紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫)

  • 角川学芸出版 (2009年4月25日発売)
4.00
  • (25)
  • (33)
  • (23)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 495
感想 : 40
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784044072049

作品紹介・あらすじ

平安時代の宮廷生活を活写する回想録。華麗な生活に溶け込めない紫式部の心境描写や、同僚女房やライバル清少納言への冷静な評価などから、当時の後宮が手に取るように読み取れる。道長一門の栄華と彰子のありさまが鑽仰の念をもって描かれ、後宮改良策など、作者が明確に意見を述べる部分もある。話しことばのような流麗な現代語訳、幅広い話題の寸評やコラムによる、『源氏物語』成立の背景を知るためにも最適の入門書。

みんなの感想まとめ

平安時代の宮廷生活を描いたこの作品は、紫式部の視点から当時の貴族社会の様子や彼女自身の奮闘を伝える貴重な記録です。宮中の出来事や人間関係が巧みに描写され、特に彰子の出産を中心に展開されるエピソードは、...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • どうも紫式部の親友小少将の君が登場するたび、ハリウッドザコシショウがちらつくひまわりめろんです

    いやー、おもろいわー
    平安時代やっぱおもろいわー

    そしてやはりいつかは『源氏物語』読まねばね!と思いました

    さてさて、この『紫式部日記』は当時の皇后、彰子に仕えた紫式部の宮仕え日記なわけなんですが、当時の貴族社会のあり様を今に伝える貴重な歴史的資料であると同時に、紫式部奮闘記でもあるわけです

    好ましいのよ
    頑張ってるのよ紫ちゃん(急に馴れ馴れしい)
    ほんともう毎回書いてるけど、今の時代にも通じまくりで、共感しかないわけ

    そして、この編者の山本淳子さん!めっちゃ分かりやすく解説してくれて、良かった
    ありがとう!

    次はなんの古典行くかな〜

    • ultraman719さん
      こんな本読みながら、京都を優雅に楽しみたい!
      こんな本読みながら、京都を優雅に楽しみたい!
      2025/12/30
    • ひまわりめろんさん
      ウルちゃん

      優雅な人はカラータイマーとかピコンピコンいわさないけどな!
      ウルちゃん

      優雅な人はカラータイマーとかピコンピコンいわさないけどな!
      2025/12/30
    • ultraman719さん
      カラータイマー…
      時間に追われる象徴ですね…(^◇^;)
      カラータイマー…
      時間に追われる象徴ですね…(^◇^;)
      2025/12/30
  • 秋のけはひ入りたつままに、土御門殿のありさま、いはむかたなくをかし。
    (いつの間にか忍び込んだ秋の気配が次第に色濃くなるにつれ、ここ土御門殿のたたずまいは、何とも趣を深めている。)

    時は寛弘5年秋。『紫式部日記』は、藤原道長の豪邸・土御門殿の描写から始まる。
    この邸に、紫式部が仕える中宮・彰子が出産を控え滞在中だったのだ。出産予定日は9月、陰暦では秋の最後の月。ならば秋の気配の訪れとは、中宮の出産の季節がやってきたということである。

    解説によると、紫式部が宮仕えを始めて2,3年のころに遭遇した、道長一家の将来を左右する一大事が、彰子の出産だった。紫式部はこの出来事の一部始終を記録する係に任ぜられていたようで、得意の観察眼を生かし、出産前からその当日、その後の幾つもの祝宴などで、人々の配置や装束や行動など細かいメモを取っていたものと考えられる。これをもとにして、2年後に回顧録の形にまとめられたのが『紫式部日記』というわけだ。

    『紫式部日記』を読んでて強く感じたのは、紫式部自身の感情や考えが前面に押し出されているなってこと。
    特に彰子について記された部分でそう思う。
    清少納言が定子のためだけに記した随筆『枕草子』は、辛い境遇の定子が楽しむように、そして定子の死を受けてからは、彼女がどれほど素晴らしい皇后であったのかを伝えるために記されていた。目的は定子の鎮魂であったのだろう、悲劇の皇后から理想の皇后へと、定子に対する記憶を塗り替えることが清少納言のたくらみであった。
    ところが、『紫式部日記』には、紫式部自身の鬱々とした感情や苦悩が「辛い人生」や「沈みがち」という言葉を使って、所々で挟みこまれる。この場はこんなにも華やかで晴れがましいのに、わたしは心の底から幸せではない……
    そして、そんな思いを抱いている自分でも健気な彰子の姿には、すべてを忘れるほど感動するのだと続ける。
    亡くなってもまだ定子を一途に想い続ける一条天皇、一向に懐妊の兆しがない自身、父道長、家の繁栄のための使命……孤独や不安、重圧を抱えていた彰子。それでもいつも凛として振る舞う彼女の姿に紫式部は感銘を受けていた。

