神曲 天国篇 (角川ソフィア文庫)

  • 角川学芸出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044069094

作品紹介・あらすじ

永遠の女性ベアトリーチェと再会し、九つの天を昇りはじめたダンテ。星々の光が饗宴する中、天上の至高天でついに神の姿を捉える−−第3部。「文学の枠を超えた、表現の怪物」(中沢新一/本書エッセイ)

感想・レビュー・書評

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  • 地獄篇、煉獄篇と比較して、観念的な話が多く難解 。ほとんどキリスト教に関する問答。訳者によるとトマスアクゥイナスのスコラ哲学と類似しているとのことだが、その知識がないと置いてきぼりにされる感じがある。
    それでも終始光に包まれている感じや歌に囲まれている感じは天国の荘厳さを感じさせてくれる。

  • イタリア古典文学の最高峰

    作者ダンテが自分を主人公に描いた夢物語小説

    1265年フレンツェに生まれたダンテは9歳の時にであったベアトリーチェに恋し、その愛が彼の創作活動の源となった。

    彼はわざわざ市民たちが読みやすい口語体のイタリア語で『神曲』を13年かけて書き上げた。完成直後に亡命先のラヴェンナに没す。他にもベアトリーチェを称えた最初の作品を残している。

    ーーーーー天国篇のあらすじーーーーーー

    煉獄の頂上でベアトリーチェと出会い、案内役はウェルギリウスからベアトリーチェに移る。

    天国は”paradiso”

    天国篇はダンテ自身も言っていることらしいが、解読が本当に難しい。かなり神学的なことで、それに加え、天文学、物理学等の内容に精通していないとなかなか理解が追いつかない

    天国篇ではベアトリーチェがダンテの疑問についてひたすら説明・講義を行うと言う形で進められるので時間がとてもかかると言うのも特徴的

    天国は月光天、水星天、金星天、太陽天、火星天、木星天、土星天、恒星天、原動天、至高天の10の天界からなっている。ダンテは数々の疑問をベアトリーチェの説明を聞きながら紐解いていき、至高天で天使の群れのいるところに到達する。ベアトリーチェも元々はそこにいた人で、ダンテの案内が終わるとそこに戻っていく。

    そこから先は聖ベルナールが案内役に代わり、ついにダンテは神の姿を一瞬垣間見ます。その姿は「言葉にすることができず、また記憶にとどめることもできない」姿。強い感動だけは残っているが、夢から覚めてもその具体的な内容が思い出せない。

    ーーーー最後にーーーーー

    ちなみに天国篇を案内するベアトリーチェという淑女は実在の人物で、ダンテが昔恋心を抱いていた女性の名前である。ベアトリーチェには許嫁がいたのでダンテとベアトリーチェはそれぞれ別の人と結婚するのだが、ダンテがベアトリーチェに特別な感情を抱いていたのは間違いない。

  • ああ この喜悦(よろこび)!いうすべのないこの愉しさ!
    ああ 愛と平安に満ちたこのいのち!
    ああ 望むものとてないこの富(たから)よ!

    前作の煉獄篇での地上の楽園から、いよいよダンテは天国の世界に足を踏み入れます。

    といってもこの天国篇、なかなか難解です。
    前作の地獄篇や煉獄篇よりも難解に感じるかもしれません。

    というのも、あとがきにも言及されていますが、天国篇には「物語性」がほとんどありません。最初から天国の仕組みやキリスト教神観の解説や論争ポイントの議論に話が費やされます。
    「キリストのペルソナ問題」や「神の本質と存在」、「信仰と懐疑の問題」、「神の正義と人間の正義の矛盾問題」が議論さるシーンを延々と見せられ、キリスト教徒でもない日本人で事の深刻さを実感できる人間がどれだけいるでしょうか。
    その意味で私は、この天国篇が「神曲」の3部作の中で、最も難解に感じました。

    しかしダンテの描く天国を感覚的に読み進めるとなかなか面白いものがあります。
    この作品の中で天国は天体の構成で表現されています。
    最初の月天から最も高みにある至高天の間には水星天、金星天、太陽天、火星天・・・と続くのですが、これらは天動説の観点から描かれているので、現代の天文学の観点から見るとその並びが微妙に食い違っています。時代を感じますね。

    そして天国はいくつかの階層に分かれており、「下の天」には貞純な魂、行動的な魂、愛善の魂が住まい、「中の天」には知力の魂、戦闘的な魂、正義を愛する魂が住まい、「上の天」には高位の聖職者の魂が座しています。
    この天国の様を見て、私はレアンドロ・バッサーノの絵画『最後の審判』をイメージしました(バッサーノの絵画には天国だけでなく地獄も表現されているのですが、天国の姿や各階層のキャストの配置がダンテの描くそれとよくダブっていると思います)。

    そういった中世絵画とだぶらせて天国篇を読むのも面白いのではないでしょうか。
    (ちなみに『最後の審判』は東京国立西洋美術館にも収蔵・展示されていますね。)

  • ダンテの旅もようやく集結。最後を飾る天国篇は風景描写がイメージしにくかった。そして、ベアトリーチェがやたらと出てくる。まあ、ダンテの個人的な愛を反映しているので、聖母マリアではなくベアトリーチェでいいのだろうけれど。理解するには膨大な知識が必要だと思い知った。

  • 天国編では訳者も解釈にかなり苦労なさったあとが、脚注や巻末解説のあちこちに見られる。カトリックの神学用語に脳内変換しないと読みづらい箇所も多かった。キリスト教嫌いが多いこの国では、どう受容されているか考えたくもない感じだが、カトリックにシンパシーを抱く人なら、誰でも感動するだろうと思う。

  • やっと読み終わった…。興味がなくてもそのうち湧いてくるかと思ったけど無理だった!笑
    なんかでもてんごくって割とぶらっく企業?私の信仰は学生時代スコラ神学の本を読むことで得られました!会社のルールと自分のルールが違う?会社のルールが一番です!
    しかも役員には伝説~歴史の教科書に載るレベルでないとなれないという。うーん。こんな読み方しかできない自分は情けないな
    信仰の源泉てなんなんだろうなぁ。日々の生活なのかしら

  • いよいよつまらなくて流し読み。天国ですら十階層もあるとか、がっかりさせ過ぎだろう。

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著者プロフィール

1265年、フィレンツェ生まれ。西洋文学最大の詩人。政治活動に深くかかわり、1302年、政変に巻き込まれ祖国より永久追放され、以後、放浪の生活を送る。その間に、不滅の大古典『神曲』を完成。1321年没。著書に、『新生』『俗語論』『饗宴』 『帝政論』他。

「2018年 『神曲 地獄篇 第1歌~第17歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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