景があまり見えないところ。東京とかにいて、リアルに影響があるだろうに、受けてないというのはびっくり。

  •  身近な女性の視座から見れば、巨人もみるみる等身大に縮んでゆくのではないか。
     そう臆断して澁澤龍彦の令妹・久世光彦の後妻・中原中也の恋人の手記や聞き書きを読み比べてみる。
     
     詩人は各々ベアトリーチェ的な対象を仰ぎ見ている。賢治の妹トシ、高村光太郎の智恵子、立原道造のエリーザベト等々。
     他を圧する美女は長谷川泰子だろう。日本のランボーと和製グレタ・ガルボが同居していたなんて、なんてゴージャスな。
     若い頃に出たマキノ映画のフィルムが残っていないものだろうか。

  • 中原中也の資料として。
    つい中也贔屓の視点で読んでしまう。
    とても面白かった。
    やはり中也は、泰子さんのことが本当に特別だったんだなぁ。

  • 中原中也に興味があったので読み始めた、ただ、そんなに内容に期待していたわけじゃない。が、とても面白くて一気読み。中原中也と一時期同棲していた長谷川泰子の語り口調ですすむ物語だが彼女の生き方がちょっとハチャメチャで波乱万丈。ただ魅力的な女性だったのだろう、その時代の著名人にモテモテで中原中也との関係も恋愛を越え、もはや家族。大金持ちの奥様からビルの管理人へと環境が大きく変わっても飄々と生きた彼女は逞しい。

  • 甘く、香り高く、そして美しい。

  • 映画を見てから読んだ。映画と印象が異なる。
    泰子さんは、男たちを惹きつけるものを持った人なのだろう。

    中原さんの追悼で書いた「酵母の詩」。酵母、すなわち、ものの源泉、内から湧き上がってくるものを持っていたという言い表し方をとても素敵に思った。

  • 思ってたのと違う。
    読んでみんとわからんもんや。
    中原中也も思ってたのと違ってすごく魅力的な人物だと思った。

  • 古本屋で見つけて映画の予習で読みました。
    思ってた「略奪愛」とは違って、確かに不思議な関係だけれども、長谷川さんの「人間を懐かしむ気持ち」というのは何となくわかる気がする。

  • 中原中也と小林秀雄と長谷川泰子の関係がなんとなく分かるし、なにより泰子さんってこんな人だ!ってのが知れたのがとても良かった。
    とにかく天真爛漫で無邪気な印象を受けた。
    あとは、同世代の文筆家達がたくさん出てくる。
    武者小路実篤さんとも仲良かったり。なにそれ初耳。
    坂口安吾が書いた泰子さんの記述とやらも残っているだろうか?色々探してみると、あちこちに登場してそうだ、泰子さん。
    泥沼の三角関係、みたいな印象だったのが、実はそこまでではなくてアッサリしている、という印象も受けたけど、これは泰子さん側からのエピソードなのでかなりバイアスがかかってそう。
    他の文献も集めたい。

  • 資料としても最高。面白かった。

  • 最近、芸術新潮の小林秀雄特集を読んだのですが、その雑誌では、長谷川泰子はともかく中原中也にも全く触れていないのが、なんだか悲しくて…。この本はもう手元には無いけれど、登録しておきます。晩年に出演したという映画「眠れ蜜」ではシャンソンの名曲「聞かせてよ愛の言葉を」をフランス語で歌う姿が映っているそうです。わたしのなかでは、長谷川泰子=江口章子(北原白秋、竹久夢二の恋人)=ジューン ミラー(ヘンリー ミラーの内縁の妻)なんです。

  • 中原中也が生涯想い続け、小林秀雄と三角関係にもなった女性・長谷川泰子。
    彼女が語る中原中也に何か新しい発見があるかもと思い読んでみたが
    基本的には長谷川泰子自身の人生が語られるので、そうでもなかった。
    中原との関係に愛や恋なんて甘やかな雰囲気は感じられなかったけど、
    小林秀雄の事はやっぱり好きだったんだろうなぁ。

    たしかに自由奔放な女性ではあるけれども、
    苦労に満ちた生い立ちや、老後も中原ファンに脅迫されたりと
    なんだか中原が放っておけなかったような雰囲気も少しわかるかも...。
    当時は世間が狭かったのか交友関係も華やか。
    国語の教科書で見かけたような名前がばんばん出てきます。

  • 亡き弟への想いを創作の原点とする中原と
    父を失った影響か、どこか生き方に投げやりなところのある長谷川
    近代化の進むにつれ、古の幻想がどんどん壊されていく日本
    表面の華やかさに隠された虚無
    虚無に抗おうとする人のせつなさ

  • 中原中也・小林秀雄・長谷川泰子の三角関係は日本近代文学史上に残る恋愛騒動(?)ですが、泰子辛みたこの関係が書かれ、面白いです。
    つくづく、女って 勝手な生き物・・・

    (院生アルバイトスタッフ)

  • 中原中也さんと付き合い、その友人の小林秀雄さんとも付き合ってた方。
    中原さんはこの人のことが好きだったんだろうなあ、
    この人は小林さんのことが好きだったんだろうなあ、
    と思いました。

  • 未読

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長谷川泰子の作品

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