    紫式部は「わたしの日記」だからこそできる、自分自身の苦悩を吐露することによって、一見華やかな世界で苦しい胸のうちを抱きながら生きる彰子の寡黙で健気な姿を引き立たせることにしたのだろう。これが紫式部のたくらみなのだろうか。
    著者は、「彰子後宮の記録を書く以上、紫式部はどうしても定子後宮文化を代表する『枕草子』のその向こうを張らなくてはならなかった。それが紫式部にしか書けない、人生のはれやかさとしめやかさ、甘さと苦さのないまぜになった個性的な宮仕え記録となったのだと」いう。

    わたしは彰子も定子も好きだ。だけど『紫式部日記』に描かれた彰子には満足できなかった。なんだか「健気」というイメージが大きくなりすぎなのだ。彰子だって嬉しいときは笑うだろうし、楽しくお喋りもするだろう、もっと女の子らしさに溢れた魅力的なところだってあるのじゃないかなぁと思ってしまうのだ。
    なんだか紫式部の清少納言への対抗心のようなものが、「幸せな定子」という虚像のような彰子を絶対作りださないぞと、むきになっているのでは……とさえ勘ぐってしまう。
    でもこの本は入門書なので、これからいろいろな資料を読み込んでいけば、また新たな発見があるかもしれない。彰子のことももっと知りたいし。

    今回一番興味を持ったのは、紫式部と藤原道長とのやり取り。
    たしかに道長とは「何かあるんじゃないの?」と思われる場面がいくつかある。
    たとえば、道長は紫式部に気づくと、庭の女郎花を一枝折り取り、彼女に差しだす。女郎花はその名前から、女性、それも戯れの恋の相手を意味することが多い花だという。
    あるときは、『源氏物語』が恋物語であることを知っている道長は、作者の紫式部を「好きものと評判」などとからかうのだけど、紫式部はうまく切り返す。このときのやり取りが何とも男心をそそるものだったらしい。
    さらに続けて、ある夜、誰かが紫式部の元に訪れたエピソードが描かれる。結局、紫式部は男性を拒むのだけど、その男性が誰だったのかはわからない。だけど、先の一件から道長では?と読者に思わせる記事の繋がりかたとなっている。
    紫式部は道長との意味ありげなやり取りを、どういうつもりで記しているのだろう。うーん、なんだか紫式部って匂わせ女子!?

    • 地球っこさん
      myjstyleさん、こんばんは。

      「聚洸の源氏物語」とても美しくて、見惚れてます。
      これは器と御菓子の芸術ですね。
      まずは美味し...
      myjstyleさん、こんばんは。

      「聚洸の源氏物語」とても美しくて、見惚れてます。
      これは器と御菓子の芸術ですね。
      まずは美味しそう……なんて感想は思い浮かびませんでした。
      え、こんなに美しいもの私には食べられない!……でした 笑

      なかでもmyjstyleさんから教えていただいた「花宴」の桜色のきんとんは、本当に可愛いo(>∀<*)o
      これこそ恋の御菓子です。
      想像していた以上の愛らしさでした。

      あと「玉鬘」の水羊羹とブループレートが綺麗でした。
      それに「幻」の紫の上を偲ぶ「おもひで」と「宿木その二」の薫が朝顔の花に託し中の君に想いを伝える場面からの「朝顔」も好きな感じです。
      これから何度もじっくりと読んで眺めたいと思います。
      教えていただき、ありがとうございました。

      「牛車で行こう!」も、まだざっと一度目を通したところなのですが面白そうです。
      こんな方向からも源氏物語や平安時代にアプローチできるとは、ちょっと驚きです。
      たしかに輦車宣旨を得た人物として、桐壺の更衣と、紫の上と書いてありました。
      「二人とも、不安定な夫婦関係の中で、ただ夫からの愛を得て、身分以上の待遇を得たことを、輦車宣旨で表現しているのである。」と書いてました。

      「和泉式部日記」、宮様に連れ出され牛車の中で結ばれるシーンですね。きゃーとなりましたo(>∀<*)o
      はい、わたしもちゃーんと感想に残してます 笑
      2021/01/16
    • myjstyleさん
      地球っ子さん こんばんは。

      喜んでもらえて嬉しい。
      器と御菓子。想像と創造です。

      「花宴」、いいでしょ!「玉鬘」、正に器と御菓...
      地球っ子さん こんばんは。

      喜んでもらえて嬉しい。
      器と御菓子。想像と創造です。

      「花宴」、いいでしょ!「玉鬘」、正に器と御菓子の協奏です。朝顔を「朝顔」で使わず「宿木」のワンシーンに使う梶裕子さんの感性!
      3週間も楽しめるとのこと賞翫あれ。

      「牛車で行こう」の筆者がなんと京楽さん!
      名前まで雅ですね。
      2021/01/16
    • 地球っこさん
      myjstyleさん、ありがとうございます♪
      雅な世界にじっくり浸りたいと思います。
      myjstyleさん、ありがとうございます♪
      雅な世界にじっくり浸りたいと思います。
      2021/01/17
  • ビギナーズ・クラシックス4冊目ともなると不思議と一冊目よりも原文が比較的すらすらと読めるようになってきました。もちろん詳しい解釈は出来ないので本書の「現代語訳」→『原文』→『解説』はスムーズな理解に大いに役に立ちました。

    日記の作者紫式部は『枕草子』の清少納言が宮仕えしていた定子時代のあとの彰子時代に宮仕えし、本書はその彰子中宮の出産前後のエピソードから始まります。
    なかなか理解しがたかった相関図や、当時の雰囲気がとても分かりやすくて、紫式部の目を通して中宮彰子や藤原道長、宮仕えの女房たち、さらには紫式部自身のこともしることができ、面白い構成や時々意地悪だったり辛辣だったりする紫式部のもの言いもとても面白かったです。

    そのことには紫式部自身は触れていないとしても、なんとなく、紫式部、道長の愛人説も有り得たかもな、プライドの高い紫式部はズバリ言わずにほんのり匂わせているのかも、と思いを巡らせるのもまた楽しいものです。

    宮仕え時代には清少納言と面識はなかったようですが、清少納言の存在が紫式部の作品をさらに上質にさせたのだろうな、と思うとオリジナルエピソードだらけの今放送されている大河ドラマも素直にとても楽しく見られます。

  • 図書館の大河コーナーにありとりあえず借りてみましたが、読みだすと、これが読める。古典は苦手の私にも、現代文、原文、解説、の順に日にちを追って印刷されている。細切れになっているところが読めた理由かも。それに山本さんの現代文、解説がとても分かりやすい。やはり手元に置かねばと購入しました。

    「紫式部日記」は、彰子の出産の様子を記すようにとの命令から書かれたものだとの推測。書かれたのは2年後だがその時はメモを取っていたのではという解説。后の出産は一大事、一大イベントであるのがわかります。血は穢れとされ天皇は穢れに遭ってはならないので后姫たちは内裏から出て実家などに帰る。本人は几帳の中にはいるものの回りには女房だけで40人が控え、出産の無事を祈る祈祷の僧侶などもいて、紫式部は分娩室の次の間にいた。道長は几帳の外でサポートし大声をあげている。

    「紫式部日記」は
    A 前半記録部分」寛弘5年(1008)秋の彰子出産前から翌年正月3日まで
    B 消息体 「このついでに」で始まる手紙文体部分
    C 年次不明部分 いつのことかしらされない、二、三の断片的エピソード
    D 後半記録部分 寛弘7年(1010)元旦から正月15日まで。

    この構成は、一旦記録を書き終えた紫式部が飽き足らずにその後を書き加えたとも、紫式部が残した幾つものメモが後の人の手でつなぎ合わされたためとも考えられるが、謎のままだとある。

    「紫式部日記」は作者の書いた原本はもちろん、古い時代に書き写された本も伝わっていない。現在残るのは「紫式部日記絵巻」の絵詞以外は皆、江戸時代以降に書き写された写本や印刷された版本ばかりだとある。

    2009.4.25初版 2023.11.30第14刷 購入

  • 『源氏物語』の作者、紫式部が残した日記文学『紫式部日記』。
    「紫式部の宮仕え回顧録」という紹介通りの内容ではあるが、全体的に紫式部の悩み苦しみ、生きづらさ、そんなものが滲み出ている。
    文才があるにも関わらず、それを表に出すと人を遠ざけるからと、わざとぼんやりした演技をするところなんかは切ない気持ちになる。
    また、父親から才能を認められつつも「お前が男だったらなあ」と言われたエピソードもあり、今でもそんな家はあるんじゃないかと思った。
    紫式部は宮仕えに対して悩んだり、鬱屈した思いを持っていた。
    しかし時を経て少しずつ自信をつけていったのか、職場である後宮自体をもっと良くするためにということも書き残している。
    ライバル清少納言への辛辣な評価が書かれているところも面白い。
    紫式部が仕える彰子の夫である一条天皇と、同じくその妻である定子に仕える清少納言。
    『枕草子』は定子とその後宮の美しさにフォーカスした章段が多く、一方『紫式部日記』は暗い印象を受ける。
    紫式部はその目で見たものと、自分の経験を通して、華やかなばかりではない宮仕えのリアルで生々しい生活っぷりを書き残した。
    そしてそれが1000年経った今でも読めることが奇跡だと思う。
    今も昔も人は変わらない。
    古典を読むとそんな気持ちになって嬉しくも悲しくもなる。

  • 編者の選択にもよると思うが、思っていたよりお仕事小説だったのが面白かった。
    紫式部、それほど陰湿ではなかったけど、
    やっぱりちょっと面倒くさい女だな。

  • 現代語訳が先に書かれていて、またそれが丁寧なので、古文があまり読めなくても充分に楽しめる。

    紫式部の目を通して語られる宮仕え事情。古の日本に興味のある私からしたら、当時を知れる最高の書物だった。これまで、日記系は堅苦しいものだと決めつけていたが、そんなことはなかった。もっと日記系に親しもう。

    そして、殊に紫式部の心情の所は、原文の方が直に伝わってくる。世の中に対する思い、宮仕えに対する思い…決して明るいことばかりではないが、つい彼女の言葉を反芻し、噛み締めてしまう。世の中も仕事も、時代は違えど思う所はあるのだと、救われた気持ちになったからだ。

    現世を鬱陶しく感じたとき(頻繁すぎるが)、背中を押す訳ではなく、共に闇を共有するという点で、味方になってくれそうな一冊だ。

  • 約1000年前の官庁で働く女性の話だけど、人間って全然変わらないんだな〜と実感。それはちょっとほっとした。

  • 【ブログで紹介】
    NHK大河ドラマ「光る君へ」を越後行きの前くらいからきちんと観はじめ、紫式部に興味を持って読みました。

    1.解説に助けられる
    現代語訳、原文、解説の順で各日記が掲載されています。
    先に原文を読んでから現代語訳・解説を読むようにしました。
    しかし、はじめに読む原文の意味が全く分からず、読み終えるのにとても時間がかかりました。

    このビギナーズ・クラシックス 日本の古典シリーズの「古事記」の場合は書き下し文でなんとなく意味が分かったのに、「紫式部日記」の原文が”まったく”分からないとは!
    授業の古典も漢文も好きじゃなかったからなあ。。。

    ただし、山本淳子さんの現代語訳・解説に助けられました。
    背景や心情がよく分かりました。
    古典が苦手でも、本書は分かりやすいためおすすめです。

    なお、たくさん登場する人物はNHK大河ドラマの相関図を見て、イメージが分かるようにしました。
    これはロバート秋山、はんにゃ、にいにい(NHK朝ドラ「ちむどんどん」)とか。。。

    2.内容
    紫式部が内気な性格であること、
    漢学を知っていることは女性として好ましくないため隠そうとすること、
    定子のサロンは雅であったが、仕えた彰子のはそうではないこと、
    女房達が役に立たないこと、改革した方がよいと強く願うこと、
    清少納言への強烈な批判があること、
    などは大河ドラマの放送もあってwebで見かけるようになり、ここでは多くを書きません。

    彰子への宮仕えがルポ―ルタージュの意味合いもあったとは驚きです。
    そのため冷静な情景の記述があります。

    3.日記の構成
    何となく日記の最後が尻切れトンボのようになっているように思いました。
    日記を残そうと努めたのか、藤原道長や彰子に提出したのか、どうだったのでしょうか。
    最後が消失しているのでしょうか。

    日記の合間に、私的な手紙がまぎれているような構成になっているそうです。
    本日記は江戸時代の写本しか残っていないとのことで、だれかが編集してしまったのでは、と思います。
    CDのボーナストラックや雑誌の特別付録のような感じで。

    原本や当時の写本はきっと残っているはずです。
    どこかの家から発見されないか願っています。
    (2024.9.23)

    ※2024.7.3購入@調布市真光書店
     2024.7.25読書開始、9.21読了

  • 道長妾説、実際どうなんでしょう?大河ドラマ『ひかる君へ』では、恋人って関係だったけど…、(物語盛り上げるため)いやー、気になりますねぇ。紫式部さんのプライバシーににゅっ入ってしまうけど、気になってしまうー。紫式部さん、人のこと一人一人レビューしてて、なんか面白い。合コン行った時の男定めみたい…。(いい例えではありませんね、ごめんなさい。)

  • 清少納言曰く「派手好きな旦那」を持ち、華麗なる宮廷ロマンス文学を執筆した紫式部のことだから、見た目も性格も男女関係もさぞかし華やかな人物だろうと想像していた。紫式部日記を読むまでは。

    イマイチ乗り気じゃない宮仕えが、やがて自分の得意分野(物語執筆活動や出産時の記録係、彰子への漢文講義等)を活かして宮中に居場所を見つけるとともに、知識をひけらかすことなく周囲とも波風立てず穏やかな人物を装うことで時の権力者・藤原道長にも一目置かれるような唯一無二の存在となった処世術は、現代人の我々にも参考になりそうだ。 

    「マウント女子」とは対極的な紫式部。かと言って容易く周囲に流されるような頼りない性格でもない。「チーム彰子」の女官としての誇りを保ち、同僚やライバル達に対して表立っては言わないが一家言を持っている。悩み事も軽々しく口にはせず、控えめながらも内に秘めた強さを持っている女性だと感じた。

    道長と愛人関係にあったのか気になるところだが、自己顕示欲の強くない紫式部の性格からして、もしそうだったとしても後世には書き残さないんじゃないのかしら。わざわざ言及しなくても良いのに道長をあしらったエピソードを敢えて残しているところが意味深だけども。

    本書を読み終えると、土御門殿の道長が六條院の光源氏と重なって見える気がした。

  • これでもかっ! という現代語訳の後に古文を配し、そして解説文が続く構成がとても良かった。源氏物語の作者として教科書でも有名な彼女の、中宮彰子に仕えた女房としての記録とエッセイと言える日記を楽しむことができた。天皇の後継者を生んだ彰子に仕える女房のあり方に対する熱い想い、そして枕草子の作者・清少納言へのライバル心が生き生きと伝わってくる。

  • 大変貴重な史料だった。もちろん原本は残っていないし後年の写本ではあるものの…。この時代にこんなお手軽に読めることに感謝したい。
    1000年も前に生きていた人たちの生々しい生活が垣間見える。いつの年代でも人間は本質的には変わらないんだなと(悪口言ったり意地悪する場面ね)

    世の中には清少納言好きで紫式部は性格が悪いだの友達になりたくないだの、嫌なことを言う人が多く、編集者さんも同様の人だったらどうしようと不安であったが一切そのようなことはなく、客観的なコメントをされていて安心した。

    確かに明るくはなく物憂げな感じではあるが本人としては世間に対し思うことはありながらも生き抜いたんだろうなと…。
    どちらかというと紫式部よりの人間なので気持ちがわかる気がする。

  • 同レーベル「紫式部ひとり語り」からの芋づるで興味を持った。

  • 紫式部の、宮廷生活の様子などを綴った日記。
    実は彼女が「ネクラなヲタクOL」だったことは、『うた恋。』を読んで知ったので、その辺をちゃんと踏まえて読むと、なかなか興味深い。

    でも、個人的には『和泉式部日記』や『更科日記』のような日記文学が好きな自分としては、面白みには欠けると感じた。

  • 源氏物語の原作者紫式部が彰子中宮の元で宮仕えをしていた3年程の記録及び体験記とも言える「紫式部日記」の解説本です。

    原典と口語訳とを併記されておりまずはとてもわかりやすいです。
    タイトルにビギナーズ・クラッシックスと銘打ってあるだけのことはありますw
    残念ながら原典の全てが掲載されているわけではなく、日記の内容や式部が家庭の主婦から職業女房へと成長・変化してゆくさまにあわせ、3部構成になっています。

    「鬼と女は表に見えないのが良い」とされていた平安の時代、職業としての女官や女房は多くの男性に顔を晒さねばならず総じて「はしたない」「言い寄り易い」と軽視されている側面がありました。
    式部もその世論の中で生まれ育ってきたため、再三再四の宮仕えの要請にもなかなか首を立てには振らず、中宮彰子の熱烈な要望に根負けして出仕したものの、立ち居並ぶ先輩女房たちに気圧され、また冷たくあしらわれ凹み翌日から5ヶ月も家に引きこもりますw
    更に結婚して3年と言う短さで夫が亡くなりいよいよ華やかな宮中へ戻る気にもなれません。

    が、ここで式部の意識は主婦から女主人へと上昇します。
    残された我が子賢子や家司・女房たちを養うのは自分しか無い。
    それに彰子の出産日記を書くことが第一の勤めとされ決まった出仕話。中宮彰子の出産も押し迫りそうそう引きこもってもおられず宮中へ戻ります。
    式部の住む堤邸を担う大黒柱は自分しかいない、ここで働きお産日記を完成させ先輩女房にも気に入ってもらえるように立ち回らなければ!と一念発起します。
    すると女房たちからは「式部さんって思ってたのと違って本当は優しいのね」「式部さんは学がおありだから私なんかきっと叱られるんじゃないかと思ってたのよ」と意外な言葉が。
    冷たくあしらわれ逃げ帰った式部ですが、実は皆式部の学識の深さに恐れうかつなことは言うまいと警戒していただけなのです。

    中宮彰子のお産は男御子誕生と言う上々の結果、産後も母子ともに健やかで宮中は和やかな日々が続きます。
    宮中女房としての処し方も身に付き、徐々に宮中での生活にも慣れてきた式部は手紙形式の日記を書き始めます。
    これは「こんなこと内々の手紙ででも無ければ書けない話なんだけど」と前置きをし女房評・公達評を繰り広げるといったものです。
    式部の文章もくだけた表現が増え、本当に他人の手紙を垣間見してるかのように感じます。

    紫式部日記には、彰子のお産記録、お祝いの儀式の様子の記録だけではなく、中宮女房としての式部の成長日記の要素もあります。
    このビギナーズ・クラッシックのシリーズは本当に初心者に優しくわかりやすいので入門篇としては最適に思いました。

    でも出来れば田辺聖子さんに口語訳+読み物としての紫式部日記を出して欲しいところですw

    今、森谷明子さんがシリーズとして刊行している「千年の黙」「白の祝宴」「望月のあと」は紫式部を主人公としたミステリですが、これらよりも先にこの本を読んでおけば良かったなぁ、と後悔してます。
    「源氏物語」だけではなく「枕草子」の書かれた背景「むかし・あけぼの」を読んだ後だからこそ「千年の黙」が面白かったのですが、更に「紫式部日記」も読んでおけばなおよし!ですw

  • 内気で人付き合いが苦手だけど、プライドは高い。そんなリアルな紫式部の姿や、爺バカ丸出しな道長の姿が見てとれて、大変面白い一冊。

  • 平安時代の宮廷生活を活写する回想録。華麗な生活に溶け込めない紫式部の心境描写や、同僚女房やライバル清少納言への冷静な評価などから、当時の後宮が手に取るように読みとれる。道長一門の栄華と彰子のありさまが讃仰の念をもって描かれ、後宮改良策など、作者が明確に意見を述べる部分もある。話し言葉のような流麗な現代語訳、幅広い話題の寸評やコラムによる『源氏物語』成立の背景を知るためにも最適の入門書。


    卒論の参考にさっと。
    けっこうおもしろい。紫式部も人間だね。

  • 淑徳大学OPACリンク
    https://x.gd/31fYP

  • 意訳→原文→解説の順に構成されていて、とてもわかりやすい。宮中ルポであり、紫式部の成長日記でもある。

全32件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

平安時代の作家、歌人。一条天皇の中宮、彰子に仕えながら、1007~1008年頃に『源氏物語』を完成されたとされる。他の作品として『紫式部日記』『紫式部集』などが残っている。

「2018年 『源氏物語 姫君、若紫の語るお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

紫式部の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×